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その114
しおりを挟むイヴァンカ様が部屋を出てから少しして、キャンベル医師が部屋へ訪れた。
「シビルちゃんどう?痛み止めは効いてる」
と訊かれ、私は頷いた。
痛くないわけではないが、呻く程ではない。
「多分、明日の方がもっと痛くなると思うんだ。痛み止めを飲むなら、時間は4時間以上空けてね。
それと、口の中が切れてるし、頬も腫れて口を開き難くなってるから、食事が食べにくいと思う。
痛み止めを飲むなら食事してからの方が胃に負担がかかりにくいけど、あまり食べれないようなら、胃薬と一緒に痛み止めを飲むんだよ?はい。これ、胃薬。置いとくね」
とキャンベル医師は、胃薬をテーブルに置いた。
私はついでに、
『キャンベル様とエクルース公爵令嬢様とはお知り合いですか?』
と紙に書いてキャンベル医師に見せた。
多分親しい間柄なのだと思うので、訊いてみたかったのだ。
キャンベル医師は紙にさっと目を通すと、
「あぁ。ローザリンデと、僕とクリスティアーノは歳は違うが幼馴染みみたいなもんだ。
親の関係もあるが、小さな頃からの知り合いでね。
子どもの頃はよく一緒に遊んだが… 見ての通りローザリンデは性格がキツくて。
僕達の方が歳上だが振り回されてばかりで、それが嫌になって自然と離れていった。まぁ、今でも会えば話しもするし、お茶ぐらいは一緒に飲むがね」
なるほど。気安い感じがしたのはそのせいか。
幼馴染みねぇ。そう聞いて私はオーランドを思い出した。
オーランドは何処へ行ったのだろう。
愛の逃避行なんて、全然オーランドからは想像できない。
私と同じように恋愛初心者だと思っていたのに、先を越されたようで、なんだか悔しい。
まぁ、オーランドの奥さんにしてみれば、旦那が自分の所のメイドに手を出して、その上駆け落ちされたなんて、たまったもんじゃない。
そういえばオーランドとキャンベル医師ってファミリーネームが一緒ね…なんて関係のない事を考えていると、イヴァンカ様がクリス様を連れて部屋へ戻って来た。
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