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襲来 sideレオ

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「ガンダルフ侯爵令嬢。先日も申しました通り、私には想い合う女性がおりまして。
先程、無事婚姻の許可を得て教会へ証明書も受理されました。
申し訳ありませんが、そのお話はお受けできません。」

俺は丁寧に、でもはっきりと拒絶を表す。

「なんですって?!既に結婚したと仰るの?
どういうことです?
私と婚約を結び直すお約束でしたよね?」

ソフィア嬢は怒りの為か、扇を持つ手が震えている。

父は
「ガンダルフ侯爵とは、ジョシュアとソフィア嬢との婚約解消のお手続きをさせていただいたまで。
そちらに充分に慰謝料も支払っておりますのに、何故、レオナルドとの婚約の話になりましょうか。
ジョシュアに至っては廃嫡までし、責任を取らせましたのに。」


「伯爵!それでは、うちのソフィアが憐れではありませんか!
そちらのジョシュア殿をお慕いして、留学から帰ってくる日を心待にしておりましたのに。待たせるだけ、待たせておいて。
慰謝料だけの問題ではございませんわ。」

………慰謝料はちゃっかり貰ったくせに。
それに、兄上を慕っていただと?婚約解消の時も俺の顔の方が好みだとか言ってなかったか?笑わせるな。


「確かに、もう少し早く兄が決断をしていれば……そう思いますが。
それでも、婚約解消については、侯爵様もご納得されたはず。
今さらその話を蒸し返しては、侯爵様の顔に泥を塗る事になりませんか?
本日、うちにお越しになった事、侯爵様はご存知で?」

そう言うと、夫人も何も言えずに黙った。

しかし、馬鹿な娘の方は、まだ食い下がる。
取り巻きがいたはずだが、その全部に断られたのか?まぁ、予想通りだが。

「慰謝料や廃嫡だけで、この責任が取れると思ってらっしゃるの?
私を誰だと思ってるのかしら?喜んで迎え入れるべきでしょう?
この私が嫁いであげるといってるのよ!」

……この阿婆擦れが。
確かに我が国では王家以外では純潔性を求められないが、何人もの手垢のついた女を、なんで喜んで迎え入れなきゃならないんだ。

「とにかく、私はもう結婚しているのですから、この話に時間を割くのは無駄です。陛下が許可した婚姻を覆すおつもりですか?
こんな所に来られるより、少しでも早く嫁ぎ先を探した方が、時間を有効に使えますよ?」

俺がそう言うと、ソフィア嬢は顔を真っ赤にし、怒りをにじませ帰っていった。
よっぽど、焦っているのだろうが…自業自得というものだ。
少しは自分を省みればいい…今さら無駄だろうが。
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