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その10
しおりを挟む旅は続くよどこまでも。
いや、正確に言えば王宮を出発して早5日。
順調に行けばあと2日で国境の町へ着く予定だ。いや…だった。
殿下は毎日、『お尻が痛い』『疲れた』『帰りたい』『お前の顔は見飽きた』と文句をつけ、ことある事に休憩を余儀なくされた。
なので、予定の半分程しか来ていない。
このままでは、国境の町への到着は後5日程掛かるだろう。
そのせいで、何度、臨時の宿屋を探す羽目になったか…。
警備の関係もあり、どこでも良いと言うわけにはいかない。
しかも泊まるのは腐ってもこの国の王女。下手な所には宿泊出来ない。
それに国境付近には、ベルガ王国の護衛の方々もやって来るのだ。
道中で既に到着が遅れる事は予測された為に、こちらから早馬でその旨を伝えたが、きっとこちらの印象は最悪だろう。
最初からよく思われていないのに…どんどん自分の首を絞める殿下。ドMかな?
結局、私は実家に戻る事が出来なかった。
これ以上到着が遅れるのを防ぐ為だ。
本当に迷惑な話しだ。
「殿下、これ以上旅程を延ばす事は出来ませんので、休憩は然るべき時、然るべき場所のみとなります。ご了承下さい」
「!はぁ?それじゃあ、私の体調が悪くなっても良いって言うの?」
「もちろん、殿下の体調には私が細心の注意を払うように致します。
しかし、私が必要ないと思う休憩は取りません」
「あんたなんかに、何が…」
と殿下が言いかけたが、
「とにかく!これは、決定事項です!」
と私は言いきって、この話しを強制的に終わらせた。
一刻も早く、国境に着きますように!
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