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第4話 変身!
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「うわわわっ」
体が、成長していく! 手足が長く伸び、おっぱいがぐんぐん大きくなっていく。学ランのボタンが弾け飛び、Tシャツが限界まで伸びる。お尻もパンツが食い込んで、ちょっと痛い。
「すっげー! ツバサ、めっちゃエロいな!」
「ツバサ君が、美人なお姉さんになっちゃった......これってどういう事!?」
カオルもヨッシーも目を丸くしている。鏡はないけれど、ボクは脳内アプリで自分の姿とステータスを確認した。うん、ゲーム通り。美しく、強い。
「変身は完了したよ。これで奇蟲人をぶち殺せる。だけど学ランのままだと体がきついから、コスチュームチェンジするね。神衣武装!」
神使徒の能力の一つ、神衣武装は、今着ている服装を一旦異次元に消去し、高い防御力を誇る神衣を見にまとう能力だ。ボクの体がパァーッと輝き、学ランが消えて裸になる。え、嘘! こんな演出ゲームにはなかったよ!ボクは慌てて体を隠そうとするが、そう思った時には既に神衣が身にまとわれていた。
「おおおっ! すっげぇ、すっげぇ! ツバサ魔法少女みてぇじゃん! かっけー! なぁヨッシー!」
「うん。すごく強そう。美人だし」
「えへへ、照れちゃうなぁ♡よーし、じゃあボク、張り切っちゃうよ」
奇蟲人を完全に殺すには、肉体を完全に滅ぼす必要がある。そのための必殺技が、神使徒にはあるのだ。
「必殺! 神雷拳!」
ボクは伊藤先生の下半身を抱えたままの、カマキリ奇蟲人の背中に拳を叩き込んだ。その瞬間、拳が輝き、カマキリ奇蟲人の体が光に包まれる。カマキリ奇蟲人の体が、ボロボロと崩れていく。
「もちっ! もちっ! もちぃぃっ!」
山口先生のそばに転がっていた奴の生首も、叫び声をあげながら、同じように崩れていった。
「これで良し」
おおおー!と歓声と拍手が巻き起こる。
「助かった! ありがとう、キミ!」
山口先生がよろよろと立ち上がってボクを抱きしめる。
「ありがとう、本当にありがとう!」
「い、いえ、とんでもないです......」
うわわ、先生の温もりが伝わってきて......何故かドキドキしてしまう。ボク、男なのに。体がお姉さんになった影響なのかな。
「先生、いつまでツバサに抱きついてんだよ。そいつ、今はエロい格好の巨乳美女だけどさ、元は男だぜ」
カオルに指摘されて恥ずかしくなったのか、山口先生はパッとボクから離れる。
「す、すまない。そういえば、そうだったね。俺もさっき見てたよ。何がどうなってるのかさっぱりわからないけど」
先生はそう言って鼻の頭を掻いた。
「先生、今は説明している余裕はありません。あと一匹、怪物がいます。奇蟲人という、不死身の化け物です。ですが今のボクなら『ぶち殺せる』と思います。その後、ゲーム通りならボスキャラが出現します。そいつをぶっ殺せば、この学校から脱出出来るはずです」
「ゲーム? よくわからないが、ツバサ君、キミに従うよ。確かに出入り口は現在機能していない。何人かの生徒や先生が脱出を試みたが、ドアが開かなかったんだ。鍵はかかっていないはずなのに、だ」
「そうです。この学校には、結界が張られています。ボスを倒すまでは、絶対に出られません。ボクがボスを『ぶち殺して』来ますので、先生はここで待っていてください」
ボクはそう言って、今度はカオルとヨッシーに向き直る。
「カオルとヨッシーも、先生と一緒に待ってて」
ボクはカオルとヨッシーの肩に手を置く。
「いやだ。オレも行く。ヨッシーもだ。オレたちは一蓮托生。そうだろ?」
「うん。カオルちゃんの言う通りだよ。ちょっぴり怖いけど、僕だって戦える」
二人の気持ちは嬉しい。だけどボクは首を横に振った。
「ありがとう。だけど、ごめん。ボク一人でやりたいんだ。宝玉を取る為にボクらは危険をおかした。だけどもう、充分だよ。これ以上二人を危険な目にあわせたくない。だから、待ってて!」
ボクはそう言って教室を飛び出した。引き戸をバンと締め、玄関を見る。カオルのスマホの音楽は鳴り止んでいた。ゴキブリ奇蟲人が、ついに破壊したのだろう。
奴はボクを発見すると、嬉々として飛行してきた。世にも恐ろしい、ゴキブリの飛行だ。
だが今のボクに、敵に対する恐怖はない。あるのは自信と、怒りだけだ。
「ペンパイナッポーアッポー......」
奴は何かを言いかけていたが、ボクは跳躍して蹴りを放ち、その顔面を破壊した。
ドズゥン、と重い音を響かせて落下するゴキブリ野郎。奴の顔のあたりに、宝玉が出現している。ボクは既に変身しているが、宝珠は色んな事に使える。取っておこう。ステータス画面の「所持宝珠の個数」が、0から1になる。
「とどめだ! 神雷拳!」
輝く拳を叩き込み、蜘蛛野郎の完全抹殺を完了する。
「警告、警告。このエリアのボスが出現。ただちに排除してください」
脳内アプリに警告文が表示された。いよいよボス戦だ。ボクはゲーム内ではまだこいつに勝った事がない。この神使徒の力を持ってしても、倒すのが困難な敵なのだ。
マップを確認する。大きな赤丸がボスだ。奴は、屋上にいる。ボクは階段を駆け上がり、一気に屋上まで登った。
いた。奴だ。身体中に顔が付いている。見覚えのある顔だった。死んだクラスメイトや先生たち。校長先生の顔もある。ベースとなる虫は、おそらくスズメバチだ。それぞれの顔が、怨念に満ちた声を上げている。
ボクはゴクリ、と唾を飲んだ。これから、ゲームみたいな事が起こるんだ。現実で、このボスと戦うんだ。一度も勝った事がない、こいつと。
ボクは、奴の攻撃に耐えられるだろうか。不安と興奮、そして使命感が混ざった複雑な感情が、ボクの胸に去来した。
体が、成長していく! 手足が長く伸び、おっぱいがぐんぐん大きくなっていく。学ランのボタンが弾け飛び、Tシャツが限界まで伸びる。お尻もパンツが食い込んで、ちょっと痛い。
「すっげー! ツバサ、めっちゃエロいな!」
「ツバサ君が、美人なお姉さんになっちゃった......これってどういう事!?」
カオルもヨッシーも目を丸くしている。鏡はないけれど、ボクは脳内アプリで自分の姿とステータスを確認した。うん、ゲーム通り。美しく、強い。
「変身は完了したよ。これで奇蟲人をぶち殺せる。だけど学ランのままだと体がきついから、コスチュームチェンジするね。神衣武装!」
神使徒の能力の一つ、神衣武装は、今着ている服装を一旦異次元に消去し、高い防御力を誇る神衣を見にまとう能力だ。ボクの体がパァーッと輝き、学ランが消えて裸になる。え、嘘! こんな演出ゲームにはなかったよ!ボクは慌てて体を隠そうとするが、そう思った時には既に神衣が身にまとわれていた。
「おおおっ! すっげぇ、すっげぇ! ツバサ魔法少女みてぇじゃん! かっけー! なぁヨッシー!」
「うん。すごく強そう。美人だし」
「えへへ、照れちゃうなぁ♡よーし、じゃあボク、張り切っちゃうよ」
奇蟲人を完全に殺すには、肉体を完全に滅ぼす必要がある。そのための必殺技が、神使徒にはあるのだ。
「必殺! 神雷拳!」
ボクは伊藤先生の下半身を抱えたままの、カマキリ奇蟲人の背中に拳を叩き込んだ。その瞬間、拳が輝き、カマキリ奇蟲人の体が光に包まれる。カマキリ奇蟲人の体が、ボロボロと崩れていく。
「もちっ! もちっ! もちぃぃっ!」
山口先生のそばに転がっていた奴の生首も、叫び声をあげながら、同じように崩れていった。
「これで良し」
おおおー!と歓声と拍手が巻き起こる。
「助かった! ありがとう、キミ!」
山口先生がよろよろと立ち上がってボクを抱きしめる。
「ありがとう、本当にありがとう!」
「い、いえ、とんでもないです......」
うわわ、先生の温もりが伝わってきて......何故かドキドキしてしまう。ボク、男なのに。体がお姉さんになった影響なのかな。
「先生、いつまでツバサに抱きついてんだよ。そいつ、今はエロい格好の巨乳美女だけどさ、元は男だぜ」
カオルに指摘されて恥ずかしくなったのか、山口先生はパッとボクから離れる。
「す、すまない。そういえば、そうだったね。俺もさっき見てたよ。何がどうなってるのかさっぱりわからないけど」
先生はそう言って鼻の頭を掻いた。
「先生、今は説明している余裕はありません。あと一匹、怪物がいます。奇蟲人という、不死身の化け物です。ですが今のボクなら『ぶち殺せる』と思います。その後、ゲーム通りならボスキャラが出現します。そいつをぶっ殺せば、この学校から脱出出来るはずです」
「ゲーム? よくわからないが、ツバサ君、キミに従うよ。確かに出入り口は現在機能していない。何人かの生徒や先生が脱出を試みたが、ドアが開かなかったんだ。鍵はかかっていないはずなのに、だ」
「そうです。この学校には、結界が張られています。ボスを倒すまでは、絶対に出られません。ボクがボスを『ぶち殺して』来ますので、先生はここで待っていてください」
ボクはそう言って、今度はカオルとヨッシーに向き直る。
「カオルとヨッシーも、先生と一緒に待ってて」
ボクはカオルとヨッシーの肩に手を置く。
「いやだ。オレも行く。ヨッシーもだ。オレたちは一蓮托生。そうだろ?」
「うん。カオルちゃんの言う通りだよ。ちょっぴり怖いけど、僕だって戦える」
二人の気持ちは嬉しい。だけどボクは首を横に振った。
「ありがとう。だけど、ごめん。ボク一人でやりたいんだ。宝玉を取る為にボクらは危険をおかした。だけどもう、充分だよ。これ以上二人を危険な目にあわせたくない。だから、待ってて!」
ボクはそう言って教室を飛び出した。引き戸をバンと締め、玄関を見る。カオルのスマホの音楽は鳴り止んでいた。ゴキブリ奇蟲人が、ついに破壊したのだろう。
奴はボクを発見すると、嬉々として飛行してきた。世にも恐ろしい、ゴキブリの飛行だ。
だが今のボクに、敵に対する恐怖はない。あるのは自信と、怒りだけだ。
「ペンパイナッポーアッポー......」
奴は何かを言いかけていたが、ボクは跳躍して蹴りを放ち、その顔面を破壊した。
ドズゥン、と重い音を響かせて落下するゴキブリ野郎。奴の顔のあたりに、宝玉が出現している。ボクは既に変身しているが、宝珠は色んな事に使える。取っておこう。ステータス画面の「所持宝珠の個数」が、0から1になる。
「とどめだ! 神雷拳!」
輝く拳を叩き込み、蜘蛛野郎の完全抹殺を完了する。
「警告、警告。このエリアのボスが出現。ただちに排除してください」
脳内アプリに警告文が表示された。いよいよボス戦だ。ボクはゲーム内ではまだこいつに勝った事がない。この神使徒の力を持ってしても、倒すのが困難な敵なのだ。
マップを確認する。大きな赤丸がボスだ。奴は、屋上にいる。ボクは階段を駆け上がり、一気に屋上まで登った。
いた。奴だ。身体中に顔が付いている。見覚えのある顔だった。死んだクラスメイトや先生たち。校長先生の顔もある。ベースとなる虫は、おそらくスズメバチだ。それぞれの顔が、怨念に満ちた声を上げている。
ボクはゴクリ、と唾を飲んだ。これから、ゲームみたいな事が起こるんだ。現実で、このボスと戦うんだ。一度も勝った事がない、こいつと。
ボクは、奴の攻撃に耐えられるだろうか。不安と興奮、そして使命感が混ざった複雑な感情が、ボクの胸に去来した。
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