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第4話
しおりを挟む「グレイ…貴方またサボったのね?叔父様と、叔母様に言うわよ?」
「…ベル…お前、もしかして今日から入学か?」
「もしかしなくてもそうよ?あら、貴方、私の歳まで忘れたの?」
「いや…そうじゃない。俺の楽しい学園生活が、なんだか黒く塗り潰されていくような気がしただけだ」
「あら、失礼ね。私が居ても居なくても、貴方の学園生活なんて、そこそこのものでしょう?2年生になって、クラスはどうなったの?ちゃんとAクラスになったんでしょうね?」
「お前、それ、誰に聞いてるんだよ」
「もちろん、メルからよ」
「なぁ…もうお前も兄さんと絡むの止めろよ。お前と兄さんの組み合わせは、劇薬だ。混ぜるな危険なんだよ」
「なによそれ。私達に勝てないからって、言い掛かりはよしてくれる?それより、どうなの?Aクラスには上がれたの?」
「あぁ。なんとかな。じゃなきゃ退学させられるだろうが」
「よっぽど学園が好きなのね」
「…お前が入学したから、嫌いになりそうだよ」
「あら…久しぶりに会ったのに、その言いぐさはないんじゃない?誰に物を言ってるのかしら?」
「お前…本当にそれで王太子妃になる気か?王太子殿下が可哀想過ぎる」
「どういう事?私、殿下に相応しい淑女になる為、日々自分磨きに勤しんでいるのよ。クラスも貴方と違ってSクラスだし」
「ふぅ。はいはい。お前は凄いよ。しかしだな…お前の性格は…とことん悪い!最悪だ。見た目は確かに良いかもしれないが、俺には悪魔にしか見えない」
……本当に失礼な男だと思いません?私、結構容姿には自信がありますのよ?
プラチナブロンドの髪は公爵家の侍女達がいつもピッカピッカのトゥルントゥルンに仕上げてくれていますし、この国では珍しいオーキッドの瞳は私のお気に入りです。
後、自慢の細いウエストに、意外と大きな胸。どこをとっても文句のつけどころはないように思いますの。
そんな私を悪魔ですって。煮て焼いて食ってやろうかしら?
「私にそんな口を利いても良いの?困るのは貴方よ?グレイ」
「…すぐにそうやって脅す。いいか、お前も兄さんも悪魔だ、悪魔。…で?こんな所にまで俺を探しに来て…何の用だ?俺に用があったんだろう?俺にはないが」
「ねぇ、グレイって婚約者は居なかったわよね?」
「居ないよ。何でかわかるか?
散々お前にいたぶられて、すっかり女性不信なんだよ。俺は一生結婚出来ないかもしれない。全部お前のせいだ!」
「まぁ…自分が甲斐性なしなのを私のせいにしないでくれる?でも、まぁ良いわ。好都合だもの」
「何がだよ?」
「ねぇ、グレイ。貴方、私の恋人になりなさい。これは命令よ」
「はぁ?!!」
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