56 / 75
56話
しおりを挟む
「でも…新しく住む場所、目星ついてんの?」
チアキが不安そうに訊ねる。
「実は、店長に相談したら心当たりがあると言ってもらえて」
「店長?」
「はい。か、彼氏と別れたいからと…ちょっと嘘をついているようで心苦しくなったのですが…」
「いや、それは許容範囲の嘘よ。店長はあいつの事彼氏だって思ってるんだし。それで?店長が物件探してくれたの?」
「はい。お友達が海外に行っている間、そのお部屋を使って良いと。家具や家電も揃っているので、助かりました。その間にお金を貯めて…自分で部屋を借りれるようになれば良いなって思っています」
「へぇ~都合良く良い部屋見つかって良かったじゃん!あいつも……マイラちゃんと一緒に居るの……苦しいんだろうね」
とチアキは少し苦笑いした。
「そう…ですね。私もこれ以上殿下と一緒に居る事が良いとは思えなくて。でも、心配では……あります」
「うーん。まぁ…そっか。なら、私がたまに様子見に行ってあげるよ。だから安心して!あ、それと、私も話があったんだった!」
「そういえば。チアキ『見つかった』って……」
「そう!あの漫画…『復讐の天使』の二次創作を描いてた人、見つけたんだよ!」
とチアキは笑顔で私にそう言った。
「見つかったんですね!」
「そうそう。で、どうしたいの?マイラちゃんは」
「出来ればその方の描いた漫画を読んでみたくて」
「実はその人のSNSにメッセージを送ったんだよね。そしたらそんなに遠くに住んでないみたいで……お互いの中間地点で会うのは可能みたいなの……どうする?」
「是非!可能であるならお願いします!」
と私は思わずチアキの手を握っていた。
私とチアキとその方の3人は次の休みに会う約束をする事が出来た。
私が部屋へ戻る為にアパートへ向かっていると、少し先を歩く殿下の姿を見つけた。
今日は部屋に戻って来るつもりなのかしら?
私はそう思いながら、殿下の少し後ろを歩き、その背中に話しかけるタイミングを探す。
今日、殿下が居るならば部屋を出ていく事をきちんと話したい。
チアキが不安そうに訊ねる。
「実は、店長に相談したら心当たりがあると言ってもらえて」
「店長?」
「はい。か、彼氏と別れたいからと…ちょっと嘘をついているようで心苦しくなったのですが…」
「いや、それは許容範囲の嘘よ。店長はあいつの事彼氏だって思ってるんだし。それで?店長が物件探してくれたの?」
「はい。お友達が海外に行っている間、そのお部屋を使って良いと。家具や家電も揃っているので、助かりました。その間にお金を貯めて…自分で部屋を借りれるようになれば良いなって思っています」
「へぇ~都合良く良い部屋見つかって良かったじゃん!あいつも……マイラちゃんと一緒に居るの……苦しいんだろうね」
とチアキは少し苦笑いした。
「そう…ですね。私もこれ以上殿下と一緒に居る事が良いとは思えなくて。でも、心配では……あります」
「うーん。まぁ…そっか。なら、私がたまに様子見に行ってあげるよ。だから安心して!あ、それと、私も話があったんだった!」
「そういえば。チアキ『見つかった』って……」
「そう!あの漫画…『復讐の天使』の二次創作を描いてた人、見つけたんだよ!」
とチアキは笑顔で私にそう言った。
「見つかったんですね!」
「そうそう。で、どうしたいの?マイラちゃんは」
「出来ればその方の描いた漫画を読んでみたくて」
「実はその人のSNSにメッセージを送ったんだよね。そしたらそんなに遠くに住んでないみたいで……お互いの中間地点で会うのは可能みたいなの……どうする?」
「是非!可能であるならお願いします!」
と私は思わずチアキの手を握っていた。
私とチアキとその方の3人は次の休みに会う約束をする事が出来た。
私が部屋へ戻る為にアパートへ向かっていると、少し先を歩く殿下の姿を見つけた。
今日は部屋に戻って来るつもりなのかしら?
私はそう思いながら、殿下の少し後ろを歩き、その背中に話しかけるタイミングを探す。
今日、殿下が居るならば部屋を出ていく事をきちんと話したい。
40
お気に入りに追加
935
あなたにおすすめの小説

選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。

私を運命の相手とプロポーズしておきながら、可哀そうな幼馴染の方が大切なのですね! 幼馴染と幸せにお過ごしください
迷い人
恋愛
王国の特殊爵位『フラワーズ』を頂いたその日。
アシャール王国でも美貌と名高いディディエ・オラール様から婚姻の申し込みを受けた。
断るに断れない状況での婚姻の申し込み。
仕事の邪魔はしないと言う約束のもと、私はその婚姻の申し出を承諾する。
優しい人。
貞節と名高い人。
一目惚れだと、運命の相手だと、彼は言った。
細やかな気遣いと、距離を保った愛情表現。
私も愛しております。
そう告げようとした日、彼は私にこうつげたのです。
「子を事故で亡くした幼馴染が、心をすり減らして戻ってきたんだ。 私はしばらく彼女についていてあげたい」
そう言って私の物を、つぎつぎ幼馴染に与えていく。
優しかったアナタは幻ですか?
どうぞ、幼馴染とお幸せに、請求書はそちらに回しておきます。
変態婚約者を無事妹に奪わせて婚約破棄されたので気ままな城下町ライフを送っていたらなぜだか王太子に溺愛されることになってしまいました?!
utsugi
恋愛
私、こんなにも婚約者として貴方に尽くしてまいりましたのにひどすぎますわ!(笑)
妹に婚約者を奪われ婚約破棄された令嬢マリアベルは悲しみのあまり(?)生家を抜け出し城下町で庶民として気ままな生活を送ることになった。身分を隠して自由に生きようと思っていたのにひょんなことから光魔法の能力が開花し半強制的に魔法学校に入学させられることに。そのうちなぜか王太子から溺愛されるようになったけれど王太子にはなにやら秘密がありそうで……?!
※適宜内容を修正する場合があります
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。

【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる