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3話
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継母はどうしても私にこの家を継がせたくなかった為、二人の義姉も婚約者が決められずにいた。
しかも、イライザには狙っている人物がいて……
「私、王太子妃になりたいわ!」
彼女はよくそう言っていた。
だから、自分に婚約者が居ない事に異を唱えていなかったのだろう。
普通の貴族令嬢なら、二十歳にもなって婚約者が居ない事に危機感を覚える筈だ。
イライザは華やかな美人だったので、そんな夢を持ったのかもしれない。伯爵家なら、王太子妃も夢ではないが……ドノバン家にそこまでの力があるとも思えなかった。
父は継母と親戚との板挟みで、結局私にも誰にも婚約者を決められずにいた。
……気弱なくせに、母にだけは強気だった父を私はこの頃は嫌悪する様になっていた。
しかし、継母はこの状況に危機感を持っていたようだ。
ある日、婚約者の居ない貴族の子息を集め、夜会をすると言い始めた。
それが……あの夜だ。
「ねぇ、どうして王太子殿下が来てないの?!」
と私に詰め寄るイライザに、
「中流の伯爵家が主催の夜会などに、王太子殿下がお見えになるとは思えません」
と私は答えた。当たり前だろ?考えなくてもわかる事だ。
「あーあ。もう!媚薬まで手に入れたのに!」
と言うイライザに私は目を丸くした。
「まさか……王太子殿下に薬を?」
「そうよ!殿下って、もう十九歳になるのに、結婚どころか婚約者も居ない。ってことは女に飢えてるって事でしょう?若い男なんだもん、普通は……ね」
とイライザの真っ赤な唇が弧を描く。
そんな俗物的な考え方をするイライザに恐怖を覚える。
「そんな事をすれば、只では済みませんよ?!」
「既成事実を作ればこっちのものよ。私の体に夢中になれば、文句は言わないわ」
とイライザは溢れんばかりの胸の谷間を強調したドレスで微笑んだ。
「でも、来てないならしょうがないでしょう?私、ここで誰かに見初められたいわ。もう十八よ?婚約者が居ないって馬鹿にされたくないの」
とジョアンナは少し膨れっ面をした。
「私は王太子妃になるから、ジョアンナ、あんたがこの家を継げる男を見付けなさいよ?!」
と言うイライザに、
「もちろんよ。狙うは、公爵家と侯爵家の次男、三男よね。お母様にもそう言われてるから」
二人の頭に、私がこの家を継ぐ……などという考えはない。それは私もよく理解していた。……それを親戚一同が許すとは思えないが。
この夜会には婚約者の居るご令嬢とそのお相手、それと婚約者が決まっていないご子息が招待されていた。
何故か王太子殿下にも招待状を送ったらしいが、身の程知らずにも程がある。
「すみません、私は仕事がありますので」
メイドのお仕着せを着た私には、この夜会での仕事が山ほどある。
二人の愚痴を聞いいる暇など全くない。
「ふん。せいぜい働いて頂戴ね。殿下が来ていないのは残念だけど、ジョアンナの未来のお婿さんがいるかもしれないんだから、丁重にね」
とやたらと上から目線でイライザに命令されるが、これが日常なので、私は全く気にならなかった。
しかも、イライザには狙っている人物がいて……
「私、王太子妃になりたいわ!」
彼女はよくそう言っていた。
だから、自分に婚約者が居ない事に異を唱えていなかったのだろう。
普通の貴族令嬢なら、二十歳にもなって婚約者が居ない事に危機感を覚える筈だ。
イライザは華やかな美人だったので、そんな夢を持ったのかもしれない。伯爵家なら、王太子妃も夢ではないが……ドノバン家にそこまでの力があるとも思えなかった。
父は継母と親戚との板挟みで、結局私にも誰にも婚約者を決められずにいた。
……気弱なくせに、母にだけは強気だった父を私はこの頃は嫌悪する様になっていた。
しかし、継母はこの状況に危機感を持っていたようだ。
ある日、婚約者の居ない貴族の子息を集め、夜会をすると言い始めた。
それが……あの夜だ。
「ねぇ、どうして王太子殿下が来てないの?!」
と私に詰め寄るイライザに、
「中流の伯爵家が主催の夜会などに、王太子殿下がお見えになるとは思えません」
と私は答えた。当たり前だろ?考えなくてもわかる事だ。
「あーあ。もう!媚薬まで手に入れたのに!」
と言うイライザに私は目を丸くした。
「まさか……王太子殿下に薬を?」
「そうよ!殿下って、もう十九歳になるのに、結婚どころか婚約者も居ない。ってことは女に飢えてるって事でしょう?若い男なんだもん、普通は……ね」
とイライザの真っ赤な唇が弧を描く。
そんな俗物的な考え方をするイライザに恐怖を覚える。
「そんな事をすれば、只では済みませんよ?!」
「既成事実を作ればこっちのものよ。私の体に夢中になれば、文句は言わないわ」
とイライザは溢れんばかりの胸の谷間を強調したドレスで微笑んだ。
「でも、来てないならしょうがないでしょう?私、ここで誰かに見初められたいわ。もう十八よ?婚約者が居ないって馬鹿にされたくないの」
とジョアンナは少し膨れっ面をした。
「私は王太子妃になるから、ジョアンナ、あんたがこの家を継げる男を見付けなさいよ?!」
と言うイライザに、
「もちろんよ。狙うは、公爵家と侯爵家の次男、三男よね。お母様にもそう言われてるから」
二人の頭に、私がこの家を継ぐ……などという考えはない。それは私もよく理解していた。……それを親戚一同が許すとは思えないが。
この夜会には婚約者の居るご令嬢とそのお相手、それと婚約者が決まっていないご子息が招待されていた。
何故か王太子殿下にも招待状を送ったらしいが、身の程知らずにも程がある。
「すみません、私は仕事がありますので」
メイドのお仕着せを着た私には、この夜会での仕事が山ほどある。
二人の愚痴を聞いいる暇など全くない。
「ふん。せいぜい働いて頂戴ね。殿下が来ていないのは残念だけど、ジョアンナの未来のお婿さんがいるかもしれないんだから、丁重にね」
とやたらと上から目線でイライザに命令されるが、これが日常なので、私は全く気にならなかった。
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