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第27話

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「ジュリエッタ嬢はなんとかして母親の目を覚まさせたかったんだろう。ラルフの恋心を利用したのは浅はかだったかもしれないが、彼女なりに思案した結果だ」

「1番ショックを受けているのはジュリエッタだわ。私だってジュリエッタを責めるつもりはない。でも……何て人なのかしら。あれが母親なんて」
と私は頭を抱えた。

私はセドリックにもう1度心からの感謝を伝えた。

「いつの日か貴方にこの恩を返させてね。本当に……ありがとう」

「言ったろ?うちの為でもある。気にするな」
とセドリックはそう言って帰って行った。


私は部屋で1人になって、深く溜め息をついた。
頭が痛い。しかし、このまま……という訳にはいかない。

私はローレンスを呼んだ。

「お疲れ様でございました」
と私を労うローレンスに、

「明日、ラルフを呼んで。それと……エンデ修道院へ連絡を」
と私が言えば、

「エンデ修道院ですか……あそこは……」
と彼は言い淀んだ。

「いいの。当然の報いだわ」

「畏まりました」
とローレンスは一礼して部屋を出て行った。

ジュリエッタはナラに任せていれば良いだろう。

顔も見たくないけど……。
私は自分の頬をパシン!と叩いて気合いを入れると、勢いよく立ち上がって部屋を出る。

……ちょっと強く叩きすぎたわ。頬が痛い。

私が向かう部屋。それは……母の部屋だ。
嫌な役目だが、私の仕事だ。

コンコンコン……ノックをするが部屋の中から物音1つも聞こえない。

もしや…逃げた?!
私は勢いよくドアを開けた。

そこには……ベッドに横たわる母親とその傍らに立つロイの姿が暗い部屋の中、月光に照らされていた。

まさか、ロイが思い余って?!と悪い予感が頭を過るが、
「うーん」
と寝返りを打った母親の姿にホッと胸を撫で下ろした。

私はゆっくりとロイの横へと近づく。ロイは私に振り返り、

「申し訳ありません。私がお止め出来なかったばかりに……」
と頭を垂れた。

「寝てるの?」
と私は少し小声でロイに尋ねた。

「先ほどまで、何とかして逃げ出そうとしていましたので……私に処方されている睡眠薬をお酒に混ぜて飲ませました。……それしか止める術がなく…本当に申し訳ありません」

「いいの。貴方に任せっきりにした私も悪かったの。大変だったでしょう?睡眠薬を服用しなければ寝られないぐらいだったなんて、貴方の体の事にも何にも気づかなかったわ。馬鹿ね、私も」
私は余裕がなかった。きちんとやってるつもりで……面倒な事に目を瞑ってしまっていたのだ。
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