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婚活令嬢荒野を行く!
第6話
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厳かな雰囲気で、兄の結婚式は粛々と進められていく。
自分で言うのも何だが今日の私はイケてる。
ただ……殿下の到着が遅れているのよねぇ。これじゃあ、近衛の方々に出会えないではないか。……いや、期待はしていない、期待は……していない。
挙式が終わり、新郎新婦が教会の扉を開いて出て来る。
出席者の皆が拍手で出迎える中、門の所が騒がしくなった。
「おやおや、遅い登場だな」
と兄が苦笑していると、
「ディレクすまない!遅くなった!!」
と大勢の近衛を引き連れた殿下が登場した。
「遅いぞ!!もう結婚式は終わった所だ!」
と言う兄に、
「あー!やっちゃったな」
と殿下は朗らかに笑う。あれ?殿下ってこんな気さくなキャラだったんだ。
デビュタントの時に踊った記憶はあるが、緊張し過ぎて、よく覚えていない。もうあれから五年ぐらいになるし。
その後は王宮での夜会に参加していない私には、殿下は兄の口から語られるだけの人物だった。
私はそんな事より殿下の後ろに控えている近衛の方々に目を走らせる。
どの方も麗しい。騎士という事もあり、体格も立派だ。
すると、何故か周りがざわつき始めた。
煩いな。私は今忙しいのだ(イケメンを愛でるのに)
そんな私の前に突然、たくさんの薔薇の花束が差し出された。
え?邪魔なんだけど。近衛の方々が見えないじゃない。
私は花束を差し出す人物に苦情を言おうと口を開きかけて、そのまま固まってしまった。
その人物が……この国の王太子殿下……サイモン殿下だったからだ。
え?何?何?
殿下を見上げて目を丸くして固まっている私に、
「えっと……会うのは二度目だ。覚えてるかな?」
と笑顔でそう言った。
私は辛うじて首を縦に振る。失礼なのは承知だ。でも声が出ない程驚いているので許して欲しい。
「良かった~覚えててくれて!突然だけど、この花束受け取ってくれる?王宮の薔薇園から見繕って来たんだ。珍しい品種もあるみたいだよ。これを作っててすっかり遅くなってしまった」
………良く動く口だな……違う、違う、違う。そうじゃない。
何故殿下が私に花束?何だか色々と殿下が言ってくれていたみたいだが、全然頭に入ってこなかった。
しかも何故殿下は頬を少し染めているのかしら?
私は無意識ながらもその花束を受け取っていた様だ。気づけば大きなその花束は私の手に握られていた。
自分で言うのも何だが今日の私はイケてる。
ただ……殿下の到着が遅れているのよねぇ。これじゃあ、近衛の方々に出会えないではないか。……いや、期待はしていない、期待は……していない。
挙式が終わり、新郎新婦が教会の扉を開いて出て来る。
出席者の皆が拍手で出迎える中、門の所が騒がしくなった。
「おやおや、遅い登場だな」
と兄が苦笑していると、
「ディレクすまない!遅くなった!!」
と大勢の近衛を引き連れた殿下が登場した。
「遅いぞ!!もう結婚式は終わった所だ!」
と言う兄に、
「あー!やっちゃったな」
と殿下は朗らかに笑う。あれ?殿下ってこんな気さくなキャラだったんだ。
デビュタントの時に踊った記憶はあるが、緊張し過ぎて、よく覚えていない。もうあれから五年ぐらいになるし。
その後は王宮での夜会に参加していない私には、殿下は兄の口から語られるだけの人物だった。
私はそんな事より殿下の後ろに控えている近衛の方々に目を走らせる。
どの方も麗しい。騎士という事もあり、体格も立派だ。
すると、何故か周りがざわつき始めた。
煩いな。私は今忙しいのだ(イケメンを愛でるのに)
そんな私の前に突然、たくさんの薔薇の花束が差し出された。
え?邪魔なんだけど。近衛の方々が見えないじゃない。
私は花束を差し出す人物に苦情を言おうと口を開きかけて、そのまま固まってしまった。
その人物が……この国の王太子殿下……サイモン殿下だったからだ。
え?何?何?
殿下を見上げて目を丸くして固まっている私に、
「えっと……会うのは二度目だ。覚えてるかな?」
と笑顔でそう言った。
私は辛うじて首を縦に振る。失礼なのは承知だ。でも声が出ない程驚いているので許して欲しい。
「良かった~覚えててくれて!突然だけど、この花束受け取ってくれる?王宮の薔薇園から見繕って来たんだ。珍しい品種もあるみたいだよ。これを作っててすっかり遅くなってしまった」
………良く動く口だな……違う、違う、違う。そうじゃない。
何故殿下が私に花束?何だか色々と殿下が言ってくれていたみたいだが、全然頭に入ってこなかった。
しかも何故殿下は頬を少し染めているのかしら?
私は無意識ながらもその花束を受け取っていた様だ。気づけば大きなその花束は私の手に握られていた。
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