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第62話〈ルシウス視点〉
しおりを挟むアナベルと話しをしようとすると、あのアンダーソン伯爵令息か、メリッサが何故か邪魔をする。
今日はやっとアナベルとお茶会が出来る。試験も終わった、生徒会の用事もない。
あとは邪魔者2人が来ないように、急いでアナベルを連れて帰るしかない。
アナベルも毎日、毎日、あの男と居るなんて…どう考えてもおかしいだろう?
アナベルは僕の婚約者なんだから、少しは弁えてもらわなければ…そう思っていたのに…。
アナベルの口から、信じられない言葉を聞いた。
…あのアンダーソンが…アナベルの恋人?
確かに……僕はアナベルが恋人を作る事を容認していた…なのに、何故こんなに、動揺するんだ?
僕だって、アナベルに負けないように、恋人を作れば良い。
そう思うのに、アナベルが言ってる事が頭に入って来ない。
恋人になれば良い?誰と?メリッサと?冗談じゃない。
何だか気分も悪くなってきた…折角のお茶会なのに…お茶の味もわからなくなってしまった。
もしかすると、僕は何か病気なのかもしれない。
このままアナベルに感染してしまっては申し訳ない。
僕はお茶会を切り上げる事にした。
翌日にアナベルが僕が子どもの頃に美味しいと言った飴を持ってお見舞いに来てくれた。
しかも、アナベルの手作りだと言う。
僕は気分が良くなった。
あの飴には薬か何かが入っているのかもしれない。
しかし…またもやアンダーソンの話しになる。
アナベルが『グレイ、グレイ』と奴の名前を親しげに呼ぶ度に、またも気分がモヤモヤし始めた。
その上、何故かメリッサが王宮に乗り込んで来た。今度は頭まで痛くなってくる。
また病気がぶり返したみたいだ。
…僕とアナベルの邪魔をする2人が遂に敵に見えてきた。やはり僕は病気なのかもしれない。
学園で、よくよく周りの話しを聞いてみると、アナベルとアンダーソンは少し前から噂になっていたらしい。
2人が仲良く、顔を寄せ合って話しをしている所や、手を繋いでいる所など、目撃者多数だ。
しかし、2人は周りには、親戚で、幼馴染みだから仲が良いのだと言っているようだ。
アナベルは私の婚約者なのだから、他に恋人がいるなどと、大っぴらに出来ないのも当たり前だが。
しかし、婚約者の私よりも、遥かにあの男と一緒にいる時間が長い。恋人より、婚約者の方が大切なのではないか?結婚相手だぞ?
しかも2人の会話を聞いた者が言うには、
アナベルは僕が王太子でなければ婚約していないと言ったとか、言っていないとか…。
僕は確かに、恋人を作る事は許可したが、婚約者である僕を蔑ろにして良いとは言っていない。
あくまでも、学園に通っている間だけの関係であるべきなのだ。
こうなったら、僕は、僕でアナベルと一緒に居る努力をしよう!
そうだ、最初からあの男に、遠慮なんてする必要なかった。だって僕はアナベルの婚約者なんだから。
いくらあの男の事をアナベルが好きでも、結婚するのは僕だ!
ま、待てよ?…………アナベルは、…あの男が好き…なのか…そうか…恋人とは…そういう事だよ…な。
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