42 / 97
夜会へ
しおりを挟む
夜会当日。
昼食後から準備が始まる。
デビュタント以来、王宮には行った事がない。…というより、夜会も初めてだ。
ダンスは…体を動かす事が好きだったから、アレックスお兄様相手に散々練習した。
結局練習だけで、披露する場はなかったが。
後は、きちんと淑女として振る舞う事が出来るか…それが心配だ。
本当に、お兄様のせいで私の経験値は圧倒的に低いのだ。
レオ様に恥をかかせるような事だけは避けたい。
サイズ直しの済んだドレスを着る。
翡翠色のドレスにレオ様の髪の色でもある金糸で刺繍が施されている。
少し大人っぽいドレスだ。
童顔の私に似合うか心配だったが、髪をアップに纏めると、それなりに年相応に見える。
アンナは
「奥様になられたので、髪をアップにしましたが、とてもお似合いになりますね!金細工の髪飾りもとても綺麗です。」
「そう?これならレオ様の横に立ってもおかしくないかしら?」
レオ様はイケメンの部類だ。
「もちろんですとも!私のレベッカ様はどなたの隣に並んでも遜色ありません!なんなら王子様の横でさえも、見劣りいたしませんよ。
私が保証します!」
「アンナ、言い過ぎよ。そこまで自分の事を過大評価できないわ。
それに、王子様の横なんて、烏滸がましくて。
不敬罪に当たるわよ。」
そういえば、確か第3王子のルイス殿下だけは、未だに婚約者の方がいらっしゃらないわね?どうしてかしら?
準備を終え、階段を降りていくと、レオ様がフェルナンデスと話をしながら待っていた。
階下に降りる私に気がつくとすぐにエスコートに来てくれる。
「やぁ。レベッカ。とっても綺麗だ。このドレスもよく似合う。」
「ドレス、ありがとうございます。褒めていただいて、嬉しいです。
レオ様もとっても素敵です。」
レオ様は近衛騎士の正装をされてる。眼福。
「…レベッカ。ドレスとっても素敵だけど、ちょっと胸の辺りが…その開きすぎてないかな?」
私は人より少し胸が豊かな為、谷間が分かってしまうのだ。
「私もそう思ったんですけど、これが今の流行りらしいのです。
夜会ではこれぐらいでも良いと聞いたんですが…ダメですか?」
「いや、ダメじゃない。ダメじゃないが、他の男性の目線が…」
そうするとアンナが
「ダンス以外の時はこちらのショールをお使い下さい」
と渡してくれた。これなら、レオ様も納得してくれるかしら?
「まぁ…これなら。いやでも、とにかく美し過ぎるし…」
なんだか、レオ様がブツブツ言ってます。
「レオナルド様、そろそろ出発いたしませんと、お時間が。」
フェルナンデスから急かされる。
「ああ。そうだな。では行ってくる」
そう言って2人で馬車に乗り込んだ。
馬車では、当然のように並んで座る。
「いいかい、レベッカ。今日は俺の側を離れないでね。」
「はい。わかりました。私、夜会は初めてですので、レオ様の足を引っ張らないように頑張りますが、良かったら助けていただけると嬉しいです。」
「もちろんだよ。俺に任せれば良いから」
レオ様、頼りになります。
「心配もありますが、それ以上にワクワクします。王宮もデビュタント以来ですし。」
「ああ、そうか。そうだね。」
そう言うとレオ様は
「ルイス殿下に会わせる事になるのか…失念してた。クソッ。」
よく聞こえませんが、何か唸ってらっしゃいます。
「レベッカ、本当に俺の側を離れないで。」
念押し?念押しですか?
「それと、俺以外と踊らなくていいから。」
「え?でも、断れない相手の方からでしたら、失礼になるのでは?」
「それは、俺が代わりに断るから大丈夫。」
もしかしたら、レオ様は私のダンスの腕前を心配してらっしゃるのかもしれません。
「レオ様。私、ダンスなら結構、自信ありますよ?」
「いや…そういう事じゃないんだ…」
「?」
なんだか、レオ様の返事が歯切れが悪いようです。なにか悩みでも?
「そういえば、第3王子である、ルイス殿下には、まだ婚約者の方はお決まりではないのですか?」
私はこの前、ふと疑問に思った事を口にする。
第1王子であるフェルナンデス殿下は、我が国の公爵令嬢であるロレッタ・ウォーカー様とご成婚なさっているし、第2王子であるローガン殿下には隣国のアスガルド王国の第2王女であるララベル様が婚約者としていらっしゃる。第3王子であるルイス様ももう20歳。いらっしゃらない方が不思議だ。
それを聞いたレオ様は、何故か複雑そうな顔だ。
もしかしたら、聞いてはいけない事だったのかしら?
「ルイス殿下は…1度この国の侯爵令嬢と婚約が決まりかけていたんだがな。
何故かその話は頓挫した。理由は俺も良く知らない。」
…政治的な思惑でもあるのかしら?まぁ、私には関係ない話だけど。
そう、その時の私は思っていた。
昼食後から準備が始まる。
デビュタント以来、王宮には行った事がない。…というより、夜会も初めてだ。
ダンスは…体を動かす事が好きだったから、アレックスお兄様相手に散々練習した。
結局練習だけで、披露する場はなかったが。
後は、きちんと淑女として振る舞う事が出来るか…それが心配だ。
本当に、お兄様のせいで私の経験値は圧倒的に低いのだ。
レオ様に恥をかかせるような事だけは避けたい。
サイズ直しの済んだドレスを着る。
翡翠色のドレスにレオ様の髪の色でもある金糸で刺繍が施されている。
少し大人っぽいドレスだ。
童顔の私に似合うか心配だったが、髪をアップに纏めると、それなりに年相応に見える。
アンナは
「奥様になられたので、髪をアップにしましたが、とてもお似合いになりますね!金細工の髪飾りもとても綺麗です。」
「そう?これならレオ様の横に立ってもおかしくないかしら?」
レオ様はイケメンの部類だ。
「もちろんですとも!私のレベッカ様はどなたの隣に並んでも遜色ありません!なんなら王子様の横でさえも、見劣りいたしませんよ。
私が保証します!」
「アンナ、言い過ぎよ。そこまで自分の事を過大評価できないわ。
それに、王子様の横なんて、烏滸がましくて。
不敬罪に当たるわよ。」
そういえば、確か第3王子のルイス殿下だけは、未だに婚約者の方がいらっしゃらないわね?どうしてかしら?
準備を終え、階段を降りていくと、レオ様がフェルナンデスと話をしながら待っていた。
階下に降りる私に気がつくとすぐにエスコートに来てくれる。
「やぁ。レベッカ。とっても綺麗だ。このドレスもよく似合う。」
「ドレス、ありがとうございます。褒めていただいて、嬉しいです。
レオ様もとっても素敵です。」
レオ様は近衛騎士の正装をされてる。眼福。
「…レベッカ。ドレスとっても素敵だけど、ちょっと胸の辺りが…その開きすぎてないかな?」
私は人より少し胸が豊かな為、谷間が分かってしまうのだ。
「私もそう思ったんですけど、これが今の流行りらしいのです。
夜会ではこれぐらいでも良いと聞いたんですが…ダメですか?」
「いや、ダメじゃない。ダメじゃないが、他の男性の目線が…」
そうするとアンナが
「ダンス以外の時はこちらのショールをお使い下さい」
と渡してくれた。これなら、レオ様も納得してくれるかしら?
「まぁ…これなら。いやでも、とにかく美し過ぎるし…」
なんだか、レオ様がブツブツ言ってます。
「レオナルド様、そろそろ出発いたしませんと、お時間が。」
フェルナンデスから急かされる。
「ああ。そうだな。では行ってくる」
そう言って2人で馬車に乗り込んだ。
馬車では、当然のように並んで座る。
「いいかい、レベッカ。今日は俺の側を離れないでね。」
「はい。わかりました。私、夜会は初めてですので、レオ様の足を引っ張らないように頑張りますが、良かったら助けていただけると嬉しいです。」
「もちろんだよ。俺に任せれば良いから」
レオ様、頼りになります。
「心配もありますが、それ以上にワクワクします。王宮もデビュタント以来ですし。」
「ああ、そうか。そうだね。」
そう言うとレオ様は
「ルイス殿下に会わせる事になるのか…失念してた。クソッ。」
よく聞こえませんが、何か唸ってらっしゃいます。
「レベッカ、本当に俺の側を離れないで。」
念押し?念押しですか?
「それと、俺以外と踊らなくていいから。」
「え?でも、断れない相手の方からでしたら、失礼になるのでは?」
「それは、俺が代わりに断るから大丈夫。」
もしかしたら、レオ様は私のダンスの腕前を心配してらっしゃるのかもしれません。
「レオ様。私、ダンスなら結構、自信ありますよ?」
「いや…そういう事じゃないんだ…」
「?」
なんだか、レオ様の返事が歯切れが悪いようです。なにか悩みでも?
「そういえば、第3王子である、ルイス殿下には、まだ婚約者の方はお決まりではないのですか?」
私はこの前、ふと疑問に思った事を口にする。
第1王子であるフェルナンデス殿下は、我が国の公爵令嬢であるロレッタ・ウォーカー様とご成婚なさっているし、第2王子であるローガン殿下には隣国のアスガルド王国の第2王女であるララベル様が婚約者としていらっしゃる。第3王子であるルイス様ももう20歳。いらっしゃらない方が不思議だ。
それを聞いたレオ様は、何故か複雑そうな顔だ。
もしかしたら、聞いてはいけない事だったのかしら?
「ルイス殿下は…1度この国の侯爵令嬢と婚約が決まりかけていたんだがな。
何故かその話は頓挫した。理由は俺も良く知らない。」
…政治的な思惑でもあるのかしら?まぁ、私には関係ない話だけど。
そう、その時の私は思っていた。
36
お気に入りに追加
1,008
あなたにおすすめの小説
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲
大好きなあなたを忘れる方法
山田ランチ
恋愛
あらすじ
王子と婚約関係にある侯爵令嬢のメリベルは、訳あってずっと秘密の婚約者のままにされていた。学園へ入学してすぐ、メリベルの魔廻が(魔術を使う為の魔素を貯めておく器官)が限界を向かえようとしている事に気が付いた大魔術師は、魔廻を小さくする事を提案する。その方法は、魔素が好むという悲しい記憶を失くしていくものだった。悲しい記憶を引っ張り出しては消していくという日々を過ごすうち、徐々に王子との記憶を失くしていくメリベル。そんな中、魔廻を奪う謎の者達に大魔術師とメリベルが襲われてしまう。
魔廻を奪おうとする者達は何者なのか。王子との婚約が隠されている訳と、重大な秘密を抱える大魔術師の正体が、メリベルの記憶に導かれ、やがて世界の始まりへと繋がっていく。
登場人物
・メリベル・アークトュラス 17歳、アークトゥラス侯爵の一人娘。ジャスパーの婚約者。
・ジャスパー・オリオン 17歳、第一王子。メリベルの婚約者。
・イーライ 学園の園芸員。
クレイシー・クレリック 17歳、クレリック侯爵の一人娘。
・リーヴァイ・ブルーマー 18歳、ブルーマー子爵家の嫡男でジャスパーの側近。
・アイザック・スチュアート 17歳、スチュアート侯爵の嫡男でジャスパーの側近。
・ノア・ワード 18歳、ワード騎士団長の息子でジャスパーの従騎士。
・シア・ガイザー 17歳、ガイザー男爵の娘でメリベルの友人。
・マイロ 17歳、メリベルの友人。
魔素→世界に漂っている物質。触れれば精神を侵され、生き物は主に凶暴化し魔獣となる。
魔廻→体内にある魔廻(まかい)と呼ばれる器官、魔素を取り込み貯める事が出来る。魔術師はこの器官がある事が必須。
ソル神とルナ神→太陽と月の男女神が魔素で満ちた混沌の大地に現れ、世界を二つに分けて浄化した。ソル神は昼間を、ルナ神は夜を受け持った。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】お飾りではなかった王妃の実力
鏑木 うりこ
恋愛
王妃アイリーンは国王エルファードに離婚を告げられる。
「お前のような醜い女はいらん!今すぐに出て行け!」
しかしアイリーンは追い出していい人物ではなかった。アイリーンが去った国と迎え入れた国の明暗。
完結致しました(2022/06/28完結表記)
GWだから見切り発車した作品ですが、完結まで辿り着きました。
★お礼★
たくさんのご感想、お気に入り登録、しおり等ありがとうございます!
中々、感想にお返事を書くことが出来なくてとても心苦しく思っています(;´Д`)全部読ませていただいており、とても嬉しいです!!内容に反映したりしなかったりあると思います。ありがとうございます~!
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます
王太子殿下から婚約破棄されたのは冷たい私のせいですか?
ねーさん
恋愛
公爵令嬢であるアリシアは王太子殿下と婚約してから十年、王太子妃教育に勤しんで来た。
なのに王太子殿下は男爵令嬢とイチャイチャ…諫めるアリシアを悪者扱い。「アリシア様は殿下に冷たい」なんて男爵令嬢に言われ、結果、婚約は破棄。
王太子妃になるため自由な時間もなく頑張って来たのに、私は駒じゃありません!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
そういう時代でございますから
Ruhuna
恋愛
私の婚約者が言ったのです
「これは真実の愛だ」ーーと。
そうでございますか。と返答した私は周りの皆さんに相談したのです。
その結果が、こうなってしまったのは、そうですね。
そういう時代でございますからーー
*誤字脱字すみません
*ゆるふわ設定です
*辻褄合わない部分があるかもしれませんが暇つぶし程度で見ていただけると嬉しいです
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】不誠実な旦那様、目が覚めたのでさよならです。
完菜
恋愛
王都の端にある森の中に、ひっそりと誰かから隠れるようにしてログハウスが建っていた。
そこには素朴な雰囲気を持つ女性リリーと、金髪で天使のように愛らしい子供、そして中年の女性の三人が暮らしている。この三人どうやら訳ありだ。
ある日リリーは、ケガをした男性を森で見つける。本当は困るのだが、見捨てることもできずに手当をするために自分の家に連れて行くことに……。
その日を境に、何も変わらない日常に少しの変化が生まれる。その森で暮らしていたリリーには、大好きな人から言われる「愛している」という言葉が全てだった。
しかし、あることがきっかけで一瞬にしてその言葉が恐ろしいものに変わってしまう。人を愛するって何なのか? 愛されるって何なのか? リリーが紆余曲折を経て辿り着く愛の形。(全50話)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる