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第44話
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「解せない……」
呟いた私にデービス様は語学の勉強をしながら、
「ん?どうしたの?」
と尋ねてきた。
あのお茶会から一週間。学園で待ち伏せされてから五日。もちろんうちにハウエル侯爵から婚約解消の『か』の字もない。
「実は……フェリックス様に婚約解消していただいて構わないと言ったんですけど……」
「え?とうとう言っちゃったの?本当に?」
一週間ぶりに会うデービス様は目を丸くして大きな声を出した。周りから冷たい視線を浴びる。
デービス様は改めて小声で、
「で?フェリックス殿は何だって?」
と更に尋ねてきた。
「それが……『婚約解消はしない』……と。だからどうしてもそれが解せなくて」
私の答えにデービス様は深く頷く。
「まぁ……君には解せないだろうけど、僕としては『だろうね』としか思わないかな」
「ど、どうしてです?私は良かれと思って……」
「うーん……。フェリックス殿は本当にステファニー嬢の専属騎士になりたいのかな?」
「多分……。ステファニー様は『フェリックス様が専属騎士になりたがっている』と、そう仰っていました」
「じゃあ、フェリックス殿は?」
……そう言えば、フェリックス様から直接言われた事はない。いや、婚約者には言いにくい話だろうと、私はそう思い込んでいた。
「直接言われた事はありませんが……子どもの頃『近衛になってステファニー様を守る』と仰っていたので、そういう事だと……」
「でもさ。それって矛盾してないかな?専属騎士って近衛に勤めてるままでなれるものなの?近衛は王宮や王族を護衛するものだろ?担当はあるかもしれないが、仕えるべきは国王陛下だ」
確かに。そう考えると矛盾しているが。
「でも……子どもの頃のお話ですし。フェリックス様が言い間違たのかも……」
「でも……ハウエル侯爵は近衛騎士団副団長だろ?その息子のフェリックス殿が近衛を辞めるなんて……良く考えたら有り得ない様な気がするけど」
とデービス様も首を捻った。デービス様と話していると、確かにその通りだとも思える。
「……デービス様。もっと早くに気付いて欲しかったのですが……」
自分が気付けなかった事を棚に上げ、私はデービス様にチクリと言った。一緒に旅行するって話の前に気付いて欲しかった……とはいえ、今更だ。私は教師になるという夢を得た。フェリックス様は頭が固いので、結婚相手が働きに出るなど、到底許せないだろう。
「ハハハ。確かに。落ち着いて考えると矛盾してるなって思ってさ。でも……メグ、君とフェリックス殿に圧倒的に足りないのは『会話』だよ。もっとじっくり話してみたら?」
「確かにあまりゆっくりとフェリックス様とお話した事はありませんね……いつも途中でステファニー様の御用が入るんですよね……何故か」
「なるほどね……。フェリックス殿は女心に鈍感とみえる。きっと君とのお茶会の日がステファニー嬢にバレバレなんだろうなぁ……態度で」
と何故かデービス様は独り言の様に呟いた。
呟いた私にデービス様は語学の勉強をしながら、
「ん?どうしたの?」
と尋ねてきた。
あのお茶会から一週間。学園で待ち伏せされてから五日。もちろんうちにハウエル侯爵から婚約解消の『か』の字もない。
「実は……フェリックス様に婚約解消していただいて構わないと言ったんですけど……」
「え?とうとう言っちゃったの?本当に?」
一週間ぶりに会うデービス様は目を丸くして大きな声を出した。周りから冷たい視線を浴びる。
デービス様は改めて小声で、
「で?フェリックス殿は何だって?」
と更に尋ねてきた。
「それが……『婚約解消はしない』……と。だからどうしてもそれが解せなくて」
私の答えにデービス様は深く頷く。
「まぁ……君には解せないだろうけど、僕としては『だろうね』としか思わないかな」
「ど、どうしてです?私は良かれと思って……」
「うーん……。フェリックス殿は本当にステファニー嬢の専属騎士になりたいのかな?」
「多分……。ステファニー様は『フェリックス様が専属騎士になりたがっている』と、そう仰っていました」
「じゃあ、フェリックス殿は?」
……そう言えば、フェリックス様から直接言われた事はない。いや、婚約者には言いにくい話だろうと、私はそう思い込んでいた。
「直接言われた事はありませんが……子どもの頃『近衛になってステファニー様を守る』と仰っていたので、そういう事だと……」
「でもさ。それって矛盾してないかな?専属騎士って近衛に勤めてるままでなれるものなの?近衛は王宮や王族を護衛するものだろ?担当はあるかもしれないが、仕えるべきは国王陛下だ」
確かに。そう考えると矛盾しているが。
「でも……子どもの頃のお話ですし。フェリックス様が言い間違たのかも……」
「でも……ハウエル侯爵は近衛騎士団副団長だろ?その息子のフェリックス殿が近衛を辞めるなんて……良く考えたら有り得ない様な気がするけど」
とデービス様も首を捻った。デービス様と話していると、確かにその通りだとも思える。
「……デービス様。もっと早くに気付いて欲しかったのですが……」
自分が気付けなかった事を棚に上げ、私はデービス様にチクリと言った。一緒に旅行するって話の前に気付いて欲しかった……とはいえ、今更だ。私は教師になるという夢を得た。フェリックス様は頭が固いので、結婚相手が働きに出るなど、到底許せないだろう。
「ハハハ。確かに。落ち着いて考えると矛盾してるなって思ってさ。でも……メグ、君とフェリックス殿に圧倒的に足りないのは『会話』だよ。もっとじっくり話してみたら?」
「確かにあまりゆっくりとフェリックス様とお話した事はありませんね……いつも途中でステファニー様の御用が入るんですよね……何故か」
「なるほどね……。フェリックス殿は女心に鈍感とみえる。きっと君とのお茶会の日がステファニー嬢にバレバレなんだろうなぁ……態度で」
と何故かデービス様は独り言の様に呟いた。
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