1 / 32
1 王子フラれる。そして逆恨む。
しおりを挟む
私の名前はリリシーヌ=カルシア。
カルシア子爵家の三女。
見た目は中の中かな?
人間、中身で勝負だ!という言葉に一縷の望みを見出す者。
モットーは、”目立たず、騒がず、関わらず”。
特別な財力なし、才能なし、美貌なしの私が、貴族社交界で生き抜くための必須三か条。
それを心がけ、今までまじめに生きてきた・・・はずだった。
なにせ、我が家は権力中枢から遠く遠く離れた低級貴族。
力もないのに目立てば、面倒ごとが集団でやってくること、待ったなし。
そんな私が今いるところ・・・。
人払いされた王宮の一室。
目の前には、一目で高貴な身分とわかる金髪碧眼の青年。
セルシア王国第二王子であるナキッシュ殿下。
もう一人は、赤い髪に赤い瞳。
【熾烈な赤薔薇】と称えられる美貌を持つ令嬢。
サフィアス=ニールデン公爵令嬢。
どう考えても、面倒ごとのど真ん中。
美形率が六割を超えるこの状況・・・。
これから起こる出来事に対し、良い予感がひとつもしない。
あ、美形率下げてごめんなさい。
遺伝子の問題です。
むしろ、謝罪を受けたい。
親に。
泣ける。
「ナキッシュ様」
サフィアス公爵令嬢は優雅に微笑む。
「婚約解消いたしましょう」
その言葉に、ナキッシュ王子は青ざめ、愕然としている。
「本気なのか?」
「冗談で申し上げることではございませんわ」
艶然と笑う。
笑顔とは裏腹に、彼女の佇まいからは獄炎の幻が見えるよう。
殿下、完全に彼女を怒らせてます。
権力者同士の修羅場ですよ、修羅場。
弱みを見せちゃいけない王族。
そのプライドがへし折られる現場に居合わせてます。
うう・・・空気が重い。
おうちに帰りたい。
ベッドでゴロゴロして何も考えずにひたすら眠りたい。
修羅場は本で読んだり、人から聞いたりするのが一番。
野次馬の中の一人ならともかく、目の前で繰り広げられる修羅場を前に・・・駄馬一頭だけにされると無力感が半端ない。
いたたまれない。
婚約者にフラれ、絶望ともいうべきオーラが漂う王子の瞳が、こちらに向けられた。
睨まれてます。
憎まれてます。
「お前さえ・・・お前させいなければ・・・」
醜く歪む顔。
瞳の奥にゆらめく憎しみの炎。
なんで?
何故に、関係ない私が憎悪の対象になってるの?
”目立たず、騒がず、関わらず”がモットーなのに。
どうして、こうなった??
カルシア子爵家の三女。
見た目は中の中かな?
人間、中身で勝負だ!という言葉に一縷の望みを見出す者。
モットーは、”目立たず、騒がず、関わらず”。
特別な財力なし、才能なし、美貌なしの私が、貴族社交界で生き抜くための必須三か条。
それを心がけ、今までまじめに生きてきた・・・はずだった。
なにせ、我が家は権力中枢から遠く遠く離れた低級貴族。
力もないのに目立てば、面倒ごとが集団でやってくること、待ったなし。
そんな私が今いるところ・・・。
人払いされた王宮の一室。
目の前には、一目で高貴な身分とわかる金髪碧眼の青年。
セルシア王国第二王子であるナキッシュ殿下。
もう一人は、赤い髪に赤い瞳。
【熾烈な赤薔薇】と称えられる美貌を持つ令嬢。
サフィアス=ニールデン公爵令嬢。
どう考えても、面倒ごとのど真ん中。
美形率が六割を超えるこの状況・・・。
これから起こる出来事に対し、良い予感がひとつもしない。
あ、美形率下げてごめんなさい。
遺伝子の問題です。
むしろ、謝罪を受けたい。
親に。
泣ける。
「ナキッシュ様」
サフィアス公爵令嬢は優雅に微笑む。
「婚約解消いたしましょう」
その言葉に、ナキッシュ王子は青ざめ、愕然としている。
「本気なのか?」
「冗談で申し上げることではございませんわ」
艶然と笑う。
笑顔とは裏腹に、彼女の佇まいからは獄炎の幻が見えるよう。
殿下、完全に彼女を怒らせてます。
権力者同士の修羅場ですよ、修羅場。
弱みを見せちゃいけない王族。
そのプライドがへし折られる現場に居合わせてます。
うう・・・空気が重い。
おうちに帰りたい。
ベッドでゴロゴロして何も考えずにひたすら眠りたい。
修羅場は本で読んだり、人から聞いたりするのが一番。
野次馬の中の一人ならともかく、目の前で繰り広げられる修羅場を前に・・・駄馬一頭だけにされると無力感が半端ない。
いたたまれない。
婚約者にフラれ、絶望ともいうべきオーラが漂う王子の瞳が、こちらに向けられた。
睨まれてます。
憎まれてます。
「お前さえ・・・お前させいなければ・・・」
醜く歪む顔。
瞳の奥にゆらめく憎しみの炎。
なんで?
何故に、関係ない私が憎悪の対象になってるの?
”目立たず、騒がず、関わらず”がモットーなのに。
どうして、こうなった??
0
お気に入りに追加
382
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。
風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。
※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。

婚約破棄を申し込まれたので、ちょっと仕返ししてみることにしました。
夢草 蝶
恋愛
婚約破棄を申し込まれた令嬢・サトレア。
しかし、その理由とその時の婚約者の物言いに腹が立ったので、ちょっと仕返ししてみることにした。

婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでのこと。
……やっぱり、ダメだったんだ。
周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中
※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
【完結】リクエストにお答えして、今から『悪役令嬢』です。
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「断罪……? いいえ、ただの事実確認ですよ。」
***
ただ求められるままに生きてきた私は、ある日王子との婚約解消と極刑を突きつけられる。
しかし王子から「お前は『悪』だ」と言われ、周りから冷たい視線に晒されて、私は気づいてしまったのだ。
――あぁ、今私に求められているのは『悪役』なのだ、と。
今まで溜まっていた鬱憤も、ずっとしてきた我慢も。
それら全てを吐き出して私は今、「彼らが望む『悪役』」へと変貌する。
これは従順だった公爵令嬢が一転、異色の『悪役』として王族達を相手取り、様々な真実を紐解き果たす。
そんな復讐と解放と恋の物語。
◇ ◆ ◇
※カクヨムではさっぱり断罪版を、アルファポリスでは恋愛色強めで書いています。
さっぱり断罪が好み、または読み比べたいという方は、カクヨムへお越しください。
カクヨムへのリンクは画面下部に貼ってあります。
※カクヨム版が『カクヨムWeb小説短編賞2020』中間選考作品に選ばれました。
選考結果如何では、こちらの作品を削除する可能性もありますので悪しからず。
※表紙絵はフリー素材を拝借しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる