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247 青い鳥と 旅立ち (最終回)
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「よし、準備はいいか? 結構歩くからな。覚悟しとけよ」
「うん、大丈夫。足が痛くなったら回復をかけるよ」
「馬鹿言え、それが非常識なんだよ。ちゃんと自分の力で歩かねぇと、いざとなったときに困る。魔法に頼らず、自分の力をきちんと身につけることを覚えるんだ。まぁ、足が痛くなったら、抱っこ、してやらんこともないぞ?」
今日はオレとディック様が旅に出る日だ。
サーシャ様やクライス兄さんには滅茶苦茶反対されたけれど、でも、随分前からディック様は考えていたみたいで、なんだかんだと応援してくれることになったんだよ。オレとディック様だとどうしても普通の旅にはならないからって、『きらきら流れ星』をセントに送りがてら、まずは普通を認識しろって、タイトさんが助言してくれた。馬車の予定が徒歩になってしまったけれど、『きらきら流れ星』の三人も、旅をするのは初めてだから訓練になってちょうどいい。後方でフォルテさんや私軍のみんなが見守ってくれるらしい。
サンとレイは王都に残る。サンは戦闘メイドになる訓練を続けて、メリルさんが殿堂入りを果たした大会に臨むんだって。レイはタイトさんに執事の仕事を教わりながら、オレが学校に通うようになったら一緒にいられるように貴族の作法なども身につけるんだ。レイが大切に思っている『先生』との繋がりを見守る必要もあるそうで、落ち着いたらオレ達の旅にも合流してくれるって。
うふふ、その日が待ち遠しいよ。
王都の入り口の門までは、館中の人達が行列を作って見守ってくれ、オレ達は乗合馬車に乗り込んだ。みんなを安心させるために、まずはモルケル村まで二人で戻って、そこから再び旅に出るんだ。だから、まず、最初の目的地はカスティルム。ディック様は馬車の護衛依頼も受けて『きらきら流れ星』の三人とオレは普通の旅人だ。
「お、遅っせー! 」
護衛用の馬から、身体半分を落とすように滑らせたディック様。いつも颯爽と駆け抜けることばかりだったから、乗合馬車の速度に慣れないらしい。護衛用の馬を他の人に譲ったディック様はジロウの背に乗り移る。そして、ジロウと一緒に街道沿いにはいないだろう水辺の魔物を狩ってくる始末。数日エンデアベルト家で過ごしたおかげで耐性の付いたマリンさんに普通じゃないと叱られていた。
カスティルムに泊まった翌日からは、小さな帆馬車を買ってジロウに引かせて進むことにした。その方がスピードが出るからとご満悦。既に普通の旅ではないのだけれど、従魔との旅なのだから有りなのだそうだ。
「おい、ドラの奴はまだ寝てるのか?」
オレの鞄の中ですうすうと寝息を立てているドラちゃんを見て、ディック様はあきれ顔だ。ドラちゃんに運んでもらうなんて、それこそ冒険者違反だ。ドラゴンはその生の大半を眠って過ごすんだって。大きな身体だから、大量の魔素や食料が必要で、いつも動いているとお腹が空きすぎて狩りばかりすることになるから、世界が滅んでしまうんだそうだ。だから、ドラちゃんは小さくなってぐっすりと眠っている。セントに戻ったら、コーベダ山に還すんだ。でも、オレとの繋がりはそのままだ。なにかあったら駆けつけるって言ってもらった。ドラちゃんは可愛いもの好きだから、サーシャ様が新作ドレスを作ったらよんであげよう。(ディック様とジロウがいたらドラちゃんのすることが無いっていうのも理由らしい)
「ディック様ー! テントってこれで大丈夫ですか?」
「ルビー、食事の支度、始めちゃって!」
「結界、確認したー! 多分大丈夫!」
「「 ありがとうー 」」
初の野営の日、テキパキと準備を進める『きらきら流れ星』の三人。ディック様も手慣れていて、オレ達のテントをささっと立てた後、三人のテントを確認する。今回はオレ達で貸し切りの野営場だけれど、他の人達がいた場合の注意点とか、火の扱い方だとか、さばいた魔物の処理の仕方だとか、さらりとアドバイスをするところは、さすが元Aランクだ。
「あ、あの? ディック様? 見張りってしないの?」
食事を終え、テントに身体を横たえたディック様。小さなランタンの火を細くすると、オレを抱いたまま目をつむった。
「なんで見張りをするんだ?」
「えっ? だって、さっき、マリンさん達に教えてなかったっけ?」
ことりと首を傾げる。ジロウがいるから寝てもいいけれど、見張りの練習も必要だって言ったばかりなのに。
「あぁ、そりゃ、あいつらだからだよ。可愛い年頃の娘だからな。何かあったらいかんだろう。それに、ただの野営の見張りでもな、適性がある。それを探すために練習しろって話だ。夜に強い奴、朝に強い奴。いつでも身体を休められる奴もいれば、外じゃぁ全然寝れねぇ奴。ニコルみたいにな」
「えっ? ニコル、外で寝れないの?」
「 チッ! うっかり余分なことを言っちまった。まあ、アレだ、弱い奴や慣れない奴は野営じゃ身体を休められんってことだ。そういう奴は、なるべく野営を減らして、宿をとるようにすればいい。俺がいる間に各自の適性を知れって言っただけだ。だが、俺とお前の旅なら、互いにぐっすり寝れらるぞ。強えー奴が来たら起きるだろうが。 まぁ、起きなくっても初手で殺られやしねーよ。 相手は知らんがな」
そう言って、グーグーガーガー寝てしまった。うーん、普通はこんな風に寝ないよね? 普通の旅は遠いなぁ。
ニコルは結構繊細で、夜は安心できないと寝られないらしい。だから兄さん達は必然的に宿をとるように移動のスピードが速くなるし、どうしてものときは、夜の見張りはニコルに任せて、昼間の移動中にニコルに眠ってもらうようにしているんだって。
車輪が動かなくなった馬車を修理して乗せてもらったり、道を外れて川で流されたり。雨の香りを察知して洞窟で雨宿り。みんなで石積み遊びをしたり、薬草の煎じ方を習ったり。
普通でないけれど、普通を目指したオレ達の旅は思いのほか順調で、無事に三人をセントに届けたら、いよいよ目指すはモルケル村だ。お世話になったお礼に馬車を三人に預け、徒歩とジロウとで村に向かって歩き出した。春の終わりからすっかり夏の気配になった村に行くのは、うふふ、なんだかくすぐったいね。
街道から外れないように遠目に確認しながら、木々や草の茂みのある場所を歩く。暑さが厳しくなってきたから日陰や草の湿気で、体温を調節して歩くんだ。途中、ふわりふわりと幻獣達が顔をだして、水しぶきをとばしたり、冷たい木の実を落としてくれたりした。
「ははは。お前といたら、食うには困らんな。まぁ、木の実ばっかじゃ物足りんが」
しゃくり、しゃくり。水瓜を囓るディック様はご機嫌だ。ソラが大きい猛禽になって、日陰を提供してくれている。歩き通しで疲れてきたオレは、相変わらずディック様の腕の中やジロウの背で揺られながら、だけど、少しずつ体力をつけてたくましくなっていく。うふふ、オレ、ちゃんと大きくなっている。実感がわくのはうれしいなぁ。
『コウタの魔力、溢れてきたから、幻獣達も来てくれてうれしいね』
ジロウの言葉に、ディック様とオレとソラとジロウと、みんなみんな嬉しくなって瞳を細める。オレの頭上でプルルンとプルちゃんが飛び跳ね、その上でスカが大きなあくびをする。マメは退屈そうに肘を付いてこっくりこっくり。
今日も空はぐんと高くて、ソラに負けないほどの真っ青な青い色。そして真っ白な入道雲がふわりふわりとお日様の光を集めている。
ねぇ、父様、母様。
オレ、ひとりぼっちになって、辛くて、哀しくて、どうしてオレだけを残したのって、たくさん泣いて、泣いて、泣いて。たくさん、たくさん、考えた。
だけど、泣いた先には、大好きになった人がいて、また新しい世界が広がったんだ。父様も母様も、きっとこの世界を、この景色をオレに届けたかったんだね。
朝の陽がまぶしくて、高い空に柔らかな風がそよぐ。朝露も川の水も空気もなにもかもがキラキラと金の魔力を纏っているみたいに輝く。大好きな人とたくさん笑って、美味しいご飯をたくさん食べて、くたくたになるまで身体を動かして、夜、空を見上げると星が瞬いている。空一面に金の魔力を振りまいたみたいに。
ありがとう。
オレをこの世界に届けてくれて。
オレをこの世界に産み落としてくれて。
嬉しいことばかりじゃないけれど、だからこそ、今が輝く。
辛いことを耐える姿だって、全てが愛しくて美しい。
真っ直ぐに、正直に、ただ生きることができるなんて、なんて幸せなんだろう。
ありがとう。
ありがとう。
オレは幸せをたくさん感じられるから、オレはだれかの幸せになるんだ。そのために、頑張るよ。
オレのありったけの金の魔力を、生あるかぎり振りまいていく。
だから、どうか感じて。
貴方のそばに届く、オレの魔力。
ただ生きてほしい。その願いを込めた魔力を。
うまくいかなくても、かっこよくなくても、つい、自己本位になってしまっても。
ただ、生きるだけで 輝くものがある。
ただ、生きるだけでだれかの幸せになれる。
だから
オレは、ずっと、
そう、ソラと一緒に
この世界にも あの世界にも
溶けて 溶けて
金の魔力を放ち続ける
今日も 明日も あさっても
一年後も
十年後も
千年後も ずっと
~END~
Thank you for reading my story to the end.
ーーーーーーーーーーー
青い鳥と 日記 ~コウタとディック 幸せを詰め込んで~
今日まで つたない話を読んでいただきありがとうございます。
小説のイロハも理解せず、ただ読みたい話をつらつらと書いてきただけでしたが、本当にたくさんの方に読んでいただき、感謝しています。
キャラクター設定が上手ではないので、地味で同じような性格のキャラばかりでしたが、それでも一人一人、背負う背景も性格も、大切にするものへの心情も違い、私の頭の中では自由に動き回って主張しています。イラストやイメージ画が欲しいなと思いつつ、手が出せなくて少し後悔もありますが、だからこその想像力に委ねるのも悪くないのではと思います。
最終回を迎えましたが、まだ書き起こせていない脳内エピソードが幾つもありますので、ショートストーリーやスペシャルストーリーとしていつかお披露目したいです。最終回ではありますが、最終話ではありませんので、ずるいですがよろしくお願いいたします。
今日まで、可愛いコウタを見守ってくださって、本当にありがとうございました。
全ての読者様に感謝と幸せの金の魔力が届きますように、願いを込めて。
「うん、大丈夫。足が痛くなったら回復をかけるよ」
「馬鹿言え、それが非常識なんだよ。ちゃんと自分の力で歩かねぇと、いざとなったときに困る。魔法に頼らず、自分の力をきちんと身につけることを覚えるんだ。まぁ、足が痛くなったら、抱っこ、してやらんこともないぞ?」
今日はオレとディック様が旅に出る日だ。
サーシャ様やクライス兄さんには滅茶苦茶反対されたけれど、でも、随分前からディック様は考えていたみたいで、なんだかんだと応援してくれることになったんだよ。オレとディック様だとどうしても普通の旅にはならないからって、『きらきら流れ星』をセントに送りがてら、まずは普通を認識しろって、タイトさんが助言してくれた。馬車の予定が徒歩になってしまったけれど、『きらきら流れ星』の三人も、旅をするのは初めてだから訓練になってちょうどいい。後方でフォルテさんや私軍のみんなが見守ってくれるらしい。
サンとレイは王都に残る。サンは戦闘メイドになる訓練を続けて、メリルさんが殿堂入りを果たした大会に臨むんだって。レイはタイトさんに執事の仕事を教わりながら、オレが学校に通うようになったら一緒にいられるように貴族の作法なども身につけるんだ。レイが大切に思っている『先生』との繋がりを見守る必要もあるそうで、落ち着いたらオレ達の旅にも合流してくれるって。
うふふ、その日が待ち遠しいよ。
王都の入り口の門までは、館中の人達が行列を作って見守ってくれ、オレ達は乗合馬車に乗り込んだ。みんなを安心させるために、まずはモルケル村まで二人で戻って、そこから再び旅に出るんだ。だから、まず、最初の目的地はカスティルム。ディック様は馬車の護衛依頼も受けて『きらきら流れ星』の三人とオレは普通の旅人だ。
「お、遅っせー! 」
護衛用の馬から、身体半分を落とすように滑らせたディック様。いつも颯爽と駆け抜けることばかりだったから、乗合馬車の速度に慣れないらしい。護衛用の馬を他の人に譲ったディック様はジロウの背に乗り移る。そして、ジロウと一緒に街道沿いにはいないだろう水辺の魔物を狩ってくる始末。数日エンデアベルト家で過ごしたおかげで耐性の付いたマリンさんに普通じゃないと叱られていた。
カスティルムに泊まった翌日からは、小さな帆馬車を買ってジロウに引かせて進むことにした。その方がスピードが出るからとご満悦。既に普通の旅ではないのだけれど、従魔との旅なのだから有りなのだそうだ。
「おい、ドラの奴はまだ寝てるのか?」
オレの鞄の中ですうすうと寝息を立てているドラちゃんを見て、ディック様はあきれ顔だ。ドラちゃんに運んでもらうなんて、それこそ冒険者違反だ。ドラゴンはその生の大半を眠って過ごすんだって。大きな身体だから、大量の魔素や食料が必要で、いつも動いているとお腹が空きすぎて狩りばかりすることになるから、世界が滅んでしまうんだそうだ。だから、ドラちゃんは小さくなってぐっすりと眠っている。セントに戻ったら、コーベダ山に還すんだ。でも、オレとの繋がりはそのままだ。なにかあったら駆けつけるって言ってもらった。ドラちゃんは可愛いもの好きだから、サーシャ様が新作ドレスを作ったらよんであげよう。(ディック様とジロウがいたらドラちゃんのすることが無いっていうのも理由らしい)
「ディック様ー! テントってこれで大丈夫ですか?」
「ルビー、食事の支度、始めちゃって!」
「結界、確認したー! 多分大丈夫!」
「「 ありがとうー 」」
初の野営の日、テキパキと準備を進める『きらきら流れ星』の三人。ディック様も手慣れていて、オレ達のテントをささっと立てた後、三人のテントを確認する。今回はオレ達で貸し切りの野営場だけれど、他の人達がいた場合の注意点とか、火の扱い方だとか、さばいた魔物の処理の仕方だとか、さらりとアドバイスをするところは、さすが元Aランクだ。
「あ、あの? ディック様? 見張りってしないの?」
食事を終え、テントに身体を横たえたディック様。小さなランタンの火を細くすると、オレを抱いたまま目をつむった。
「なんで見張りをするんだ?」
「えっ? だって、さっき、マリンさん達に教えてなかったっけ?」
ことりと首を傾げる。ジロウがいるから寝てもいいけれど、見張りの練習も必要だって言ったばかりなのに。
「あぁ、そりゃ、あいつらだからだよ。可愛い年頃の娘だからな。何かあったらいかんだろう。それに、ただの野営の見張りでもな、適性がある。それを探すために練習しろって話だ。夜に強い奴、朝に強い奴。いつでも身体を休められる奴もいれば、外じゃぁ全然寝れねぇ奴。ニコルみたいにな」
「えっ? ニコル、外で寝れないの?」
「 チッ! うっかり余分なことを言っちまった。まあ、アレだ、弱い奴や慣れない奴は野営じゃ身体を休められんってことだ。そういう奴は、なるべく野営を減らして、宿をとるようにすればいい。俺がいる間に各自の適性を知れって言っただけだ。だが、俺とお前の旅なら、互いにぐっすり寝れらるぞ。強えー奴が来たら起きるだろうが。 まぁ、起きなくっても初手で殺られやしねーよ。 相手は知らんがな」
そう言って、グーグーガーガー寝てしまった。うーん、普通はこんな風に寝ないよね? 普通の旅は遠いなぁ。
ニコルは結構繊細で、夜は安心できないと寝られないらしい。だから兄さん達は必然的に宿をとるように移動のスピードが速くなるし、どうしてものときは、夜の見張りはニコルに任せて、昼間の移動中にニコルに眠ってもらうようにしているんだって。
車輪が動かなくなった馬車を修理して乗せてもらったり、道を外れて川で流されたり。雨の香りを察知して洞窟で雨宿り。みんなで石積み遊びをしたり、薬草の煎じ方を習ったり。
普通でないけれど、普通を目指したオレ達の旅は思いのほか順調で、無事に三人をセントに届けたら、いよいよ目指すはモルケル村だ。お世話になったお礼に馬車を三人に預け、徒歩とジロウとで村に向かって歩き出した。春の終わりからすっかり夏の気配になった村に行くのは、うふふ、なんだかくすぐったいね。
街道から外れないように遠目に確認しながら、木々や草の茂みのある場所を歩く。暑さが厳しくなってきたから日陰や草の湿気で、体温を調節して歩くんだ。途中、ふわりふわりと幻獣達が顔をだして、水しぶきをとばしたり、冷たい木の実を落としてくれたりした。
「ははは。お前といたら、食うには困らんな。まぁ、木の実ばっかじゃ物足りんが」
しゃくり、しゃくり。水瓜を囓るディック様はご機嫌だ。ソラが大きい猛禽になって、日陰を提供してくれている。歩き通しで疲れてきたオレは、相変わらずディック様の腕の中やジロウの背で揺られながら、だけど、少しずつ体力をつけてたくましくなっていく。うふふ、オレ、ちゃんと大きくなっている。実感がわくのはうれしいなぁ。
『コウタの魔力、溢れてきたから、幻獣達も来てくれてうれしいね』
ジロウの言葉に、ディック様とオレとソラとジロウと、みんなみんな嬉しくなって瞳を細める。オレの頭上でプルルンとプルちゃんが飛び跳ね、その上でスカが大きなあくびをする。マメは退屈そうに肘を付いてこっくりこっくり。
今日も空はぐんと高くて、ソラに負けないほどの真っ青な青い色。そして真っ白な入道雲がふわりふわりとお日様の光を集めている。
ねぇ、父様、母様。
オレ、ひとりぼっちになって、辛くて、哀しくて、どうしてオレだけを残したのって、たくさん泣いて、泣いて、泣いて。たくさん、たくさん、考えた。
だけど、泣いた先には、大好きになった人がいて、また新しい世界が広がったんだ。父様も母様も、きっとこの世界を、この景色をオレに届けたかったんだね。
朝の陽がまぶしくて、高い空に柔らかな風がそよぐ。朝露も川の水も空気もなにもかもがキラキラと金の魔力を纏っているみたいに輝く。大好きな人とたくさん笑って、美味しいご飯をたくさん食べて、くたくたになるまで身体を動かして、夜、空を見上げると星が瞬いている。空一面に金の魔力を振りまいたみたいに。
ありがとう。
オレをこの世界に届けてくれて。
オレをこの世界に産み落としてくれて。
嬉しいことばかりじゃないけれど、だからこそ、今が輝く。
辛いことを耐える姿だって、全てが愛しくて美しい。
真っ直ぐに、正直に、ただ生きることができるなんて、なんて幸せなんだろう。
ありがとう。
ありがとう。
オレは幸せをたくさん感じられるから、オレはだれかの幸せになるんだ。そのために、頑張るよ。
オレのありったけの金の魔力を、生あるかぎり振りまいていく。
だから、どうか感じて。
貴方のそばに届く、オレの魔力。
ただ生きてほしい。その願いを込めた魔力を。
うまくいかなくても、かっこよくなくても、つい、自己本位になってしまっても。
ただ、生きるだけで 輝くものがある。
ただ、生きるだけでだれかの幸せになれる。
だから
オレは、ずっと、
そう、ソラと一緒に
この世界にも あの世界にも
溶けて 溶けて
金の魔力を放ち続ける
今日も 明日も あさっても
一年後も
十年後も
千年後も ずっと
~END~
Thank you for reading my story to the end.
ーーーーーーーーーーー
青い鳥と 日記 ~コウタとディック 幸せを詰め込んで~
今日まで つたない話を読んでいただきありがとうございます。
小説のイロハも理解せず、ただ読みたい話をつらつらと書いてきただけでしたが、本当にたくさんの方に読んでいただき、感謝しています。
キャラクター設定が上手ではないので、地味で同じような性格のキャラばかりでしたが、それでも一人一人、背負う背景も性格も、大切にするものへの心情も違い、私の頭の中では自由に動き回って主張しています。イラストやイメージ画が欲しいなと思いつつ、手が出せなくて少し後悔もありますが、だからこその想像力に委ねるのも悪くないのではと思います。
最終回を迎えましたが、まだ書き起こせていない脳内エピソードが幾つもありますので、ショートストーリーやスペシャルストーリーとしていつかお披露目したいです。最終回ではありますが、最終話ではありませんので、ずるいですがよろしくお願いいたします。
今日まで、可愛いコウタを見守ってくださって、本当にありがとうございました。
全ての読者様に感謝と幸せの金の魔力が届きますように、願いを込めて。
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