隣国へ嫁ぐワガママ王女に付いて行ったら王太子に溺愛されました

初瀬 叶

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その105

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私は新しく自分の部屋になった場所で、今回、私の専属侍女になった女性達を紹介されていた。

ここに来て最初にミシェル殿下の侍女として紹介された、イブとニーナだ。

ただ、2人の態度は私の事を歓迎しているものでは無いことが一目瞭然である。

最初の出会いとして、私達の印象があまり良くなかった事は理解しているが、私としてはここの使用人達にも礼節を持って接していたと思っていた。……まぁ、今まで自分達と同じ使用人だった立場の者に支えなければならないというのは、複雑な心境なのだろうけど。

しかし、こうあからさまだと、いくら私でもちょっぴり凹む。




「どちらのドレスに致します?」
とぞんざいな態度で私に訊ねるイブ。

私は、

「えっと…ではこのクリーム色の」
と私が指し示すと、

「このお色だと、地味なお顔に映えませんけど…よろしいですか?」
ときっぱりと言われてしまった。

確かに、私のようなぼんやりとした顔なら、もう少しハッキリとした色味の方が良いのかもしれないが、そういう色のドレスは、何故かやや胸元の開いてる物が多いのだ。クリス様の趣味なのか…クリス様のお知り合いの趣味なのかは知らないが。

私は、

「昼間なので、あまりデコルテを出したくありません。この色で、顔映りが悪くても結構です」
と答えた。まぁ、可愛げはなかっただろう。

その答えにイブは、

「そうですか。の言う通りに致します。
私達の助言は今後も必要ないと言う事でよろしいですね」
と、言い捨てると、私が指定したクリーム色のドレスを手に取った。
ねぇ。名前すら言いたくないと言う事か。まぁ、私は別にどうでも良い。

私はドレスに着替え、次は髪と化粧だ。

ニーナは、

「髪はいかがいたしましょうか?の言う通りに致しますので、どうぞリクエストがあれば仰って下さい」
と、櫛を持って棒立ちだ。

私は元々侍女だ。身支度だって、難しいドレス以外は自分で出来る。

しかし、ここで私が『自分で出来るわ』なんて言おうものなら、今後、難しいドレスでさえ手伝ってもらえなくなるだろう。

…人を使う難しさをこんな所で知るなんてね。
私は心の中で1人溜め息をついた。
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