隣国へ嫁ぐワガママ王女に付いて行ったら王太子に溺愛されました

初瀬 叶

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その76

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「あの…何かの聞き間違いでしょうか?王太子殿下の…婚約者?誰がでしょう?」

私が首を傾げると、

「聞き間違いではない。…シビルが俺の婚約者として、このベルガ王国に残ってもらう。もちろん、俺としては直ぐに結婚したいのだが…」

「ちょっ…ちょっと待って下さい!何の話しです?何で私が殿下と結婚を?」

「それは、俺がそう望んだからだ。今回の婚約破棄を受け入れて貰ったのは、同盟を破棄すると脅した事ももちろんだが、賠償金は不要、その代わりお前を俺の嫁にする事を条件にしたからだ。
お前の実家の金なら、心配するな。
もちろん、お前の家の借金は向こうの王家が既に支払い済みだったから、此処での給料分をお前の実家に毎月ベルガ王国から支払う事になった」

ちょっと良くわからない。
1番わからないのは、何故私との結婚をクリス様が望んでいるかだ。

お金の件は何処から出ようが、実家が困らなければ良いのだが、この話はそういう問題ではない筈だ。

それに、私の気持ちが全く追い付いていない。混乱真っ只中だ。

「実家の事は…ありがとうございます?でも、何故、私と王太子殿下との結婚が、賠償金代わりに?」

「アルティアとしては、王族と王族との婚姻で2国間の関係を強固にしたかっただろうが、アルティアの貴族が俺と結婚するんでも問題ないと判断したんだろう」

いや、私が訊きたいのは、そこじゃない。

「あの…根本的な問題がありますよね?私は没落寸前の伯爵家の娘で、持参金もありませんし、私なんかが、王太子殿下と結婚するなど、冗談としか思えません。
その…私としてはお断りさせて頂きたいのですが…」

「却下だ。持参金は必要ない。それに、お前が俺と結婚しないなら、賠償金を請求する事になってしまうぞ?」

「それって…脅しですか?」

「俺にはそのつもりはないが?そう受け取れるなら、仕方ないな。といっても、お前には拒否権はない。これは決定事項だ」

「あの…私の意思は無視ですか?」

「お前の意思か。なるほど。じゃあ、訊くがお前は俺との結婚は嫌なのか?」

「えっと………嫌です」

当たり前だと思うけど?誰が王太子妃になんてなりたいのよ!
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