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23話
しおりを挟む「ご機嫌いかがです?妃殿下」
先に口を開いたのはエレーヌ様だ。
「今の今まで良かったのだけど。
どうして貴女が私の目の前に立ちはだかっているのかしら?」
王宮の中で私は悪、エレーヌ様が善だ。
だが、立場は私が上。腐っても私は正妃。
私の話し方、悪役っぽい?いいじゃない、今まで2年間それでやってきたんだし。
「…殿下をそろそろ解放して下さいません?」
私の質問は完全に無視ね。
エレーヌ様は私に敵対心剥き出しで喧嘩を吹っ掛けてきた。
「何の話?それに、私の質問に答えたらどう?」
「しらばっくれるのもいい加減になさって下さい。もしや…殿下を脅していらっしゃったりするのです?」
失礼だな。脅す道具もないのに。
「脅すなど…。貴女の頭はどうなってるの?
とにかく、そこをお退きなさい。自分の立場をわかっているの?」
と私が言えば、流石にエレーヌ様に付いている侍女が、
「エ、エレーヌ様…流石にここは妃殿下に道をお譲りしませんと…」
とエレーヌ様に言うが、
「うるさいわね!今、私が話しているでしょう!!」
と侍女に向かってエレーヌ様は怒鳴った。
怒鳴られた侍女は、いつものエレーヌ様とのギャップに驚いたのか、少し涙目だ。
すっかり萎縮してしまっている。
あらあら。いつもの聖母のようなエレーヌ様はどこへ行ったのかしら?
化けの皮が剥がれる程、焦ってるって事よね。
私は殿下から、エレーヌ様がどうやって殿下を殺害しようとしているのか、その話をつい先日聞いたばかりだ。
王族と言うのは幼少期から少しずつ毒に慣れる訓練をしているので、ちょっとやそっとの毒で死ぬことはない。
しかし、殿下はこの半年程前からエレーヌ様に蓄積するタイプの毒を飲まされていたらしい。
…まぁ、これもハヤトのまんがの知識だが。
寝酒に混注されたその毒は口にしてもすぐに効果が現れるタイプの毒ではない。
しかし少しずつ、そして確実に殿下の体を蝕んでいく物なのだそう。
じゃあ、犯人としてエレーヌ様の名前が挙がってもおかしくないのに、何故かエレーヌ様ではなく、私が殿下殺しの犯人にされてしまう。疑問が湧くのも無理はない。
その疑問の答えは、私からのプレゼントのワインに毒が仕込まれていて、それが最後のダメ押しになるからだ。
何で仲の悪い私がワインを殿下にプレゼントする事になるのか…はまた後で話すとしよう。
とりあえず、今は目の前のエレーヌ様をどうにかしなくてはいけない。
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