理想のオトコ、飼ってます。

初瀬 叶

文字の大きさ
上 下
10 / 22

1日目終了

しおりを挟む
「ここが千秋くんの部屋ね。」

私は客間に使っていた和室に案内する。
このマンションは3LDKだ。後は私の部屋と亡くなった母の部屋。

「お布団はこれ使って。」
と押し入れを開けてお客様用の布団を取り出す。

「あ、後は俺がやるよ。」
と千秋くんが私から布団を取り上げた。

「この部屋、襖だから鍵ないんだけど、良いかな?私は勝手に入ったりしないけど。」

「奏さんなら、いつ入って来てもいいよ~。なんなら、夜に襲ってくれても良いけど?」

「ちなみに、私の部屋は鍵かけとくから。」

「わかってるよ~。奏さんに嫌われるような事、俺絶対しないから。」
わかってれば、よろしい。

「で、こっちがお風呂と洗面所。あっちがおトイレね。」

私が案内する後ろから、千秋くんがついてくる。

「早速お風呂にお湯張ろうか。さっと掃除してから、お湯張りするね。」

「それ、俺がするよ。お湯張りの操作教えて?」
私はそれを千秋くんに任せると、リビングに戻った。

今日買った千秋くんの歯ブラシやパジャマや下着を袋から出していく。
本当なら1回洗濯した方が良いんだろうけど、今回は仕方ない。

お湯張りを済ませた千秋くんがリビングに戻ってくる。

「お風呂、お先にどうぞ?私は後で良いよ。
自分が入った後に入られるの、なんか恥ずかしいから。」

「そう?なら、遠慮なく先に入らしてもらっちゃおうかな。」

「はい、これ。」
とさっき袋から出した物を千秋くんに渡す。そうしていると、お湯張り完了のメロディが鳴った。

千秋くんがお風呂から上がった後、私も入る。
知らない男の人が部屋に居るのにお風呂に入ってるなんて、本当なら、絶対あり得ない。
何故か千秋くんには警戒心が薄い自分がいる。理由はわからないし、考えた所でこのシチュエーションが変わる事はない。
受け入れよう。


お風呂から上がったら、猛烈に眠くなってきた。精神的に今日は疲れたせいだろう。明日は仕事だ。早く寝よう。

「明日も仕事だし、もう私寝るけど。明日の朝食、ご飯で大丈夫?」

「あ、明日も俺が作るよ。和食がいい?今日買った食材使っていいよね?」

「え、千秋くんは別にゆっくり寝てていいよ?」

「どうせ、役所に手続きに行くし、その後、ハローワーク行くし、ちゃんと起きるよ。
それに、奏さんの顔見ないと1日が始まらないし。」

「大げさ。そういえば、今日ガチャからでたやつどうしたら良い?」

「あ、俺にちょうだい。明日使う。」

私は今日持って行ってたトートバッグを開ける、そこには、ガチャで引いたアイテムがミニチュアサイズではなく、普通のサイズになって入ってた。

「なにこれ?どうなってんの?」

「フフッ。びっくりした?あのガチャ便利だよね~。」
そういう話ではない。

「現実逃避したくなった。」

「あはは。まぁ、信じられない気持ちはわかるよ。一種の魔法か何かと思っててよ。」

現実世界に魔法は存在しない。
某有名なポッターさんは何処にもいないのだから。

「頭痛くなってきた。もう寝る。おやすみ」
私は自分の部屋に戻る。

「おやすみなさい。奏さん。」
千秋くんがヒラヒラと手を振っている。

もなかが私の後をついてくる。もなか…今日は存在感薄いな。
強烈なワンコを飼い始めたからなんだけどさ。頑張れ、もなか。
ライバルは手強いぞ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】私のことが大好きな婚約者さま

咲雪
恋愛
 私は、リアーナ・ムスカ侯爵令嬢。第二王子アレンディオ・ルーデンス殿下の婚約者です。アレンディオ殿下の5歳上の第一王子が病に倒れて3年経ちました。アレンディオ殿下を王太子にと推す声が大きくなってきました。王子妃として嫁ぐつもりで婚約したのに、王太子妃なんて聞いてません。悩ましく、鬱鬱した日々。私は一体どうなるの? ・sideリアーナは、王太子妃なんて聞いてない!と悩むところから始まります。 ・sideアレンディオは、とにかくアレンディオが頑張る話です。 ※番外編含め全28話完結、予約投稿済みです。 ※ご都合展開ありです。

踏み台令嬢はへこたれない

IchikoMiyagi
恋愛
「婚約破棄してくれ!」  公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。  春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。  そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?  これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。 「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」  ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。  なろうでも投稿しています。

【完結】欲しがり義妹に王位を奪われ偽者花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとドキドキしていたらイケメン王に溺愛されてます。

美咲アリス
恋愛
【Amazonベストセラー入りしました(長編版)】「国王陛下!わたくしは偽者の花嫁です!どうぞわたくしを処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(にっこり)」意地悪な義母の策略で義妹の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王女のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯? 

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

冷徹義兄の密やかな熱愛

橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。 普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。 ※王道ヒーローではありません

【完結】溺愛される意味が分かりません!?

もわゆぬ
恋愛
正義感強め、口調も強め、見た目はクールな侯爵令嬢 ルルーシュア=メライーブス 王太子の婚約者でありながら、何故か何年も王太子には会えていない。 学園に通い、それが終われば王妃教育という淡々とした毎日。 趣味はといえば可愛らしい淑女を観察する事位だ。 有るきっかけと共に王太子が再び私の前に現れ、彼は私を「愛しいルルーシュア」と言う。 正直、意味が分からない。 さっぱり系令嬢と腹黒王太子は無事に結ばれる事が出来るのか? ☆カダール王国シリーズ 短編☆

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...