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第4話
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婚約者は……相変わらず幼馴染のステファニー·アンダーソン公爵令嬢に夢中なようだ。知りたくもない情報だが、お節介な人というのは、親切?にも教えてくれるのだ。
『この前、観劇に劇場へ行ったら、偶然フェリックス様とステファニー様がご一緒しているのを見かけましたわ。とても仲睦まじいご様子で』とか『ご存知ですか?ステファニー様が最近、肌身離さず身につけているイヤリング。あれはフェリックス様から贈られた物らしいですわ。確かに、フェリックス様の瞳の色と同じ濃い青色ですものね』とか『ステファニー様もフェリックス様も……お互い想い合っていらっしゃるのに……ステファニー様が生まれながらに王太子殿下の婚約者に決まってらっしゃったから……本当にお可哀想』などなど。皆、何故か薄っすら笑いながら私に教えてくれるのだ。私はその全てに『はぁ……そうですか』とニッコリ笑って答えるだけ。
それ以上でもそれ以下でもない。
だって、フェリックス様がステファニー様を大切に想われている事なんて、とっくの昔から知っているのだから。
「いらっしゃい、マーガレット。今日はどんな物語をご所望かい?」
笑顔のサーフィス様に、私は
「そうですね……今日はミステリーを」
と答える。
サーフィス様に教えて貰った本棚に向かうと、そこには
「デービス様、今日はデービス様もミステリーを?」
本を手にパラパラとめくっていたデービス様に出会う。
「やぁ、メグ。そろそろ来る頃だと思っていたよ。今日もいつもの席を確保してる。メグも今日はミステリー?」
今までめくっていた本をパタンと閉じると、デービス様は笑顔で私にそう言った。
「ねぇ、メグ。『夏の夜会』には参加するの?」
本を半分程読み進めた頃、唐突にデービス様から尋ねられた。
「いえ……。今回も参加いたしません」
今の所、フェリックス様からは何の音沙汰もないし、ドレスが届いたという話も聞かない。
「そう……なら、僕と参加しない?」
少し顔を赤く染めたデービス様にそう言われて、私は目をパチクリとさせてしまった。
確かに婚約者や恋人と参加しないといけない……なんて決まりはない。現に私の婚約者は他のご令嬢と参加するのだから。
ステファニー様の婚約者である王太子殿下は他国へと留学中。既にもう三年程になるが、まだ帰国するという話は聞こえてこない。
ステファニー様は私と同じ学園の三年生だが、この分だと卒業と同時に結婚……とはなりそうにない。
お陰で、夜会だの何だのは全てフェリックス様がエスコートしている。……まぁ、別にそれにも慣れたので私はそれについて思う事は何も無い。
「ねぇ……ダメ……かな?」
恐る恐るといった風に尋ねるデービス様の声に、我に返った。
「ダメ……という訳ではありませんが、デービス様、パートナーの方は?」
そう言えばデービス様の事を、私は殆ど知らない。元々は遠い国の伯爵家のご子息らしいのだが、跡継ぎ問題で揉めて、親戚である我が国のルーベンス子爵の元へと身を寄せているらしい。事が事なだけに、あまり踏み込むのも悪いと思い、私は詳しい事を尋ねるのはやめたのだ。
『この前、観劇に劇場へ行ったら、偶然フェリックス様とステファニー様がご一緒しているのを見かけましたわ。とても仲睦まじいご様子で』とか『ご存知ですか?ステファニー様が最近、肌身離さず身につけているイヤリング。あれはフェリックス様から贈られた物らしいですわ。確かに、フェリックス様の瞳の色と同じ濃い青色ですものね』とか『ステファニー様もフェリックス様も……お互い想い合っていらっしゃるのに……ステファニー様が生まれながらに王太子殿下の婚約者に決まってらっしゃったから……本当にお可哀想』などなど。皆、何故か薄っすら笑いながら私に教えてくれるのだ。私はその全てに『はぁ……そうですか』とニッコリ笑って答えるだけ。
それ以上でもそれ以下でもない。
だって、フェリックス様がステファニー様を大切に想われている事なんて、とっくの昔から知っているのだから。
「いらっしゃい、マーガレット。今日はどんな物語をご所望かい?」
笑顔のサーフィス様に、私は
「そうですね……今日はミステリーを」
と答える。
サーフィス様に教えて貰った本棚に向かうと、そこには
「デービス様、今日はデービス様もミステリーを?」
本を手にパラパラとめくっていたデービス様に出会う。
「やぁ、メグ。そろそろ来る頃だと思っていたよ。今日もいつもの席を確保してる。メグも今日はミステリー?」
今までめくっていた本をパタンと閉じると、デービス様は笑顔で私にそう言った。
「ねぇ、メグ。『夏の夜会』には参加するの?」
本を半分程読み進めた頃、唐突にデービス様から尋ねられた。
「いえ……。今回も参加いたしません」
今の所、フェリックス様からは何の音沙汰もないし、ドレスが届いたという話も聞かない。
「そう……なら、僕と参加しない?」
少し顔を赤く染めたデービス様にそう言われて、私は目をパチクリとさせてしまった。
確かに婚約者や恋人と参加しないといけない……なんて決まりはない。現に私の婚約者は他のご令嬢と参加するのだから。
ステファニー様の婚約者である王太子殿下は他国へと留学中。既にもう三年程になるが、まだ帰国するという話は聞こえてこない。
ステファニー様は私と同じ学園の三年生だが、この分だと卒業と同時に結婚……とはなりそうにない。
お陰で、夜会だの何だのは全てフェリックス様がエスコートしている。……まぁ、別にそれにも慣れたので私はそれについて思う事は何も無い。
「ねぇ……ダメ……かな?」
恐る恐るといった風に尋ねるデービス様の声に、我に返った。
「ダメ……という訳ではありませんが、デービス様、パートナーの方は?」
そう言えばデービス様の事を、私は殆ど知らない。元々は遠い国の伯爵家のご子息らしいのだが、跡継ぎ問題で揉めて、親戚である我が国のルーベンス子爵の元へと身を寄せているらしい。事が事なだけに、あまり踏み込むのも悪いと思い、私は詳しい事を尋ねるのはやめたのだ。
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