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第43話
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「お父様、あの……ハウエル侯爵様から何か言ってこられておりませんか?」
あのお茶会から二日。直ぐにでも婚約解消の話が侯爵側からもたらされる筈だと待っているのだが、一向にその気配がない。
「ハウエル侯爵?いや?今日も王宮で会ったが、殿下が帰国される事をお互い話しただけだったよ」
……なるほど。殿下の帰国の準備で忙しい侯爵に気を使って、フェリックス様も私達の婚約解消を言い出せないのかもしれない。
でも、殿下の帰国を待っていたら私は卒業してしまう。卒業後は直ぐに教師になる為の試験を受けるつもりなのだが、それまでには婚約を白紙に戻してスッキリしたい。
……だが……父や母の気持ちを思うと少し暗くなってしまう。貴族の娘として生まれたのに、その責務を果たせない娘で申し訳ない。しかし少しでも婚約解消された女性が生き易い国になる足がかりになれば幸いだ。
フェリックス様にも心置きなくステファニー様の専属騎士になってもらえる様に、私は勉学に励もう。私はそう思いながら父に背を向け自室へと戻った。
……が、しかし。
「フェリックス様!?どうされたのです?」
学園の門を出た途端腕を掴まれ、私は驚きで大声を上げそうになったところ、慌てたフェリックス様に、
「俺だ!俺!大声を出すなよ……気づかれる」
と口を大きな手で塞がれた。
フェリックス様にそのままズルズルと引きづられる様に脇道へと連れて行かれ、やっと私の口が自由になったという訳だ。
「この前は話が途中だっただろう?きちんと話し合う為に来たんだ」
「私はもうお話する事はないのですが……。フェリックス様には何かありまして?」
首を傾げる私の目の前には顔を赤くしたフェリックス様が居た。……怒っているのかしら?
「あ、あるに決っているだろう?!」
「私が婚約解消を言い出したのは不味かったでしょうか?もしかして……私の、有責……とか?」
私はそれを口に出してから、青くなった。
……どうしよう……慰謝料を払えと言われたら。でも、私としてはフェリックス様の気持ちを最大限に配慮した結果だったのだけど……。
「は?お前の有責な訳ないだろう!」
私はフェリックス様のその言葉にホッとした。
「あ~良かったです。両親に顔向け出来なくなる所でした」
「何が良かったんだ?!どっちの有責でもない!!というか、俺は婚約解消なんか……」
とフェリックス様が言いかけたその時、
「おーい!!フェリックス!!どこだ?!」
と誰かの呼ぶ声がした。
「フェリックス様、どなたか呼んでいらっしゃいますけど……?」
「チッ!!クソッもうそんな時間か。……いや、交代にはまだ早いだろ!!」
とフェリックス様は独り言でブツブツ文句を言っている。……どうも仕事中に抜け出して来た様だ。
「フェリックス様、お仕事中だったのではないですか?」
「そうだが……休日まで待てなかった。いいか、良く聞け、俺は婚約解消なんか……」
フェリックス様が真剣な顔で、私の両肩を掴みそう言いかけた時、
「あ!!居た!!フェリックス、探してたんだぞ?!」
とフェリックス様と同じ近衛騎士の格好をした男性が走ってきた。
「ロン……交代まではまだ時間があるだろ?」
フェリックス様はその男性にイライラした様子で話す。
「そうじゃないよ!緊急招集だ。殿下の帰国が早まる」
「は??じゃあ、準備が……?」
「全て計画練り直しだ!ほら行くぞ!!」
フェリックス様にロンと呼ばれた男性はフェリックス様の腕をグイッと引っ張った。
「フェリックス様、直ぐに行かれて下さい」
私はそう言って、フェリックス様を見送る。
すると、フェリックス様はロンという男性に引っ張られてながらも、私に振り返り、
「マーガレット!俺は婚約解消なんかしないからな!!!!」
と叫んだ。
私はその言葉に呆然とする。
そして思った『え?なんで??』と。
あのお茶会から二日。直ぐにでも婚約解消の話が侯爵側からもたらされる筈だと待っているのだが、一向にその気配がない。
「ハウエル侯爵?いや?今日も王宮で会ったが、殿下が帰国される事をお互い話しただけだったよ」
……なるほど。殿下の帰国の準備で忙しい侯爵に気を使って、フェリックス様も私達の婚約解消を言い出せないのかもしれない。
でも、殿下の帰国を待っていたら私は卒業してしまう。卒業後は直ぐに教師になる為の試験を受けるつもりなのだが、それまでには婚約を白紙に戻してスッキリしたい。
……だが……父や母の気持ちを思うと少し暗くなってしまう。貴族の娘として生まれたのに、その責務を果たせない娘で申し訳ない。しかし少しでも婚約解消された女性が生き易い国になる足がかりになれば幸いだ。
フェリックス様にも心置きなくステファニー様の専属騎士になってもらえる様に、私は勉学に励もう。私はそう思いながら父に背を向け自室へと戻った。
……が、しかし。
「フェリックス様!?どうされたのです?」
学園の門を出た途端腕を掴まれ、私は驚きで大声を上げそうになったところ、慌てたフェリックス様に、
「俺だ!俺!大声を出すなよ……気づかれる」
と口を大きな手で塞がれた。
フェリックス様にそのままズルズルと引きづられる様に脇道へと連れて行かれ、やっと私の口が自由になったという訳だ。
「この前は話が途中だっただろう?きちんと話し合う為に来たんだ」
「私はもうお話する事はないのですが……。フェリックス様には何かありまして?」
首を傾げる私の目の前には顔を赤くしたフェリックス様が居た。……怒っているのかしら?
「あ、あるに決っているだろう?!」
「私が婚約解消を言い出したのは不味かったでしょうか?もしかして……私の、有責……とか?」
私はそれを口に出してから、青くなった。
……どうしよう……慰謝料を払えと言われたら。でも、私としてはフェリックス様の気持ちを最大限に配慮した結果だったのだけど……。
「は?お前の有責な訳ないだろう!」
私はフェリックス様のその言葉にホッとした。
「あ~良かったです。両親に顔向け出来なくなる所でした」
「何が良かったんだ?!どっちの有責でもない!!というか、俺は婚約解消なんか……」
とフェリックス様が言いかけたその時、
「おーい!!フェリックス!!どこだ?!」
と誰かの呼ぶ声がした。
「フェリックス様、どなたか呼んでいらっしゃいますけど……?」
「チッ!!クソッもうそんな時間か。……いや、交代にはまだ早いだろ!!」
とフェリックス様は独り言でブツブツ文句を言っている。……どうも仕事中に抜け出して来た様だ。
「フェリックス様、お仕事中だったのではないですか?」
「そうだが……休日まで待てなかった。いいか、良く聞け、俺は婚約解消なんか……」
フェリックス様が真剣な顔で、私の両肩を掴みそう言いかけた時、
「あ!!居た!!フェリックス、探してたんだぞ?!」
とフェリックス様と同じ近衛騎士の格好をした男性が走ってきた。
「ロン……交代まではまだ時間があるだろ?」
フェリックス様はその男性にイライラした様子で話す。
「そうじゃないよ!緊急招集だ。殿下の帰国が早まる」
「は??じゃあ、準備が……?」
「全て計画練り直しだ!ほら行くぞ!!」
フェリックス様にロンと呼ばれた男性はフェリックス様の腕をグイッと引っ張った。
「フェリックス様、直ぐに行かれて下さい」
私はそう言って、フェリックス様を見送る。
すると、フェリックス様はロンという男性に引っ張られてながらも、私に振り返り、
「マーガレット!俺は婚約解消なんかしないからな!!!!」
と叫んだ。
私はその言葉に呆然とする。
そして思った『え?なんで??』と。
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