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13話
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翌日、朝食を取るのに、一緒に現れた私と殿下に一同は目を丸くした。
朝起きると殿下はまだソファーで眠っていたので、私はさっさと自分の部屋に戻ったのたが、そこには目に涙を浮かべたメリッサが立っていた。
私は『別に何もされていない。殿下とは2人で話がしたかっただけだ』と説明したのだが、メリッサは、
『何故急に殿下がその様な事を…。あの女狐と喧嘩でもしたのでしょうか?それにしても今まで酷い対応しかして来なかったマイラ様に何のお話があると言うのです…』
とさめざめと泣いていた。心配をかけて申し訳ないと思うが、真実は例えメリッサであっても言う事は出来なかった。
朝食の席でも殿下は私に話しかけてくる。
そんな所を今まで見たことがなかった使用人達は自分が見ているものが余程信じられなかったのか、何度も目を擦っていた。
「マイラ。今日はどんな仕事が?」
と訊ねてくる殿下に、
「孤児院の視察ですわ。足りない物や足りない設備があれば寄付を増やさなければなりませんし。それと教会へ。子ども達に勉強を教えている様子を見に」
「ふーん。なら、それ、俺も行こうかな?」
と言う殿下に、後ろに居た側近が、
「殿下!1週間も仕事を放棄されていたのですよ?そんな暇はありません!」
と慌てて止めた。
「大丈夫!明日から頑張るから。今日はマイラと一緒に行きたいんだ。な?マイラも良いだろう?」
と何故か私に殿下は話を振ってきた。
面倒くさい。
「殿下の執務は私もお手伝いします。では今日は一緒に視察へ参りましょう」
もしかしたら、これは積み荷の点検へ殿下が行く為の伏線なのかもしれない。今まで外回りの仕事をして来なかった殿下が、急に積み荷の点検に行くのも変な話だ。
私はそう思い、殿下が私の視察に付いてくる事を了承したのだった。
馬車の中でも2人きり。殿下がそう望んだからだ。
「視察に来ると言ったのは…例の件であまり不審がられない為ですよね?」
ガラガラと馬車の車輪の音がするので、ちょっとやそっとでは聞こえないだろうが、ついつい小さな声になってしまう。
そう確認した私に、
「はえ?あ~そっか。そうだよな~」
と想定外の返事が来た。
「え?違ったのです?」
「あはっ。そこまで深く考えてなかった」
と明るく笑う殿下。
…拍子抜けだ。
孤児院に着いてからも、
「難しい話はマイラ頼むよ。俺は子ども達と遊んでるから」
と私の耳元で言ったかと思うと、子ども達と庭で遊び始めた殿下。
院長は、
「あの…どうして急にフェルナンド殿下までこちらに?うちが何か調べられているのでしょうか?」
と不安そうに私に訊ねてきた。不正でも疑われているのかと心配しているのか?
ふーん…。何だか臭うな。
「いえ。殿下もたまには子ども達の顔を見てみたいと仰ったので、同行して頂きましたの。
あ、そうそう。私としては、この孤児院への寄付金の増額を考えていましたのよ?」
と私が言えば、院長は喜色満面だ。
しかし、
「その為には帳簿を全て見せて欲しいの。良いですね?」
と言えば、急に院長の顔は曇った。そして、
「全てとは、些か不思議な物言いで御座いますね?いつも帳簿は妃殿下の事務官にお見せしておりますが?」
と院長はぎこちない笑顔を向けた。
朝起きると殿下はまだソファーで眠っていたので、私はさっさと自分の部屋に戻ったのたが、そこには目に涙を浮かべたメリッサが立っていた。
私は『別に何もされていない。殿下とは2人で話がしたかっただけだ』と説明したのだが、メリッサは、
『何故急に殿下がその様な事を…。あの女狐と喧嘩でもしたのでしょうか?それにしても今まで酷い対応しかして来なかったマイラ様に何のお話があると言うのです…』
とさめざめと泣いていた。心配をかけて申し訳ないと思うが、真実は例えメリッサであっても言う事は出来なかった。
朝食の席でも殿下は私に話しかけてくる。
そんな所を今まで見たことがなかった使用人達は自分が見ているものが余程信じられなかったのか、何度も目を擦っていた。
「マイラ。今日はどんな仕事が?」
と訊ねてくる殿下に、
「孤児院の視察ですわ。足りない物や足りない設備があれば寄付を増やさなければなりませんし。それと教会へ。子ども達に勉強を教えている様子を見に」
「ふーん。なら、それ、俺も行こうかな?」
と言う殿下に、後ろに居た側近が、
「殿下!1週間も仕事を放棄されていたのですよ?そんな暇はありません!」
と慌てて止めた。
「大丈夫!明日から頑張るから。今日はマイラと一緒に行きたいんだ。な?マイラも良いだろう?」
と何故か私に殿下は話を振ってきた。
面倒くさい。
「殿下の執務は私もお手伝いします。では今日は一緒に視察へ参りましょう」
もしかしたら、これは積み荷の点検へ殿下が行く為の伏線なのかもしれない。今まで外回りの仕事をして来なかった殿下が、急に積み荷の点検に行くのも変な話だ。
私はそう思い、殿下が私の視察に付いてくる事を了承したのだった。
馬車の中でも2人きり。殿下がそう望んだからだ。
「視察に来ると言ったのは…例の件であまり不審がられない為ですよね?」
ガラガラと馬車の車輪の音がするので、ちょっとやそっとでは聞こえないだろうが、ついつい小さな声になってしまう。
そう確認した私に、
「はえ?あ~そっか。そうだよな~」
と想定外の返事が来た。
「え?違ったのです?」
「あはっ。そこまで深く考えてなかった」
と明るく笑う殿下。
…拍子抜けだ。
孤児院に着いてからも、
「難しい話はマイラ頼むよ。俺は子ども達と遊んでるから」
と私の耳元で言ったかと思うと、子ども達と庭で遊び始めた殿下。
院長は、
「あの…どうして急にフェルナンド殿下までこちらに?うちが何か調べられているのでしょうか?」
と不安そうに私に訊ねてきた。不正でも疑われているのかと心配しているのか?
ふーん…。何だか臭うな。
「いえ。殿下もたまには子ども達の顔を見てみたいと仰ったので、同行して頂きましたの。
あ、そうそう。私としては、この孤児院への寄付金の増額を考えていましたのよ?」
と私が言えば、院長は喜色満面だ。
しかし、
「その為には帳簿を全て見せて欲しいの。良いですね?」
と言えば、急に院長の顔は曇った。そして、
「全てとは、些か不思議な物言いで御座いますね?いつも帳簿は妃殿下の事務官にお見せしておりますが?」
と院長はぎこちない笑顔を向けた。
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