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97話
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「明日はバザーだってな?」
「はい。収益は孤児院に。初めて参加するので少しワクワクします」
「前王妃は参加した事は無かったからな。国民にとって、あまり印象は良くなかった」
「アナベル様以前の王妃も、少し顔を出す程度だったと聞きました。ですので、私に出来るお手伝いがあれば……と思います」
「まぁ、無理はするな」
「はい。でも私としては机に座ってお勉強をするより、体を動かす方が好きなので」
「ははは。だが、サイラス女史は褒めてたぞ?『根性だけはある』と」
「それって……褒めてますか?」
と私が口を尖らせると、陛下はまた笑って私に向かって手を広げた。
私はその腕の中にすっぽりとおさまる。
お互いの気持ちが通じ合ってからというもの、私も素直に陛下に甘えられる様になった。
私達は家族の愛というものをあまり知らずに育った。夫婦と言うのは結局は他人かもしれないが、私達は血の繋がりが全てではないと分かっている。
そして私達が決めた事。それは自分達の寂しさをアイザックに味合わせない事だ。
時間がある時にはなるべくアイザックと過ごす。王族には珍しいかもしれないが、私達はその時間を必ず取る様にしていた。
陛下は私に口づけると、
「そろそろアイザックに兄弟をつくってやらないとな」
とにっこり私に微笑んだ。
「何でしょう……どうしても隠せない気品が……」
私が平民風のワンピースを着込んだ姿を見て、マーサは首を傾げた。
「え?そう?私としてはいつものドレスより、しっくりきてるんだけど?」
「クレア様……。ご自分では気づいていらっしゃらないかもしれませんが、既にクレア様の身のこなしや雰囲気は王族のソレですよ。前のクレア様とは確実に違うのです」
と言うマーサに、
「そうですよ。それに最近ではますます、お美しくなられましたしね~。愛されてるって女の自信に繋がりますもんね」
とアイザックをあやしながらダイアナが同調した。
私は少し顔が赤くなるのを感じる。
陛下との関係が良好な事はどうも周知の事実らしい。……恥ずかしい……。
「はい。収益は孤児院に。初めて参加するので少しワクワクします」
「前王妃は参加した事は無かったからな。国民にとって、あまり印象は良くなかった」
「アナベル様以前の王妃も、少し顔を出す程度だったと聞きました。ですので、私に出来るお手伝いがあれば……と思います」
「まぁ、無理はするな」
「はい。でも私としては机に座ってお勉強をするより、体を動かす方が好きなので」
「ははは。だが、サイラス女史は褒めてたぞ?『根性だけはある』と」
「それって……褒めてますか?」
と私が口を尖らせると、陛下はまた笑って私に向かって手を広げた。
私はその腕の中にすっぽりとおさまる。
お互いの気持ちが通じ合ってからというもの、私も素直に陛下に甘えられる様になった。
私達は家族の愛というものをあまり知らずに育った。夫婦と言うのは結局は他人かもしれないが、私達は血の繋がりが全てではないと分かっている。
そして私達が決めた事。それは自分達の寂しさをアイザックに味合わせない事だ。
時間がある時にはなるべくアイザックと過ごす。王族には珍しいかもしれないが、私達はその時間を必ず取る様にしていた。
陛下は私に口づけると、
「そろそろアイザックに兄弟をつくってやらないとな」
とにっこり私に微笑んだ。
「何でしょう……どうしても隠せない気品が……」
私が平民風のワンピースを着込んだ姿を見て、マーサは首を傾げた。
「え?そう?私としてはいつものドレスより、しっくりきてるんだけど?」
「クレア様……。ご自分では気づいていらっしゃらないかもしれませんが、既にクレア様の身のこなしや雰囲気は王族のソレですよ。前のクレア様とは確実に違うのです」
と言うマーサに、
「そうですよ。それに最近ではますます、お美しくなられましたしね~。愛されてるって女の自信に繋がりますもんね」
とアイザックをあやしながらダイアナが同調した。
私は少し顔が赤くなるのを感じる。
陛下との関係が良好な事はどうも周知の事実らしい。……恥ずかしい……。
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