9 / 44
第9話
しおりを挟む
私達が連れ立ってアイーダ様の馬車へと向かっていると、門の所にフェリックス様が立っているのが見えた。
「あら?あれはフェリックス様ではなくて?」
アイーダ様の質問に、私は眼鏡の位置を直しながら、
「その様ですね」
と答える。彼は今の時間王宮で働いている筈だが?不思議に思っていると、フェリックス様がこちらに近付いて来た。
はて?何か用かしら?私がそう思っていると、
「マーガレット、何処へ行く」
私の目の前に来たフェリックス様はそう私に尋ねた。……彼と話すのは何日……いや何週間ぶりかしら?いや、最後に話たのは一ヶ月以上前の定例のお茶会以来。定例といっても、子どもの頃はひと月に一回だったお茶会もどんどんと間隔は空いていき、今では三、四ヶ月に一度となっていたのだが。
「アイーダ様とカフェへ」
私は簡潔にその問いに答えた。
「カフェ?図書館に行くんじゃないのか?」
おや?私、学園の帰りに図書館へ通ってるなんて……フェリックス様に言った事があったかしら?
「別に図書館に行かなきゃならない訳ではないので」
「そ、それはそうだが。で、護衛は?誰か護衛が付いて行くのか?」
難しそうな顔でフェリックス様が尋ねる。
私はいつも一人で図書館に行っている。しかも歩いて。今更護衛など……そう思っていると、
「今日はうちの馬車で参りますので、うちの従者が。ご安心下さい」
と私の代わりにアイーダ様が答える。
「別に心配など……」
フェリックス様がそう口を開きかけた時、
「フェリックス~!!お待たせ!」
と小走りで駆けてきた、ステファニー様が後ろから私にドンとぶつかった。
よろける私をアイーダ様が咄嗟に支える。
当のステファニー様は、私の方へと振り返り、フッと口角を上げて笑った……様に見えた。
そして、すぐさま前を向くと、そのままフェリックス様の胸に飛び込んだ。
「フェリックス、ごめんなさい。待たせてしまったわ」
「別に良い。それより走るな、危ないだろう?」
「もう!フェリックスったら、心配性ね」
二人の会話が私達にまで聞こえる。甘ったるいステファニー様の声にちょっとだけ胸焼けがした。
「あら?あれはフェリックス様ではなくて?」
アイーダ様の質問に、私は眼鏡の位置を直しながら、
「その様ですね」
と答える。彼は今の時間王宮で働いている筈だが?不思議に思っていると、フェリックス様がこちらに近付いて来た。
はて?何か用かしら?私がそう思っていると、
「マーガレット、何処へ行く」
私の目の前に来たフェリックス様はそう私に尋ねた。……彼と話すのは何日……いや何週間ぶりかしら?いや、最後に話たのは一ヶ月以上前の定例のお茶会以来。定例といっても、子どもの頃はひと月に一回だったお茶会もどんどんと間隔は空いていき、今では三、四ヶ月に一度となっていたのだが。
「アイーダ様とカフェへ」
私は簡潔にその問いに答えた。
「カフェ?図書館に行くんじゃないのか?」
おや?私、学園の帰りに図書館へ通ってるなんて……フェリックス様に言った事があったかしら?
「別に図書館に行かなきゃならない訳ではないので」
「そ、それはそうだが。で、護衛は?誰か護衛が付いて行くのか?」
難しそうな顔でフェリックス様が尋ねる。
私はいつも一人で図書館に行っている。しかも歩いて。今更護衛など……そう思っていると、
「今日はうちの馬車で参りますので、うちの従者が。ご安心下さい」
と私の代わりにアイーダ様が答える。
「別に心配など……」
フェリックス様がそう口を開きかけた時、
「フェリックス~!!お待たせ!」
と小走りで駆けてきた、ステファニー様が後ろから私にドンとぶつかった。
よろける私をアイーダ様が咄嗟に支える。
当のステファニー様は、私の方へと振り返り、フッと口角を上げて笑った……様に見えた。
そして、すぐさま前を向くと、そのままフェリックス様の胸に飛び込んだ。
「フェリックス、ごめんなさい。待たせてしまったわ」
「別に良い。それより走るな、危ないだろう?」
「もう!フェリックスったら、心配性ね」
二人の会話が私達にまで聞こえる。甘ったるいステファニー様の声にちょっとだけ胸焼けがした。
2,484
お気に入りに追加
6,497
あなたにおすすめの小説
何を間違った?【完結済】
maruko
恋愛
私は長年の婚約者に婚約破棄を言い渡す。
彼女とは1年前から連絡が途絶えてしまっていた。
今真実を聞いて⋯⋯。
愚かな私の後悔の話
※作者の妄想の産物です
他サイトでも投稿しております
私のことを愛していなかった貴方へ
矢野りと
恋愛
婚約者の心には愛する女性がいた。
でも貴族の婚姻とは家と家を繋ぐのが目的だからそれも仕方がないことだと承知して婚姻を結んだ。私だって彼を愛して婚姻を結んだ訳ではないのだから。
でも穏やかな結婚生活が私と彼の間に愛を芽生えさせ、いつしか永遠の愛を誓うようになる。
だがそんな幸せな生活は突然終わりを告げてしまう。
夫のかつての想い人が現れてから私は彼の本心を知ってしまい…。
*設定はゆるいです。
【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?
ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。
アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。
15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
【完結】可愛くない、私ですので。
たまこ
恋愛
華やかな装いを苦手としているアニエスは、周りから陰口を叩かれようと着飾ることはしなかった。地味なアニエスを疎ましく思っている様子の婚約者リシャールの隣には、アニエスではない別の女性が立つようになっていて……。
そんなに幼馴染の事が好きなら、婚約者なんていなくてもいいのですね?
新野乃花(大舟)
恋愛
レベック第一王子と婚約関係にあった、貴族令嬢シノン。その関係を手配したのはレベックの父であるユーゲント国王であり、二人の関係を心から嬉しく思っていた。しかしある日、レベックは幼馴染であるユミリアに浮気をし、シノンの事を婚約破棄の上で追放してしまう。事後報告する形であれば国王も怒りはしないだろうと甘く考えていたレベックであったものの、婚約破棄の事を知った国王は激しく憤りを見せ始め…。
殿下が私を愛していないことは知っていますから。
木山楽斗
恋愛
エリーフェ→エリーファ・アーカンス公爵令嬢は、王国の第一王子であるナーゼル・フォルヴァインに妻として迎え入れられた。
しかし、結婚してからというもの彼女は王城の一室に軟禁されていた。
夫であるナーゼル殿下は、私のことを愛していない。
危険な存在である竜を宿した私のことを彼は軟禁しており、会いに来ることもなかった。
「……いつも会いに来られなくてすまないな」
そのためそんな彼が初めて部屋を訪ねてきた時の発言に耳を疑うことになった。
彼はまるで私に会いに来るつもりがあったようなことを言ってきたからだ。
「いいえ、殿下が私を愛していないことは知っていますから」
そんなナーゼル様に対して私は思わず嫌味のような言葉を返してしまった。
すると彼は、何故か悲しそうな表情をしてくる。
その反応によって、私は益々訳がわからなくなっていた。彼は確かに私を軟禁して会いに来なかった。それなのにどうしてそんな反応をするのだろうか。
完結 この手からこぼれ落ちるもの
ポチ
恋愛
やっと、本当のことが言えるよ。。。
長かった。。
君は、この家の第一夫人として
最高の女性だよ
全て君に任せるよ
僕は、ベリンダの事で忙しいからね?
全て君の思う通りやってくれれば良いからね?頼んだよ
僕が君に触れる事は無いけれど
この家の跡継ぎは、心配要らないよ?
君の父上の姪であるベリンダが
産んでくれるから
心配しないでね
そう、優しく微笑んだオリバー様
今まで優しかったのは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる