とりあえず結婚してみますか?

初瀬 叶

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打ち合わせ sideレオ

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翌日、俺はコッカス伯爵邸にレベッカを迎えに行った。

馬車の中で、サミュエル殿の事を聞く。
なんとか納得してもらえたようだ。
次はうちの両親だが、そこは大丈夫だろう。
昨日両親には、レベッカの事を話している。
歓迎ムードだったし、実際レベッカなら問題なしだ。


今、俺の目の前でレベッカは俺たちの馴れ初めを懸命に考えてくれている。
見た目、華奢で小柄で、でも出るとこ出てて。
ふんわりとした雰囲気なのに、行動も言動も結構大胆だ。
表情もコロコロ変わる。
貴族令嬢としては珍しいのかもしれないが、俺にとっては好ましいものに思える。

何故かレベッカと話していても、嫌な気持ちにならない。
まぁ、俺が女性を苦手に思うようになったのは、あの女が原因なのは間違いないが、他の女性にも良い思い出はない。

学園では、何故だか馴れ馴れしく名前を呼び、腕を取ってくる令嬢や、
あわよくば俺の婚約者の座を狙いすり寄って、ゴマすりをしてくる令嬢に、ほとほと疲れていた。

夜会に行けば行ったで、取り囲まれる。
幾多の香水の臭いが混ざりあって、気分が悪くなる事も多々あった。
そんな女性達を邪険に扱っていたら、いつの間にか、女嫌いと言う事になっていた。
いちいち訂正するのも面倒くさくなりそのままにしていたら、男色との噂まで出るようになった。
さすがに不味いかと思ったが、寄ってくる女が減ったので、またまた放置してしまった。

でも、レベッカとはいつまででも話していられる。
香水の匂いも、爽やかで良い香りだ。

最初から俺に興味がないからか?色目を使われる煩わしさがないからなのか?その上、俺をタイプじゃないとも言う。
その距離感が心地いいのか?

そう考えているうちに、タウンハウスへ到着した。

馬車を降りるレベッカをエスコートする。白くて小さな手が、そっと俺の手に触れる。
何故か頬が赤く染まる。それをレベッカに見られないように、俺は顔をうちの玄関へと急いで向けた。
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