公爵令嬢に婚約解消された王子は子爵令嬢を断罪する~それって王子の自業自得です~

涼石

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1 王子フラれる。そして逆恨む。

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私の名前はリリシーヌ=カルシア。
カルシア子爵家の三女。
見た目は中の中かな?

人間、中身で勝負だ!という言葉に一縷の望みを見出す者。

モットーは、”目立たず、騒がず、関わらず”。
特別な財力なし、才能なし、美貌なしの私が、貴族社交界で生き抜くための必須三か条。

それを心がけ、今までまじめに生きてきた・・・はずだった。

なにせ、我が家は権力中枢から遠く遠く離れた低級貴族。

力もないのに目立てば、面倒ごとが集団でやってくること、待ったなし。


そんな私が今いるところ・・・。

人払いされた王宮の一室。


目の前には、一目で高貴な身分とわかる金髪碧眼の青年。
セルシア王国第二王子であるナキッシュ殿下。

もう一人は、赤い髪に赤い瞳。
【熾烈な赤薔薇】と称えられる美貌を持つ令嬢。
サフィアス=ニールデン公爵令嬢。

どう考えても、面倒ごとのど真ん中。

美形率が六割を超えるこの状況・・・。
これから起こる出来事に対し、良い予感がひとつもしない。

あ、美形率下げてごめんなさい。
遺伝子の問題です。
むしろ、謝罪を受けたい。
親に。

泣ける。


「ナキッシュ様」

サフィアス公爵令嬢は優雅に微笑む。

「婚約解消いたしましょう」

その言葉に、ナキッシュ王子は青ざめ、愕然としている。

「本気なのか?」
「冗談で申し上げることではございませんわ」

艶然と笑う。
笑顔とは裏腹に、彼女の佇まいからは獄炎の幻が見えるよう。
殿下、完全に彼女を怒らせてます。


権力者同士の修羅場ですよ、修羅場。

弱みを見せちゃいけない王族。
そのプライドがへし折られる現場に居合わせてます。

うう・・・空気が重い。

おうちに帰りたい。
ベッドでゴロゴロして何も考えずにひたすら眠りたい。

修羅場は本で読んだり、人から聞いたりするのが一番。

野次馬の中の一人ならともかく、目の前で繰り広げられる修羅場を前に・・・駄馬一頭だけにされると無力感が半端ない。

いたたまれない。


婚約者にフラれ、絶望ともいうべきオーラが漂う王子の瞳が、こちらに向けられた。


睨まれてます。
憎まれてます。

「お前さえ・・・お前させいなければ・・・」

醜く歪む顔。
瞳の奥にゆらめく憎しみの炎。

なんで?

何故に、関係ない私が憎悪の対象になってるの?


”目立たず、騒がず、関わらず”がモットーなのに。


どうして、こうなった??


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