上 下
39 / 43

光陰矢のごとし

しおりを挟む
高校3年生というのは、なんとなくソワソワする。

後1年でこの、『高校生』という特別な時間が終わるのだ。
大人でも子どもでもないこの時間。

私も前世で『女子高生』だった時、自分は最強だと思っていた節がある。

私は大学を森田と同じ大学に決めた。
決め手は寮だ。
食事も希望すれば食べられるし、なんてったって綺麗だ。
女子寮はセキュリティーも万全。

これなら、今の上げ膳据え膳に慣れきった私でも生活出来そうだ。
間違っても、決め手は森田じゃない。


私は推薦を受けるつもりだったので、受験勉強をあくせくする必要はない。

では、このソワソワした1年をどう過ごすのか。
パラ上げは必要かもしれないが、先輩と全く会うことなく卒業を迎えるのは、恐ろしすぎる。

私は、暇を見つけては、先輩の大学の側を彷徨く事にした。

先輩の大学は、私の住む街からは、まぁまぁ離れている。
往復だけでも、結構な時間が掛かるが、今の私にはそれしか手段がない。
『会いたい』と言って、断られるのが怖いのだ。

すでに、この状況はゲームのストーリーからは、外れている。自分が下手に動いてバッドエンドになる事は避けたい。




先輩のいる大学…でかいな。
高校なんかより、生徒数が半端ない。

こんな中から、先輩に偶然会えるなんて、物凄く確率は低いかもしれない。
私は途方に暮れるが、折角此処まで来たのだ。

大学の周り、学生が立ち寄りそうな所を彷徨く。あぁ、この感じ懐かしいな。生徒会室の付近を彷徨いていた事を思い出す。ストーカーAgainだ。


私がヒロインで、先輩がヒーローなら、偶然でも、ばったり会えたりするのではないか?ゲームなんてご都合主義なんだから、そんな偶然があったっておかしくない。
そう思っていたのだが、私の考えは甘かった。
その日、私はなんの収穫もなく家路についた。



生徒会の仕事もどんどんと下の学年に引き継いでいき、もう生徒会を引退する時期になった。周りの友達も皆受験モードになっていく。

私は今だ、先輩と会うことも出来ない日々を過ごす。

気がつけば、卒業式まであと3ヶ月となっていた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

更新が滞ってしまって、申し訳ありません。
亀より遅い更新頻度かもしれませんが、ちゃんと完結させる予定でおります。

たま~にでも覗いていただけると嬉しいです。

今年もよろしくお願いいたします。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

彼女は1人ぼっちだから…

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:28,685pt お気に入り:696

【完結】旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます

恋愛 / 完結 24h.ポイント:6,283pt お気に入り:7,599

悪役令息の義姉となりました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:18,033pt お気に入り:1,972

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:4,409pt お気に入り:3,843

気楽に生きよう ⑨

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:12,070pt お気に入り:2

処理中です...