乙女ゲームに転生しましたが、パラ上げで心が折れそうです。

初瀬 叶

文字の大きさ
上 下
37 / 43

進路相談

しおりを挟む

希望通り医学部に入った先輩は、大学生活を楽しんでいるようだ。

辛うじて、なんとかメッセージのやり取りは復活した。

しかし、私から会いたい とは中々言えずにいる。


私は3年生になり、爽太君ともクラスは別れ、担任も夏目先生じゃなくなった。

間違いなく、本郷先輩ルートに入っていると思うのに、思うようにはいかない。


そして、何故か森田とはまた同じクラスだ。モブなのに…いやモブだからか?


『AKARI』からのメッセージも途切れがちになり、私はいよいよ不安になる。


そんな中、今日は進路希望の用紙を担任に提出する日だ。

私は今だ、パラ上げに苦心していた。

今の自分が、どの程度のパラメーターの達成率なのか?それを推し測る術はない。

そんな自分に受験勉強が更に重くのし掛かるリスクは回避したい。
しかし、卒業後、この世界がどうなるのかわからないからには、自分が死ぬまでこの世界に居る事を仮定して動かなければ、ただの穀潰しになる未来が待っている。


3年の担任は豊田先生だ。そう、紛う事なきモブである。

「で、坂崎。この進路希望の紙なんだがな…これは本心か?」

「はい」

「じゃあ、お前はここに書いてある通り『今の学力で行ける大学に推薦で』っていうこのふざけた進路で良いんだな?」

…ふざけた?私は全くもってふざけてなどいない。大真面目だ。

「ふざけてなどいませんけど?」

「いや、普通な?こういう事を学びたいから、その学部に行きたいとか、こんな職業に就きたいから、この専門学校に行きたいとかな?具体的な目標とかを、嘘でも書くんだよ」

「え?嘘でも?」

「そうだ。お前みたいに馬鹿正直に『とりあえず大学には行きたいけど、受験勉強したくない』っては書かないもんだ。
じゃなきゃ、俺ら教師もどうやってお前にアドバイスしたら良いかわかんないじゃないか」

…そうか、そうだよな。転生前はそうやって大学なり、学部なりを決めた。
そう、普通に。

しかし、今の私の正直な気持ちは『なるべく楽をして、どこかの大学に行く』だ。
学費に関しては、あまり心配しなくて良いと言われているし、私の今の成績だったら、めちゃくちゃ偏差値の低い大学を薦められたりはしないだろう。

「でも、お前もなんかやりたい事とかあるだろう?
別に大学行くだけが人生じゃないぞ?
進学校の教師である俺が言う事じゃないかもしれんが…」

…豊田先生って、良い意味で教師らしくないって言うか…近所のお兄ちゃんって感じで、親しみやすいな…モブなのに。

「じゃあ、先生。今の私が推薦で行ける大学の候補だけでも教えて下さい。
その中に自分が興味のある学部や学校がなかったら、また考えてみます」

…あくまでも、私は受験勉強をしたくない。
はっきり行って受験勉強なんて、転生前の1回で十分だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

邪魔しないので、ほっておいてください。

りまり
恋愛
お父さまが再婚しました。 お母さまが亡くなり早5年です。そろそろかと思っておりましたがとうとう良い人をゲットしてきました。 義母となられる方はそれはそれは美しい人で、その方にもお子様がいるのですがとても愛らしい方で、お父様がメロメロなんです。 実の娘よりもかわいがっているぐらいです。 幾分寂しさを感じましたが、お父様の幸せをと思いがまんしていました。 でも私は義妹に階段から落とされてしまったのです。 階段から落ちたことで私は前世の記憶を取り戻し、この世界がゲームの世界で私が悪役令嬢として義妹をいじめる役なのだと知りました。 悪役令嬢なんて勘弁です。そんなにやりたいなら勝手にやってください。 それなのに私を巻き込まないで~~!!!!!!

なんでそんなに婚約者が嫌いなのかと問われた殿下が、婚約者である私にわざわざ理由を聞きに来たんですけど。

下菊みこと
恋愛
侍従くんの一言でさくっと全部解決に向かうお話。 ご都合主義のハッピーエンド。 小説家になろう様でも投稿しています。

誰でもよいのであれば、私でなくてもよろしいですよね?

miyumeri
恋愛
「まぁ、婚約者なんてそれなりの家格と財産があればだれでもよかったんだよ。」 2か月前に婚約した彼は、そう友人たちと談笑していた。 そうですか、誰でもいいんですね。だったら、私でなくてもよいですよね? 最初、この馬鹿子息を主人公に書いていたのですが なんだか、先にこのお嬢様のお話を書いたほうが 彼の心象を表現しやすいような気がして、急遽こちらを先に 投稿いたしました。来週お馬鹿君のストーリーを投稿させていただきます。 お読みいただければ幸いです。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

夫の書斎から渡されなかった恋文を見つけた話

束原ミヤコ
恋愛
フリージアはある日、夫であるエルバ公爵クライヴの書斎の机から、渡されなかった恋文を見つけた。 クライヴには想い人がいるという噂があった。 それは、隣国に嫁いだ姫サフィアである。 晩餐会で親し気に話す二人の様子を見たフリージアは、妻でいることが耐えられなくなり離縁してもらうことを決めるが――。

今日は私の結婚式

豆狸
恋愛
ベッドの上には、幼いころからの婚約者だったレーナと同じ色の髪をした女性の腐り爛れた死体があった。 彼女が着ているドレスも、二日前僕とレーナの父が結婚を拒むレーナを屋根裏部屋へ放り込んだときに着ていたものと同じである。

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ

奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。  スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

処理中です...