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第17話
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「これ……使ってもらえるかな?」
デービス様が小さな箱を私の前に差し出した。
いつもの私のお気に入りの席に向かい合って座って、さて本を読むか……と開いた拍子だった。
差し出したデービス様は少し恥ずかしそうにはにかんでいる。
私はその箱を手に持って、そっと蓋を開いた。
そこには綺麗なエメラルドのイヤリングが入っていた。
「これは?」
「ドレスに合うんじゃないかと思って。緑のドレスだって聞いたから」
確かにドレスは緑色。……そうデービス様の瞳の色と同じ色だった。
私がそのイヤリングをじっと見つめていると、
「母の形見だから、プレゼントする事は出来ないんだが、僕が持っていても使う機会がないからね。たまには、このイヤリングも外の世界を見たいだろうと思ってさ」
「でも……そんな貴重な物……」
正直、別に目利きな訳ではないが、これが高価な物だというのは分かる。
「いいんだ。母も喜ぶさ。夜会が終わってから返して貰えば良いよ」
ニコニコと笑うデービス様にあまり強く拒否するのも申し訳ないと思って私はありがたく借りる事にした。
「きっと、あのドレスにも合うと思います」
「そうか。色は聞いたんだが、見せて貰ってはないんだ。僕も当日楽しみしているよ」
デービス様の言葉に私も生まれて初めて夜会が楽しみだと思えた。
夜会当日。私よりメイドと母が張り切っていた。
「ドレス、良く似合うわ!ねぇ、そう思うでしょう?」
母は私の支度を手伝うメイドに同意を求めた。
「本当にそうですね。お嬢様は元々綺麗なお顔立ちなので」
「そうなの!本当は可愛らしいのに……眼鏡と洒落っ気の無さで地味に見えちゃって……」
と母は肩を落とした。……そんなに落ち込まなくても良いじゃない?と思わなくはないが、私は口を挟むのは止めた。
あれよあれよという間に仕上げられ、
「今日ぐらいは眼鏡を外しましょうね」
と母に眼鏡を取り上げられた。
「あっ!!」
つい手を伸ばして眼鏡を追いかけるも、母は眼鏡を自分の背に隠した。
「流石にドレスに眼鏡は合わないわよ。本当は本を読んだり勉強したりする時以外には必要ないんでしょう?」
「で、でも……」
「ほらほら次は化粧よ。あ~本当はこうして娘を着飾らせてみたかったのよ~」
と母は楽しそうにしている。私もあまりそれを邪魔するのも申し訳なくて、全てを任せる事を決めた。
そして最後に母は、
「これ、貸してあげるわ」
とエメラルドのネックレスを私の首に掛けた。
「こんな高級そうな物……」
私が恐縮すると、
「デービス様のお母様の形見のイヤリングにもピッタリよ。ね、ほら見てご覧なさい」
と母は私の背中にそっと手を当てて鏡を指差した。
「本当に……」
薄い緑色から裾に向かって色が濃くなるドレスにそのネックレスとイヤリングはとても良く映えた。
デービス様が小さな箱を私の前に差し出した。
いつもの私のお気に入りの席に向かい合って座って、さて本を読むか……と開いた拍子だった。
差し出したデービス様は少し恥ずかしそうにはにかんでいる。
私はその箱を手に持って、そっと蓋を開いた。
そこには綺麗なエメラルドのイヤリングが入っていた。
「これは?」
「ドレスに合うんじゃないかと思って。緑のドレスだって聞いたから」
確かにドレスは緑色。……そうデービス様の瞳の色と同じ色だった。
私がそのイヤリングをじっと見つめていると、
「母の形見だから、プレゼントする事は出来ないんだが、僕が持っていても使う機会がないからね。たまには、このイヤリングも外の世界を見たいだろうと思ってさ」
「でも……そんな貴重な物……」
正直、別に目利きな訳ではないが、これが高価な物だというのは分かる。
「いいんだ。母も喜ぶさ。夜会が終わってから返して貰えば良いよ」
ニコニコと笑うデービス様にあまり強く拒否するのも申し訳ないと思って私はありがたく借りる事にした。
「きっと、あのドレスにも合うと思います」
「そうか。色は聞いたんだが、見せて貰ってはないんだ。僕も当日楽しみしているよ」
デービス様の言葉に私も生まれて初めて夜会が楽しみだと思えた。
夜会当日。私よりメイドと母が張り切っていた。
「ドレス、良く似合うわ!ねぇ、そう思うでしょう?」
母は私の支度を手伝うメイドに同意を求めた。
「本当にそうですね。お嬢様は元々綺麗なお顔立ちなので」
「そうなの!本当は可愛らしいのに……眼鏡と洒落っ気の無さで地味に見えちゃって……」
と母は肩を落とした。……そんなに落ち込まなくても良いじゃない?と思わなくはないが、私は口を挟むのは止めた。
あれよあれよという間に仕上げられ、
「今日ぐらいは眼鏡を外しましょうね」
と母に眼鏡を取り上げられた。
「あっ!!」
つい手を伸ばして眼鏡を追いかけるも、母は眼鏡を自分の背に隠した。
「流石にドレスに眼鏡は合わないわよ。本当は本を読んだり勉強したりする時以外には必要ないんでしょう?」
「で、でも……」
「ほらほら次は化粧よ。あ~本当はこうして娘を着飾らせてみたかったのよ~」
と母は楽しそうにしている。私もあまりそれを邪魔するのも申し訳なくて、全てを任せる事を決めた。
そして最後に母は、
「これ、貸してあげるわ」
とエメラルドのネックレスを私の首に掛けた。
「こんな高級そうな物……」
私が恐縮すると、
「デービス様のお母様の形見のイヤリングにもピッタリよ。ね、ほら見てご覧なさい」
と母は私の背中にそっと手を当てて鏡を指差した。
「本当に……」
薄い緑色から裾に向かって色が濃くなるドレスにそのネックレスとイヤリングはとても良く映えた。
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