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婚活令嬢荒野を行く!
第9話
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「……グリンダ。君を傷つけた事は謝る。だけど、僕は……どうしても、君を……」
と震えるような声が私の背中に掛けられた。私はきちんと花束を抱え直すと、殿下に向き合うように振り向いた。
「殿下?私は今まで散々縁談を断られてきた女です。それでもよろしいのですか?」
「そ、それは全て僕のせいだ。僕がそう仕向けたから。……君の気持ちを無視した愚行を許して欲しい」
「それに……今の私を見ましたか?デビュタントの時の私は猫を被った私です。本当はとんだ跳ねっ返りかもしれませんよ?」
「それでも良い!!たまに叱られるのも悪くない」
ドМかな?
私はそっと息を吐き出した。……これで今までの苦労が終わる。
「もし私がこれからもどなたかの縁談を受けようとしても……」
「申し訳ないが……また邪魔をするだろうな……」
「まぁ……それなら私、殿下以外とは結婚出来ないと言う事ではありませんか?」
「要約するとそういう事になる」
私は花束に鼻を付けて匂いを嗅いだ。流石王宮の薔薇園の薔薇。見た事もない様な品種もある。……これって摘んでも良かったのかしらね。
「良い匂い……。はぁ……。仕方ありませんね。ではこの薔薇の花束に免じて、殿下の愚行を許して差し上げます。しかし、困りましたね。私、他国の言語には疎いんですの」
「そ、そんなの僕が全部通訳するよ!」
「それに、あまり王宮での夜会に参加して来なかったので、上位貴族のご令嬢に友人もおりませんし……」
「社交なんて、僕の隣で微笑んでくれてたら良いんだ!面倒な奴の相手は全部僕に任せてよ。……ねぇ……もう一度改めて言わせて欲しい。グリンダ、僕と結婚してくれないか?」
「……はい」
と私が微笑むと、殿下は、
「やった!!!ありがとうグリンダ!!!」
と私を抱き上きあげた。
父も母も目を丸くして口をポカーンと開けていた。そりゃそうだ。急に娘が王太子妃になる事になったなんて、夢にも思わなかっただろう。
兄は、
「僕の結婚式……だったんだけどな」
と頭を掻きながら呟いた。これじゃあ主役が誰だかわからなくなってしまって、大変申し訳ない。
こうして私の先の見えなかった婚活生活に突然の幕が降ろされたのだった。
と震えるような声が私の背中に掛けられた。私はきちんと花束を抱え直すと、殿下に向き合うように振り向いた。
「殿下?私は今まで散々縁談を断られてきた女です。それでもよろしいのですか?」
「そ、それは全て僕のせいだ。僕がそう仕向けたから。……君の気持ちを無視した愚行を許して欲しい」
「それに……今の私を見ましたか?デビュタントの時の私は猫を被った私です。本当はとんだ跳ねっ返りかもしれませんよ?」
「それでも良い!!たまに叱られるのも悪くない」
ドМかな?
私はそっと息を吐き出した。……これで今までの苦労が終わる。
「もし私がこれからもどなたかの縁談を受けようとしても……」
「申し訳ないが……また邪魔をするだろうな……」
「まぁ……それなら私、殿下以外とは結婚出来ないと言う事ではありませんか?」
「要約するとそういう事になる」
私は花束に鼻を付けて匂いを嗅いだ。流石王宮の薔薇園の薔薇。見た事もない様な品種もある。……これって摘んでも良かったのかしらね。
「良い匂い……。はぁ……。仕方ありませんね。ではこの薔薇の花束に免じて、殿下の愚行を許して差し上げます。しかし、困りましたね。私、他国の言語には疎いんですの」
「そ、そんなの僕が全部通訳するよ!」
「それに、あまり王宮での夜会に参加して来なかったので、上位貴族のご令嬢に友人もおりませんし……」
「社交なんて、僕の隣で微笑んでくれてたら良いんだ!面倒な奴の相手は全部僕に任せてよ。……ねぇ……もう一度改めて言わせて欲しい。グリンダ、僕と結婚してくれないか?」
「……はい」
と私が微笑むと、殿下は、
「やった!!!ありがとうグリンダ!!!」
と私を抱き上きあげた。
父も母も目を丸くして口をポカーンと開けていた。そりゃそうだ。急に娘が王太子妃になる事になったなんて、夢にも思わなかっただろう。
兄は、
「僕の結婚式……だったんだけどな」
と頭を掻きながら呟いた。これじゃあ主役が誰だかわからなくなってしまって、大変申し訳ない。
こうして私の先の見えなかった婚活生活に突然の幕が降ろされたのだった。
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