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臆病者 side千秋
しおりを挟む結局、その後も奏さんとは気まずいままだ。
もう1週間になる。
なるべく普通にしようと、意識すればする程ぎこちなくなってしまう。
俺は、何も聞く事が出来なかった。
もし、まだあの男の事を奏さんが好きだったら?
ヨリを戻したりしたら?
俺はどうしたらいい?
捨てられるの?
奏さんにはっきりとあの男のほうが大切だと言われたら立ち直れないから、もう見て見ぬふりをしたい。
気にしない、気にしないって思えば思う程、心が重たくなっていく。
今日は、奏さんが休みで、俺は仕事。
奏さんは
「今日は私が車で送るよ?」
って行ってくれたけど、断った。
最近は2人で話をする事が怖い。
いつ、奏さんから、出て行ってって言われるかと思うと、つい逃げてしまう。
毎日、一緒にいるのに…好きな人と一緒にいるのに、辛い。
でも、絶対に離れたくない。
俺はどうしてこんなに臆病なんだろ。
余計な事を考えなくて済むから、最近は仕事の方が良い。
俺は少し残業した後、家に向かう。
『帰るね』のメールをして自転車に乗る。
奏さんに会いたいのに、会いたくない。
最近はウジウジしてるこんな俺を、奏さんはもう嫌いになったかもしれない。
1ヶ月以上一緒に居る。
少しは奏さんの気持ちが俺に向いてきてくれたんじゃないかな…なんて自惚れたりしてたけど…気持ちを確認した事はない。
「好きじゃない」ってはっきり言われるのが怖いから。
曖昧にする事で、逃げてただけだけど。
俺は、奏さんの事を考えていて、気がつくのが遅れてしまった。
……一時停止を無視した車が突っ込んで来るのをスローモーションのように見ていた。
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