36 / 129
第36話
しおりを挟む
図書館の前でサーフィス様と別れ、私は彼の背中を見送った。
サーフィス様にも過去に色々あった様だ。様々な思いを抱えていたのかもしれないが、貴族としてではなく、自分の好きな事を仕事にしてちゃんと自立している。そんな人が私だけじゃない事に勇気を貰った。
そう考えると、ちょっとワクワクしてきた。今まで灰色の結婚生活しかないのだと思っていた私の未来が、色付いていく感覚だ。
もうここまでくると結婚なんかせずに、自分にとって幸せだと思える未来を選び取る方が良いように思えてきた。
フェリックス様は、ステファニー様の側で生きていく事が出来る、私は自分の力で仕事をしてお金を貯めて世界を見て廻る。……うん!一石二鳥だ。
私は決意も新たに、図書館の扉を潜った。
「今日の授業も面白かった!!」
アマリリス様の明るい笑顔にホッとする。
今日はアマリリス様の家庭教師の日だ。
どんな風に工夫すれば、楽しく、分かりやすく歴史を伝える事が出来るのか考え抜いた成果が現れている様で嬉しい。
「もし分かりにくい所とかあったら、ちゃんと指摘してね。遠慮しないで今後のためにも」
「全然そんな事ない!時間が経つのがあっと言う間に感じるし。前に歴史を教えてくれた先生はとにかく『暗記しろ!歴史は暗記だ!』って繰り返してたから、本当に苦痛だったし」
アマリリス様はそう言って眉を顰めた。
「確かに暗記も大切だけど、どうしてそうなったのか、時代や人物の背景を考えるととても面白いし、一度覚えた事を忘れにくくなるわ。ただ……一つの時代に時間がかかり過ぎるのが難点ね」
と私は苦笑した。
「これだと、学園での授業には向いていないわよね……」
と続けて呟いた私の言葉にアマリリス様は素早く反応した。
「え??学園で授業するの?」
「あ!そうじゃないの。実は私、教師を目指していて……。勉強全般の成績が良いわけではないから、歴史の先生になりたいと思っているの」
「じゃ、じゃあ私が学園に入学したら、マーガレット先生が歴史を教えてくれるって事?」
「ま、待って!!目指しているってだけで、まだまだ先の話よ?教師になる為には試験もあるし、面接もある。それに推薦状だって……」
「えーっ!楽しみだなって思ったのに。でも絶対マーガレット先生は良い教師になれるわ!私、応援してるから。頑張って!」
小さくガッツポーズをしてくれたアマリリス様に私は笑顔になった。
皆が背中を押してくれる。私は一人じゃないと心からそう思えた。
サーフィス様にも過去に色々あった様だ。様々な思いを抱えていたのかもしれないが、貴族としてではなく、自分の好きな事を仕事にしてちゃんと自立している。そんな人が私だけじゃない事に勇気を貰った。
そう考えると、ちょっとワクワクしてきた。今まで灰色の結婚生活しかないのだと思っていた私の未来が、色付いていく感覚だ。
もうここまでくると結婚なんかせずに、自分にとって幸せだと思える未来を選び取る方が良いように思えてきた。
フェリックス様は、ステファニー様の側で生きていく事が出来る、私は自分の力で仕事をしてお金を貯めて世界を見て廻る。……うん!一石二鳥だ。
私は決意も新たに、図書館の扉を潜った。
「今日の授業も面白かった!!」
アマリリス様の明るい笑顔にホッとする。
今日はアマリリス様の家庭教師の日だ。
どんな風に工夫すれば、楽しく、分かりやすく歴史を伝える事が出来るのか考え抜いた成果が現れている様で嬉しい。
「もし分かりにくい所とかあったら、ちゃんと指摘してね。遠慮しないで今後のためにも」
「全然そんな事ない!時間が経つのがあっと言う間に感じるし。前に歴史を教えてくれた先生はとにかく『暗記しろ!歴史は暗記だ!』って繰り返してたから、本当に苦痛だったし」
アマリリス様はそう言って眉を顰めた。
「確かに暗記も大切だけど、どうしてそうなったのか、時代や人物の背景を考えるととても面白いし、一度覚えた事を忘れにくくなるわ。ただ……一つの時代に時間がかかり過ぎるのが難点ね」
と私は苦笑した。
「これだと、学園での授業には向いていないわよね……」
と続けて呟いた私の言葉にアマリリス様は素早く反応した。
「え??学園で授業するの?」
「あ!そうじゃないの。実は私、教師を目指していて……。勉強全般の成績が良いわけではないから、歴史の先生になりたいと思っているの」
「じゃ、じゃあ私が学園に入学したら、マーガレット先生が歴史を教えてくれるって事?」
「ま、待って!!目指しているってだけで、まだまだ先の話よ?教師になる為には試験もあるし、面接もある。それに推薦状だって……」
「えーっ!楽しみだなって思ったのに。でも絶対マーガレット先生は良い教師になれるわ!私、応援してるから。頑張って!」
小さくガッツポーズをしてくれたアマリリス様に私は笑顔になった。
皆が背中を押してくれる。私は一人じゃないと心からそう思えた。
3,435
お気に入りに追加
6,132
あなたにおすすめの小説

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

十分我慢しました。もう好きに生きていいですよね。
りまり
恋愛
三人兄弟にの末っ子に生まれた私は何かと年子の姉と比べられた。
やれ、姉の方が美人で気立てもいいだとか
勉強ばかりでかわいげがないだとか、本当にうんざりです。
ここは辺境伯領に隣接する男爵家でいつ魔物に襲われるかわからないので男女ともに剣術は必需品で当たり前のように習ったのね姉は野蛮だと習わなかった。
蝶よ花よ育てられた姉と仕来りにのっとりきちんと習った私でもすべて姉が優先だ。
そんな生活もううんざりです
今回好機が訪れた兄に変わり討伐隊に参加した時に辺境伯に気に入られ、辺境伯で働くことを赦された。
これを機に私はあの家族の元を去るつもりです。
わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない
鈴宮(すずみや)
恋愛
孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。
しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。
その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
婚約なんてするんじゃなかったが口癖の貴方なんて要りませんわ
神々廻
恋愛
「天使様...?」
初対面の時の婚約者様からは『天使様』などと言われた事もあった
「なんでお前はそんなに可愛げが無いんだろうな。昔のお前は可愛かったのに。そんなに細いから肉付きが悪く、頬も薄い。まぁ、お前が太ったらそれこそ醜すぎるがな。あーあ、婚約なんて結ぶんじゃなかった」
そうですか、なら婚約破棄しましょう。

【完結】殿下は私を溺愛してくれますが、あなたの“真実の愛”の相手は私ではありません
Rohdea
恋愛
──私は“彼女”の身代わり。
彼が今も愛しているのは亡くなった元婚約者の王女様だけだから──……
公爵令嬢のユディットは、王太子バーナードの婚約者。
しかし、それは殿下の婚約者だった隣国の王女が亡くなってしまい、
国内の令嬢の中から一番身分が高い……それだけの理由で新たに選ばれただけ。
バーナード殿下はユディットの事をいつも優しく、大切にしてくれる。
だけど、その度にユディットの心は苦しくなっていく。
こんな自分が彼の婚約者でいていいのか。
自分のような理由で互いの気持ちを無視して決められた婚約者は、
バーナードが再び心惹かれる“真実の愛”の相手を見つける邪魔になっているだけなのでは?
そんな心揺れる日々の中、
二人の前に、亡くなった王女とそっくりの女性が現れる。
実は、王女は襲撃の日、こっそり逃がされていて実は生きている……
なんて噂もあって────
私達、政略結婚ですから。
黎
恋愛
オルヒデーエは、来月ザイデルバスト王子との結婚を控えていた。しかし2年前に王宮に来て以来、王子とはろくに会わず話もしない。一方で1年前現れたレディ・トゥルペは、王子に指輪を贈られ、二人きりで会ってもいる。王子に自分達の関係性を問いただすも「政略結婚だが」と知らん顔、レディ・トゥルペも、オルヒデーエに向かって「政略結婚ですから」としたり顔。半年前からは、レディ・トゥルペに数々の嫌がらせをしたという噂まで流れていた。
それが罪状として読み上げられる中、オルヒデーエは王子との数少ない思い出を振り返り、その処断を待つ。

偽りの愛に終止符を
甘糖むい
恋愛
政略結婚をして3年。あらかじめ決められていた3年の間に子供が出来なければ離婚するという取り決めをしていたエリシアは、仕事で忙しいく言葉を殆ど交わすことなく離婚の日を迎えた。屋敷を追い出されてしまえば行くところなどない彼女だったがこれからについて話合うつもりでヴィンセントの元を訪れる。エリシアは何かが変わるかもしれないと一抹の期待を胸に抱いていたが、夫のヴィンセントは「好きにしろ」と一言だけ告げてエリシアを見ることなく彼女を追い出してしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる