71 / 75
71話
しおりを挟む
『ピンポーン』
という玄関のインターホンと同時に何故か鍵が開いた。
……この部屋の合鍵を持っている人物。そう、それは殿下と私、そして私がお願いして持って貰っていた……
「マイラちゃん!!!無事!?」
と転がる様にチアキが部屋へと入ってきた。
後ろで店長が、
「千秋……靴……」
と目を丸くしているのが見える。
チアキは、私とハヤトの間に割って入ると、
「ちょっとあんた!!マイラちゃんに何したのよ!何で今さら、うちの店で働くなとか言ってんの?!どんだけマイラちゃんに助けて貰ったんだよ!何?此処を出て行かれたくないなら、あんたがちゃんとマイラちゃんに向き合って、2人で気分良く暮らせる様にしたら良かったでしょう?店辞めさせたからって、マイラちゃんが此処を引っ越す事は変わらないから!!!」
とハヤトの胸ぐらを掴んでハヤトに食ってかかった。
「ちょっ!!おい!苦しい!千秋、離せ!」
「チアキ!違うの!とにかくハヤトを離してあげて!ちゃんと説明するから!」
と私はチアキの腕を掴む。
玄関からは、
「おじゃましまーす」
と少し呑気な店長の声が聞こえる。カオス。
「あんたに千秋って呼ばれたくないのよ!あんたがマイラちゃんへの気持ちを拗らせてるから、マイラちゃんも此処で暮らせなくなったんでしょうよ!」
とチアキはガクガクとハヤトを揺らす。
「あーあ。千秋、とりあえず落ち着け。ほらマイラちゃんがオロオロしてるだろ?」
と店長は穏やかにチアキの腕を掴んで、ハヤトの服をギュッと握っていた掌をゆっくりと引き剥がした。
やっと自由になったハヤトは、
「お前、相変わらず力がつえーな!苦しかっただろうが!兄を殺す気か?」
「なーにが『兄』よ!あんたとは赤の他人よ!!」
「だから、俺は……!」
と2人がまた揉め始めた所で、
「ストーップ!!」
と店長が大きな声を出した。
言い争っていた2人がその声に固まった。
その機を見て、私はチアキに、
「チアキ、ハヤトです!彼は間違いなくハヤトですから!」
とハヤトの肩を掴んで揺らした。
「は?どういう事?ハヤトって……お兄ちゃん?!あいつは?フェルナンドは?!」
と混乱するチアキに、店長は、
「お前達……頭大丈夫?」
と心配そうに呟いた。
という玄関のインターホンと同時に何故か鍵が開いた。
……この部屋の合鍵を持っている人物。そう、それは殿下と私、そして私がお願いして持って貰っていた……
「マイラちゃん!!!無事!?」
と転がる様にチアキが部屋へと入ってきた。
後ろで店長が、
「千秋……靴……」
と目を丸くしているのが見える。
チアキは、私とハヤトの間に割って入ると、
「ちょっとあんた!!マイラちゃんに何したのよ!何で今さら、うちの店で働くなとか言ってんの?!どんだけマイラちゃんに助けて貰ったんだよ!何?此処を出て行かれたくないなら、あんたがちゃんとマイラちゃんに向き合って、2人で気分良く暮らせる様にしたら良かったでしょう?店辞めさせたからって、マイラちゃんが此処を引っ越す事は変わらないから!!!」
とハヤトの胸ぐらを掴んでハヤトに食ってかかった。
「ちょっ!!おい!苦しい!千秋、離せ!」
「チアキ!違うの!とにかくハヤトを離してあげて!ちゃんと説明するから!」
と私はチアキの腕を掴む。
玄関からは、
「おじゃましまーす」
と少し呑気な店長の声が聞こえる。カオス。
「あんたに千秋って呼ばれたくないのよ!あんたがマイラちゃんへの気持ちを拗らせてるから、マイラちゃんも此処で暮らせなくなったんでしょうよ!」
とチアキはガクガクとハヤトを揺らす。
「あーあ。千秋、とりあえず落ち着け。ほらマイラちゃんがオロオロしてるだろ?」
と店長は穏やかにチアキの腕を掴んで、ハヤトの服をギュッと握っていた掌をゆっくりと引き剥がした。
やっと自由になったハヤトは、
「お前、相変わらず力がつえーな!苦しかっただろうが!兄を殺す気か?」
「なーにが『兄』よ!あんたとは赤の他人よ!!」
「だから、俺は……!」
と2人がまた揉め始めた所で、
「ストーップ!!」
と店長が大きな声を出した。
言い争っていた2人がその声に固まった。
その機を見て、私はチアキに、
「チアキ、ハヤトです!彼は間違いなくハヤトですから!」
とハヤトの肩を掴んで揺らした。
「は?どういう事?ハヤトって……お兄ちゃん?!あいつは?フェルナンドは?!」
と混乱するチアキに、店長は、
「お前達……頭大丈夫?」
と心配そうに呟いた。
37
お気に入りに追加
935
あなたにおすすめの小説

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。
変態婚約者を無事妹に奪わせて婚約破棄されたので気ままな城下町ライフを送っていたらなぜだか王太子に溺愛されることになってしまいました?!
utsugi
恋愛
私、こんなにも婚約者として貴方に尽くしてまいりましたのにひどすぎますわ!(笑)
妹に婚約者を奪われ婚約破棄された令嬢マリアベルは悲しみのあまり(?)生家を抜け出し城下町で庶民として気ままな生活を送ることになった。身分を隠して自由に生きようと思っていたのにひょんなことから光魔法の能力が開花し半強制的に魔法学校に入学させられることに。そのうちなぜか王太子から溺愛されるようになったけれど王太子にはなにやら秘密がありそうで……?!
※適宜内容を修正する場合があります

私を運命の相手とプロポーズしておきながら、可哀そうな幼馴染の方が大切なのですね! 幼馴染と幸せにお過ごしください
迷い人
恋愛
王国の特殊爵位『フラワーズ』を頂いたその日。
アシャール王国でも美貌と名高いディディエ・オラール様から婚姻の申し込みを受けた。
断るに断れない状況での婚姻の申し込み。
仕事の邪魔はしないと言う約束のもと、私はその婚姻の申し出を承諾する。
優しい人。
貞節と名高い人。
一目惚れだと、運命の相手だと、彼は言った。
細やかな気遣いと、距離を保った愛情表現。
私も愛しております。
そう告げようとした日、彼は私にこうつげたのです。
「子を事故で亡くした幼馴染が、心をすり減らして戻ってきたんだ。 私はしばらく彼女についていてあげたい」
そう言って私の物を、つぎつぎ幼馴染に与えていく。
優しかったアナタは幻ですか?
どうぞ、幼馴染とお幸せに、請求書はそちらに回しておきます。

選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです

【完結】あなたに抱きしめられたくてー。
彩華(あやはな)
恋愛
細い指が私の首を絞めた。泣く母の顔に、私は自分が生まれてきたことを後悔したー。
そして、母の言われるままに言われ孤児院にお世話になることになる。
やがて学園にいくことになるが、王子殿下にからまれるようになり・・・。
大きな秘密を抱えた私は、彼から逃げるのだった。
同時に母の事実も知ることになってゆく・・・。
*ヤバめの男あり。ヒーローの出現は遅め。
もやもや(いつもながら・・・)、ポロポロありになると思います。初めから重めです。

辺境伯へ嫁ぎます。
アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。
隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。
私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。
辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。
本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。
辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。
辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。
それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか?
そんな望みを抱いてしまいます。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 設定はゆるいです。
(言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)
❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。
(出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる