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俺の気持ち side千秋

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俺が食器を洗ってる背中に奏さんの視線を感じる。
さっきは捨てられるかもしれないって思って、怖くなって席を立っちゃったけど…。
近くに奏さんがいるって思うだけで嬉しい。


俺はずっと待ってた。奏さんが選んでくれるのを。
他の『オトコ』が選ばれて、ガチャから出ていく。俺は何人もその姿を見送った。
いつも、いつもすげー羨ましかった。だから、ずっと待ってた。
奏さんがこのガチャを引いてくれる時を。

俺は奏さんの『理想のオトコ』だ。
さっき奏さんの言った『犬みたいな人』
それが奏さんの絶対条件だ。
でも、彼女はわかってない。従順な人っていうのは半分正解で半分ハズレ。
奏さんが相手に求める絶対条件は『盲目的な愛』だ。
犬が飼い主を愛するように、盲目的に愛されたい…それが奏さんの求める絶対条件。
彼女は自分でも気付いてない。いや、気付いていても、口にするのは恥ずかしいと思ってるのかも。



俺はずっと彼女に恋してた。
俺は彼女を知っている。あそこで他のガチャをする彼女をずっと見てたから。
ショートカットの茶色い柔らかそうな髪も、白い肌も、少し低めの声も、茶色の目も、マシュマロみたいな少し大きな胸も、お目当てのガチャを引いた時の嬉しそうな笑顔も。全部、全部大好きだ。

たまに男連れの時もあって、その時は早く別れろって呪いにも似た祈りを捧げてた。

必要だと思う人の前にしか現れないガチャ。
だから早く俺を必要としてって声にならない声で叫んでた。

だから俺が奏さんの『理想のオトコ』
だって、俺が1番奏さんを愛してるから。

ねぇ、俺がこの日をどれだけ待ってたかわかる?
奏さんが俺の入ったカプセルを手にした時の嬉しさがわかる?
俺はやっと手に入れたこの場所を絶対に手放さない。

絶対に離れてあげないから、覚悟しておいてね?
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