7 / 95
第7話
しおりを挟む
「アナベル、昼食を一緒に食べよう」
あぁ、朝見ても、昼見ても、殿下はお美しいですわね。
それに引き換え、今日の私のコンディションは絶不調。
昨日、学園の帰りに本屋に寄って、恋愛小説を片っ端から買って、昨晩は寝る間も惜しんで『恋人とはなんぞや』についてお勉強しておりましたの。
それが祟って、今朝、私の顔に立派な隈が出来ていましたのよ?朝から、気絶しそうでしたわ。
そんな顔を殿下の前に晒せと?
そんな事をしたら、殿下に私、嫌われてしまうかもしれませんわ。
殿下が私に恋愛感情がない事など、婚約者になった当初から、わかっておりました。
少し、私が殿下の婚約者になった経緯を皆様にはお話しておきたいと思います。
私は幼少の頃…少々やんちゃでございましたの。父も母も、それはそれは私の行く末を心配しておりました…。
ー回想ー
アナベル父(ハリー・クラーク公爵):『アナベルは…嫁の貰い手がないかもしれない…』
アナベル母(ミランダ・クラーク公爵夫人):『あなた。公爵家の権力を最大限に使っても無理なのですか?あの娘は、その…少々お転婆ですけれども、愛らしい見た目をしております。騙されて下さる方も中にはいらっしゃるかもしれません。諦めないで!』
アナベル父:『私だって、諦めたくはないが…、ペンを握るより、剣を握っている方が好きだし、馬車に乗るより、馬に乗りたいと言い、虫でも爬虫類でも、両生類でも手掴みだ。…アナベルの相手が出来るのはメルヴィルぐらいしかいないだろう』
アナベル母:『メルヴィルは最終手段よ。メルヴィルなら、アナベルを喜んで貰ってくれるでしょうけど…あの2人が一緒に居ると禄な事がないわ。この前だって、アンダーソン伯爵領にあるボート小屋を吹き飛ばしたのよ?あの2人が結婚なんてしたら…伯爵家が半壊してもおかしくないわ』
アナベル父:『半壊で済めば良いな。どうしてアナベルは…あんな風に育ったんだろうな…兄のフリオは驚く程に大人しいのに…』
アナベル母:『フリオの存在感の無さも異常ですけどね。私はお茶会に連れて行って、2回も連れて帰るのを忘れてしまいましたもの』
アナベル父:『ミランダ…それはそれで母親として問題だ』
アナベル母:『そんな事は百も承知です。しかし、今問題なのは、アナベルですわ。あの娘が何処にも嫁がないと言うことは、一生、私達が面倒を見なくてはならなくなるのですよ?フリオにだっていつの日か結婚する相手がこの公爵家に嫁いで来るのです。その屋敷にアナベルが居るとなると…』
アナベル父:『離縁と言われかねないな。フリオが』
アナベル母:『修道院に莫大な寄付をしたとしても、アナベルを受け入れてくれる所があるかどうか…』
2人はため息をつく。
そんなある日、アナベルの運命を左右する、王宮からの招待状が届いたのである。
あぁ、朝見ても、昼見ても、殿下はお美しいですわね。
それに引き換え、今日の私のコンディションは絶不調。
昨日、学園の帰りに本屋に寄って、恋愛小説を片っ端から買って、昨晩は寝る間も惜しんで『恋人とはなんぞや』についてお勉強しておりましたの。
それが祟って、今朝、私の顔に立派な隈が出来ていましたのよ?朝から、気絶しそうでしたわ。
そんな顔を殿下の前に晒せと?
そんな事をしたら、殿下に私、嫌われてしまうかもしれませんわ。
殿下が私に恋愛感情がない事など、婚約者になった当初から、わかっておりました。
少し、私が殿下の婚約者になった経緯を皆様にはお話しておきたいと思います。
私は幼少の頃…少々やんちゃでございましたの。父も母も、それはそれは私の行く末を心配しておりました…。
ー回想ー
アナベル父(ハリー・クラーク公爵):『アナベルは…嫁の貰い手がないかもしれない…』
アナベル母(ミランダ・クラーク公爵夫人):『あなた。公爵家の権力を最大限に使っても無理なのですか?あの娘は、その…少々お転婆ですけれども、愛らしい見た目をしております。騙されて下さる方も中にはいらっしゃるかもしれません。諦めないで!』
アナベル父:『私だって、諦めたくはないが…、ペンを握るより、剣を握っている方が好きだし、馬車に乗るより、馬に乗りたいと言い、虫でも爬虫類でも、両生類でも手掴みだ。…アナベルの相手が出来るのはメルヴィルぐらいしかいないだろう』
アナベル母:『メルヴィルは最終手段よ。メルヴィルなら、アナベルを喜んで貰ってくれるでしょうけど…あの2人が一緒に居ると禄な事がないわ。この前だって、アンダーソン伯爵領にあるボート小屋を吹き飛ばしたのよ?あの2人が結婚なんてしたら…伯爵家が半壊してもおかしくないわ』
アナベル父:『半壊で済めば良いな。どうしてアナベルは…あんな風に育ったんだろうな…兄のフリオは驚く程に大人しいのに…』
アナベル母:『フリオの存在感の無さも異常ですけどね。私はお茶会に連れて行って、2回も連れて帰るのを忘れてしまいましたもの』
アナベル父:『ミランダ…それはそれで母親として問題だ』
アナベル母:『そんな事は百も承知です。しかし、今問題なのは、アナベルですわ。あの娘が何処にも嫁がないと言うことは、一生、私達が面倒を見なくてはならなくなるのですよ?フリオにだっていつの日か結婚する相手がこの公爵家に嫁いで来るのです。その屋敷にアナベルが居るとなると…』
アナベル父:『離縁と言われかねないな。フリオが』
アナベル母:『修道院に莫大な寄付をしたとしても、アナベルを受け入れてくれる所があるかどうか…』
2人はため息をつく。
そんなある日、アナベルの運命を左右する、王宮からの招待状が届いたのである。
51
お気に入りに追加
1,831
あなたにおすすめの小説
最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……
藍川みいな
恋愛
「アナベル、俺と結婚して欲しい。」
大好きだったエルビン様に結婚を申し込まれ、私達は結婚しました。優しくて大好きなエルビン様と、幸せな日々を過ごしていたのですが……
ある日、お姉様とエルビン様が密会しているのを見てしまいました。
「アナベルと結婚したら、こうして君に会うことが出来ると思ったんだ。俺達は家族だから、怪しまれる心配なくこの邸に出入り出来るだろ?」
エルビン様はお姉様にそう言った後、愛してると囁いた。私は1度も、エルビン様に愛してると言われたことがありませんでした。
エルビン様は私ではなくお姉様を愛していたと知っても、私はエルビン様のことを愛していたのですが、ある事件がきっかけで、私の心はエルビン様から離れていく。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
かなり気分が悪い展開のお話が2話あるのですが、読まなくても本編の内容に影響ありません。(36話37話)
全44話で完結になります。
誰も本当のことを言わないので、貴方は自分が地雷男であることに気づけない
麻宮デコ@ざまぁSS短編
恋愛
「俺は女性から見て高嶺の花の男らしくて、みんな付き合うのを気が引けちゃうんだよね」
兄の紹介で会ったリチャードは、初対面のアルマにそんなことを言うような自意識過剰な男だった。
デートの後はもう二度と彼と会いたくないとうんざりしてしまったアルマは、姉に相談することにした。
全4話
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした
ましゅぺちーの
恋愛
王国の名門公爵家の出身であるエレンは幼い頃から婚約者候補である第一王子殿下に全てを捧げて生きてきた。
彼を数々の悪意から守り、彼の敵を排除した。それも全ては愛する彼のため。
しかし、王太子となった彼が最終的には選んだのはエレンではない平民の女だった。
悲しみに暮れたエレンだったが、家族や幼馴染の公爵令息に支えられて元気を取り戻していく。
その一方エレンを捨てた王太子は着々と破滅への道を進んでいた・・・
【本編完結】独りよがりの初恋でした
須木 水夏
恋愛
好きだった人。ずっと好きだった人。その人のそばに居たくて、そばに居るために頑張ってた。
それが全く意味の無いことだなんて、知らなかったから。
アンティーヌは図書館の本棚の影で聞いてしまう。大好きな人が他の人に囁く愛の言葉を。
#ほろ苦い初恋
#それぞれにハッピーエンド
特にざまぁなどはありません。
小さく淡い恋の、始まりと終わりを描きました。完結いたします。
浮気をした王太子が、真実を見つけた後の十日間
田尾風香
恋愛
婚姻式の当日に出会った侍女を、俺は側に置いていた。浮気と言われても仕方がない。ズレてしまった何かを、どう戻していいかが分からない。声には出せず「助けてくれ」と願う日々。
そんな中、風邪を引いたことがきっかけで、俺は自分が掴むべき手を見つけた。その掴むべき手……王太子妃であり妻であるマルティエナに、謝罪をした俺に許す条件として突きつけられたのは「十日間、マルティエナの好きなものを贈ること」だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる