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95話

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「俺の中ではお前達を迎えに行く事は決定事項だったが、アナベルの動きを封じないと、お前達を危険に晒すかも……とも考えていた。証拠集めを始めたのはその為だが、ローランドの事を考えると少し躊躇したのも事実だ。しかし、ローランドがアナベルの元で幸せそうにも見えなかったしな。今思えばこれで良かったと思っている」

「アナベル様はローランドを見る度に自分の罪を見せつけられている様に感じて、あんな厳しく……?」

「そんな殊勝な女か?だからと言ってローランドに辛く当たるのは間違っているがな。
だが、証拠を全て集める前に、父が亡くなり……俺に早く婚約者を決めろと煩く言う連中が増えた。……後はお前が知ってる通りだ」

一通り陛下が説明を終える。私は意を決して切り出した。

「………陛下。多分、いえ絶対に気づかれていると思うのですが……」

ちゃんと伝えようと思っているのだが、口に出すのはちょっと勇気が必要みたいだ。

すると、陛下の顔が少し赤くなった。……陛下も照れてる?

「い、いや……何の事だか……」

「フフフッ。陛下は嘘を見破るのは得意ですが、嘘をつくのは苦手ですか?」

「……お前の前でだけだ。……お前に嘘をつくのは苦手だ。ほら……覚えてるか?宿屋でお前と話した事。俺は嬉しすぎて……お前の使ったスプーンを……」

「お、思い出さないで下さい!!」
私はあの時の事を思い出して赤くなる。

「ま、まぁ……あんまり褒められた事ではなかったが、気持ちを抑えるのに苦労した」

「あの時は、ただ、ただ驚いただけでしたけど……今思うと、全てが繫がっていたのですね」

「そうだな……。で、俺はいつまでお前の言葉を待てば良いんだ?」

陛下がにっこりと笑う。

「気づいているのなら、別に言わなくても……」
と私が俯けば、陛下は私の顎をクッと上げて、

「お前の言葉で聞きたいんだ」
と懇願するようにそう言った。

私が今、愛を伝えたい人。

「陛下。私は今、コンラッド様ではなく、陛下が好きです。改めて……陛下と共に生きていきたい。そう思います」

「クレア……陛下ではなく、名を……」

「エリオット様……私は貴方を愛していま……」

全てを言い終わらぬうちに、私の唇は陛下の唇で塞がれた。


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