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第61話〈ルシウス視点〉

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僕が生徒会に入ると、アナベルとのお茶会の時間を取る事が、かなり難しくなってきてしまった。

あの横顔を見れないばかりか、話しをする機会も失われつつある。

…それもこれも、あのメリッサとか言う、下位貴族の令嬢のせいだ。彼女の尻拭いに時間を取られてしまっているからだ。

彼女は成績優秀者という事で下位貴族から唯一、生徒会に入る事を許された訳だが…なんというか…とにかく下品だった。

どうも生まれが平民という事で、淑女としての振る舞いが全く、身に付いていない。

僕の周りにはアナベルを始めとして、淑女教育を終えた女性ばかりなので、最初見た時には驚いた。

しかも、僕の事を呼び捨てにする。アナベルでさえ、僕の名前を呼んだりしないのに…だ。
正直に言えば、不愉快だが、他の生徒会のメンバーは皆、呼び捨てにされたからといって怒る様子もない。
それなのに、僕だけが異を唱えるのは、王族だからお高くとまっていると思われそうで言えなくなってしまった。…情けない話しだ。

僕以外の生徒会のメンバーは、何故か彼女をチヤホヤしている。
昼食も、上位貴族の校舎の食堂で食べたいと言えば連れて行き、図書室も構わず入室させる。
僕は何度か注意しようとしたが、何故か学園長にまで彼女の好きにさせるように言われてしまった。
学園で、王族の権利を振り回すのは、あまり褒められたものではない…と思って我慢した。しかし…本当に彼女は成績優秀者なのだろうか?と不思議に思う事ばかりだ。

そして、今、僕は、非常にイライラしている。何故かって?

ここ最近、アナベルを見ればいつも、奴が側にいるからだ。

グレイ・アンダーソン伯爵令息。アナベルの『はとこ』だそうだ。

アンダーソン伯爵と言えば手広く事業をやっていて、領地経営の手腕も素晴らしく、裕福な家だ。侯爵になる日も近いと言われているし、歴史も古い。所謂『名家』と呼ばれる家柄だ。

どうもアナベルの母親と、アンダーソン夫人が従姉妹同士であるらしく(気になって調べた)、領地も近い。
2人は小さな頃から、まるで兄妹のように交流していたようだ。

その上何故か、あのグレイという奴には婚約者が居ないらしい(気になって調べた)
あんな家柄なら、例え次男であっても繋がりを持ちたい家はわんさかあるだろう。
…何故だ?…まさか…アナベルの事を想って…などではないよな?
いやいやまさか!アナベルは王太子妃、行く行くは王妃となる女性だ。
そう、アナベルはあくまでも僕の婚約者だ。

しかし…何故僕は2人の姿を見るとイライラするんだろう?
…もしかすると、僕は…

カルシウム不足なのかもしれない。
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