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第34話
しおりを挟む「セドリック……貴方って私の事、好きだったの?」
私の肩を掴んで真っ赤な顔をしたセドリックに私は問いかける。
いつもは飄々としている彼のこんな姿を見るのは初めてで、私も驚いてしまった。
「~~~っ!だから、さっきからそう言っているだろ!」
「…………」
その言葉に目を見開いて固まってしまった私に、
「おい。何とか言えよ。沈黙がいたたまれない」
とセドリックは顔を背けた。手は肩に置いたままだが。
「……あ。いや、驚き過ぎて言葉が出なかったの。セドリックが?私を?」
「……お前ってどこまで鈍感なんだ?俺の気持ちなんて、皆知ってたぞ。
陛下にも、リッチにも……バレバレだ」
どうして、そこでその2人の名前が出るのかわからないが……。
「そうなの?だって……貴方は私との婚約を解消した張本人じゃない。好きなら普通は……」
と言いかけた私をセドリックは強く抱き締めた。
私はその力強さに思わず体が跳ねてしまう。
「あの時はあれが最善だと思ったんだ。
この国を変えたかった。その為には自分の気持ちなど殺してしまえば良いって思った。
お前が王妃になり、俺もいずれ、どこかの令嬢と結婚する……そうすれば、嫌でもこの気持ちを忘れられると思った。でも、無理だったんだ」
セドリックの声は少し掠れて聞こえる。まるで自分の気持ちを吐露する事を恥ずかしいと思っているかの様だ。
私はそんなセドリックの背中にそっと手を回した。
「私は貴方を同志のように思っていたの。貴方も同じ気持ちだと思っていた。だから、貴方の告白に戸惑っているわ。……少し時間を貰えるかしら?」
と私は穏やかに言った。
……が、しかし。
セドリックは『ガバッ!』と私を抱き締めた手を離し、再び私の両肩を掴むと、
「残念だが、それは無理だ。この結婚はすでに決定している。陛下も承諾済みだ。
お前に断るという選択肢はない」
といつもの少し意地悪そうな顔でニヤリと笑った。
「はぁ?!何で私に選択肢がないのよ!どうして貴方はいつもそうやって勝手に……!」
と文句を言う私の口をセドリックは自分の唇で塞いだ。……所謂『口づけ』だ。
ロマンチックなムードなど何1つないけど!
私は突然の事に固まる。
そんな私を見て、セドリックはまた意地悪そうに笑った。
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