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28話
しおりを挟むハヤトとの距離感に悩み始めた私。
周りから見れば『どうしちゃったの?王太子夫妻!?』という感じだろう。
急激な息子の変貌に、事実確認をしたくなったのか、私はマチルダ王妃…所謂、義母にお茶会と称して呼び出されていた。
「最近…フェルナンドと仲良くしているようね?」
と言う妃陛下に私は、
「夫婦ですから。これまでのお互いの振る舞いを省みた結果です」
…本当は違うけど、最近はこう答える事を定石としていた。ハヤトは確か…『テンプレ』とか言っていたかしら?
「そう。まぁ…当たり前よね。今までのフェルナンドの振る舞いの方が疑問だったぐらいですもの。
初恋を拗らせると、あぁなるのかと、ずっと不思議だったのよ」
と言う妃陛下の言葉。
ん?…ちょっと意味がわからない言葉が混じっていたような…。
私は肯定も否定も出来ず、キョトンとしてしまう。
そんな私に気づいているのか、いないのかわからないが、妃陛下は続けて、
「貴方だって不思議だったでしょう?あんなにフェルナンドから望まれて婚約したのに、邪険に扱われて。
私も何度か注意したのよ?でも、あの子ったら聞く耳を持たなくて…」
と言うと妃陛下はカップを持ち上げ、紅茶を一口飲んだ。
『あんなにフェルナンドから望まれて』?ん?それってどういう意味?
「あの…、私が婚約者として選ばれたのは、たまたまあの時に釣り合いのとれる令嬢が私しか居なかったからでは?」
と私が訊ねると、
「は?そんな訳ないじゃない。他にも候補は居たわよ?
フェルナンドは少し…頼りないでしょう?
だから、歳上でも良いんじゃないかと、私も陛下も考えた事があったの。
でもフェルナンドが『絶対にマイラが良い』と。それならば大切になさいと何度か言ったんだけど。
貴女のご両親だって、何度か婚約の解消を申し出ていたし。あの子が何を考えているのか…本当に不思議だったわ。結局、エレーヌを直ぐに側妃にまでしちゃうし…」
と妃陛下は首を傾げながら言う。
「まぁ、でもやっとフェルナンドも貴女を大切にする気になったのね。安心したわ」
と笑顔で続けて言う妃陛下。
ちょっと待って欲しい。あまりに衝撃的過ぎる事実に私は軽くパニックになる。
え?殿下って……まさか私の事が好きだったとか?
いや…まさか…そんな…嘘でしょう?
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