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第33話
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私より先にアイーダ様が怒ってくれている分、私は逆に冷静になれる。
フェリックス様の本当の気持ちを、知ることが出来た。……本人の口からでは無かったが。
いや、その事は子どもの頃から分かっていた事じゃないか。今更だ。
私はアイーダ様の拳を両手で包み込み、
「私の為に怒って下さってありがとうございます。本当は分かっていたんです。子どもの頃、フェリックス様に言われました『将来は近衛騎士になって、ステファニー様を守る』と。何となく結論を先延ばしにしてきましたが、こうなる事はずっと前から分かっていたんです」
この歳で婚約解消か……そう思うともっと早くにフェリックス様と話し合うべきだったと、今更ながらに後悔した。そんな私に、
「ねぇ……貴女、家庭教師で生計を立てたら?」
とアイーダ様がそう言った。
「そんな!無理です!」
「どうして?実際、今はアマリリスの家庭教師じゃない」
「歴史だけです。上級貴族のご令嬢の家庭教師となれば、勉強も然ることながら、マナーも社交も教える事が出来る人物でなければ務まりませんよ」
「確かにそうよ?でも貴女、前に『女性が自立出来る手段があればフェリックス様を自由にさせてあげられる』って言っていたわよね?
フェリックス様を自由に……ってのは、私にとってはどうでも良い事だけど、家庭教師で自立している女性はちゃんと存在してる。
まぁ……実際はどこかの夫人だったりで、それだけで生活をしている人はほんの一握りかもしれないけど、少なくてもちゃんと居るわ。
そうだ!家庭教師が難しいなら、学園の教師はどう?あれなら、歴史だけでも大丈夫だし」
「で、でも………」
「あら?貴女が自立を望んだのって口だけ?」
アイーダ様にそう言われて、私はハッとした。
結婚をしたくない……訳ではない。
だが、いつも何処かで『このままで良いの?』という思いがあった。
フェリックス様のステファニー様への想いを知っているのに、親に決められた結婚だからと、諦めて良いのかと。
フェリックス様とステファニー様が結ばれる事は残念ながらない。王太子殿下とステファニー様の婚約が白紙になるなんて事は天地がひっくり返ってもないだろう事は明白だ。
それでもフェリックス様がステファニー様の側に居たいと思う気持ちを止める事も出来ない。
……ならば、私が彼を解放してあげよう。そう思っていた気持ちに嘘はないが、どこかで『無理だ』とも思っていた。
やる前から決めつけていた自分に活を入れる。
「………私、やってみます。両親には反対されるかもしれませんが、やる前から諦めるのは違いますよね。うん!アイーダ様の言葉で目が覚めました!」
「そうよ!あんな男など必要ないと証明してみせましょう!」
アイーダ様はそう言って、自分の拳を包んでいた、私の両手の上にもう片方の自分の手を乗せて、
「私も力になるわ」
と微笑んだ。
「アイーダ様が居て下されば、百人力です」
私の言葉にアイーダ様は満足そうに頷いた。
フェリックス様の本当の気持ちを、知ることが出来た。……本人の口からでは無かったが。
いや、その事は子どもの頃から分かっていた事じゃないか。今更だ。
私はアイーダ様の拳を両手で包み込み、
「私の為に怒って下さってありがとうございます。本当は分かっていたんです。子どもの頃、フェリックス様に言われました『将来は近衛騎士になって、ステファニー様を守る』と。何となく結論を先延ばしにしてきましたが、こうなる事はずっと前から分かっていたんです」
この歳で婚約解消か……そう思うともっと早くにフェリックス様と話し合うべきだったと、今更ながらに後悔した。そんな私に、
「ねぇ……貴女、家庭教師で生計を立てたら?」
とアイーダ様がそう言った。
「そんな!無理です!」
「どうして?実際、今はアマリリスの家庭教師じゃない」
「歴史だけです。上級貴族のご令嬢の家庭教師となれば、勉強も然ることながら、マナーも社交も教える事が出来る人物でなければ務まりませんよ」
「確かにそうよ?でも貴女、前に『女性が自立出来る手段があればフェリックス様を自由にさせてあげられる』って言っていたわよね?
フェリックス様を自由に……ってのは、私にとってはどうでも良い事だけど、家庭教師で自立している女性はちゃんと存在してる。
まぁ……実際はどこかの夫人だったりで、それだけで生活をしている人はほんの一握りかもしれないけど、少なくてもちゃんと居るわ。
そうだ!家庭教師が難しいなら、学園の教師はどう?あれなら、歴史だけでも大丈夫だし」
「で、でも………」
「あら?貴女が自立を望んだのって口だけ?」
アイーダ様にそう言われて、私はハッとした。
結婚をしたくない……訳ではない。
だが、いつも何処かで『このままで良いの?』という思いがあった。
フェリックス様のステファニー様への想いを知っているのに、親に決められた結婚だからと、諦めて良いのかと。
フェリックス様とステファニー様が結ばれる事は残念ながらない。王太子殿下とステファニー様の婚約が白紙になるなんて事は天地がひっくり返ってもないだろう事は明白だ。
それでもフェリックス様がステファニー様の側に居たいと思う気持ちを止める事も出来ない。
……ならば、私が彼を解放してあげよう。そう思っていた気持ちに嘘はないが、どこかで『無理だ』とも思っていた。
やる前から決めつけていた自分に活を入れる。
「………私、やってみます。両親には反対されるかもしれませんが、やる前から諦めるのは違いますよね。うん!アイーダ様の言葉で目が覚めました!」
「そうよ!あんな男など必要ないと証明してみせましょう!」
アイーダ様はそう言って、自分の拳を包んでいた、私の両手の上にもう片方の自分の手を乗せて、
「私も力になるわ」
と微笑んだ。
「アイーダ様が居て下されば、百人力です」
私の言葉にアイーダ様は満足そうに頷いた。
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