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ヒロインの存在意義
しおりを挟む家にどうやって帰ってきたのか、ここもすっかり記憶は曖昧だ。
しかし、習慣とは恐ろしいもので、私はちゃんと電車とバスを乗り継ぎ自宅へと帰っていた。
戦闘服に選んだふんわりワンピースが皺になる事などお構い無しに、私はベッドへダイブする。
……何が悪かったんだろう?パラ上げに失敗して最初の弁論大会で生徒会に入れなかった事?
そんな最初の分岐で躓いたからってハッピーエンドを迎えられないのなら、今まで頑張ってきた事が馬鹿みたいだ。
やりたくもない勉強にやりたくもない生徒会役員。
それもこれも先輩とのハッピーエンドを夢みた結果だと言うのに。
ベッドに突っ伏している私の枕元に転がったスマホがメッセージの着信を告げる。
明るくなった画面に映し出されているのは先輩の名前だ。
メッセージのほんの一行が画面に映っている。
私は少しだけ顔を横に向け、スマホを手に取り、その一行のメッセージに目を走らせた。
『優羽が凄く楽しかったって言ってたよ、それ…………』
そこまでの文字しか画面には現れていない。しかし続きを読む為に、メッセージを開く気にもなれない。
私が無事に帰り着いた事を訊ねるより先に、あの武田ホニャララさんの名前を出す先輩に、私は思わず渇いた笑いが込み上げた。
どんだけ好きなのよ、そのホニャララさんが。私は心の中でそう突っ込んだ。
翌日、先輩へ食事のお礼のメッセージだけを送った。
なんか、『優羽が坂崎さんの事気に入っちゃったらしいから、これからも仲良くしてやってよ』とか書いてあったが、丸っと無視する事にした。
先輩……鈍感過ぎやしませんかね?
さて…ここで私は考える。
ヒロインとは何ぞや。
意味を調べてみた(受験のない私はお気楽だ)
そこには、『小説や戯曲、映画、ゲームなどにおける女性の主役』もしくは『主役ではないが物語において存在感のある女性」のことを示す。
と書いてあった。
うん?主役ではない?それってどういう意味なのか。
この乙女ゲームが……もしや違う人が主人公だった…とか?
いや、そんな訳はない。だってこのゲームにファンディスクなど存在しなかった筈なのだ。アナザーストーリーなどあってたまるか。
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気付けば5ヶ月ぶりの更新。
読者の皆様、本当に申し訳ございません。
今後も、こんな亀より鈍い投稿頻度となるかもしれませんが、最後までお付き合い、いただけますか?
もう無理という方もいらっしゃるかもしれませんが、お付き合いいただけると、泣いて喜びます。
よろしくお願い致します。
応援ありがとうございます!
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