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第38話

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「ベル、さっきから何を熱心に読んでいるんだ?」

「ほら…苦情を言いに来られた方が居たでしょう?その方に言われた『悪役令嬢』というものを勉強する為に、この小説を読んでいるのだけれど…どうも、悪役令嬢とは、ヒロインを虐める役目を持ったご令嬢の事みたいなの」

「何だそれは?何で虐めなきゃならないんだ?」

「まず、『悪役令嬢』というのは、どうもヒロインに婚約者を略奪される立場みたいなの」

「…それって、ヒロインの方が悪くないか?」

「そうなのよ!それ!
でも、ヒーローは婚約者には愛情を持っていなくて、ヒロインに惹かれてしまうの。
ヒロインもそんなヒーローを愛してしまうのね…なんとなく、私と殿下と重なるもの。
…私は悪役令嬢になるしかないのかしら?」

「いいか、お前が虐めるとなると、そんな可愛いものではすまないだろ?
相手が再起不能になるまでやるだろうが。やめとけ、やめとけ。今まで、警察沙汰にならないだけマシだったんだ。大人しくしてろ」

「確かに。小説では、ヒロインに文句を言ったり、教科書を破ったり、悪口を言ったり、階段から落としたり……どれも私の性に合わないわ。
そんな事では、相手の口を塞げないもの。
私だったら、相手の弱点をとことん調べあげて…そうねぇ、家族の方も調べるわ。そして、そこからジワジワと苦しめて…」

「……やめとけ、やめとけ。想像でも恐ろしいから」

そんな事をグレイと話していましたら、私達の前に、3人のご令嬢が近づいてまいりました。
…皆様、顔が怖いんですけど…。

すると、真ん中に居たご令嬢が私に、

「こちらからのお声がけ、失礼いたします。お話し中の所申し訳ないのですけれど、クラーク様にお話しがあるの」

今、私に話し掛けてきたご令嬢は、ナタリー・グランド侯爵令嬢様で御座います。
ナタリー様は、生徒会長のベルナール様のご婚約者です。
しかも横に控える2人のうちの1人は、なんとバイオレット・カルキン侯爵令嬢様ではないですか。
私の最大のライバルだった方ですが、確か、今は、ライアン・コリンズ伯爵令息様と婚約していたはず…そういえば、ライアン様も生徒会役員ですわね。
そして、もう1人はジェニファー・モレッツ伯爵令嬢様ですね。
この方の婚約者は、ロバート・スミス伯爵令息様。この方も生徒会役員ですわ
…此処にいる3人の皆様の婚約者様は全員が生徒会役員…嫌な予感しか致しませんわ。

「お話しとは?」

「ここでは少し…。場所を変えませんこと?」

ナタリー様は、私の横のグレイをチラリと見てから、私にそう言いましたの……これって、所謂、『呼び出し』というやつでしょうか?
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