死にたがりのうさぎ

初瀬 叶

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慟哭

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「胆嚢の治療は済んだけど、どう?痛み」
医師の言葉に、私は

「今の貼り薬ではもう無理かもです」
と告げた。我慢出来ない程の痛みに襲われる時も多い。

「この前の検査の結果、他にも転移が見つかったよ。痛みも酷いし……緩和ケアに切り替えようか」
と言う医師に、

「先生、ホスピスからまだ連絡がなくて」
と私は答えた。


「正直に言うね。ホスピスを待つ程の時間が君には残されていないかもしれない。このままここで緩和ケアを行おうと思う」

「そうですか……」

「でも全てを諦めなくて良い。車椅子で散歩も出来るし、リハビリも希望するなら処方する。ただもう少し頑張って食べようね。これ以上食べないなら、血管に栄養を流す様にするよ、いいね?」

「はい。それで大丈夫です」

「あの彼もここに寝泊まりしても構わない。簡易ベッドも用意するしね」
私はその医師の言葉に、首を横に振った。



昼から顔を覗かせたミミに私は医師との話を告げた。

ミミの顔色が変わる。

「そう……か」
しかしミミは努めて冷静にそう言った。

「ホスピスには間に合わなかったから、ここで緩和治療してくれるって。ありがたいね」

「緩和ケアの間も面会時間に制限あるの?」
と少し心配そうなミミに、私は一つ息をついて、ずっと考えていた事をミミに言う。ちょっと勇気が必要だけど。

「ミミ、面会無理かも。って言うか、もう終わろう」
と言った私の顔を信じられないという表情でミミは見ていた。

「どう……言う事?」

「ずっと思ってた。もう終わろう。これ以上ミミの時間を奪うのは嫌だよ。ミミはきっと……もう大丈夫だと思うし」

「は?何言ってんの?」

「だから……もう、ミミは自由!解放してあげる」

「………ふざけんなよ」

「え?」

「ふざけんなって言ってんの!!!」

「ミミ……」

「おばさんさぁ!責任取れよ!俺の命を救った責任取れよ!!何寝ぼけた事言ってんだよ!」

「だって……」

「だってって何だよ。おばさんが言ったんじゃん!俺の生きる意味をあげるって。俺の生きる意味を取り上げるなよ!」
ミミがこんなに声を荒げるのを初めて聞いた。

ミミは怒りながら、涙を流した。
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