乙女ゲームに転生しましたが、パラ上げで心が折れそうです。

初瀬 叶

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選択肢

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私の動揺などお構い無しに、先輩は自分の苦しい胸の内を吐露していく。

私には時間がない…早く先輩の悩みに答えを出さなければ…私は、さっき考えた選択肢…②で行く事にした。

「先輩…たくさん悩んでこられたんですね。
期待されてると、どうしてもそれを裏切るのって…怖くなっちゃいますもんね。
私は、先輩のご両親ではないので、上手くは言えないんですけど、やっぱり親は子どもが幸せになる事を1番に考えてたりするんじゃないですかね?」

「幸せ…」

「はい。もちろん先輩が弁護士になったら、ご両親は喜んでくれると思います。
先輩だって、弁護士が嫌なわけではないと思うので、その道を選んでも間違いではないです。
でも、先輩の夢…ご両親にはお話しされた事、ないんですよね?」

「そうだな…小さい頃から、親の跡を継いで弁護士になるものだと思っていたから…医師になりたいなんて、言い出そうと思った事もなかったよ」

「ですよね?ご両親は本当の先輩のお気持ちをまだ知らないんですよね?」

「ああ。きっと反対されるだろうって…」

「確かに、びっくりされるかもしれませんし、反対されるかもしれません。でも、反対されないかもしれない」

「どうだろう…どうだろうな?」

「私は先輩とご両親の関係を知ってるわけではないので、偉そうな事は言えませんが、先輩の気持ちに耳を傾けても貰えないような関係ですか?」

「いや…父は、いつも家族の事を考えてくれている」

「なら、一度お話ししてみてはどうですか?無責任に『きっとわかってくれますよ!』なんて事は言えませんけど、話しをきちんと聞いてくれると私は思いますよ。
始めはそこからじゃないですか?気持ちは言葉にしないと伝わりませんから。
先輩の夢、言葉にしてみませんか?」

「…そうだな。僕は最初っから諦めてたんだ。
周りも、両親も当然のように弁護士になるものだと思ってたから…さっき君が言っていたように、期待を裏切るのが怖かった」

「じゃあ…」

「一度、父に話してみるよ。反対されるかもしれないし、困惑させるかもしれないが…言葉にしてみたいと思う」

「そうですね。全てはそこからですもんね」
と私が言うと、先輩も、

「そうだね」
と笑ってくれた。

さっきまではとても苦しそうだったけど、今は少しホッとしたような表情だ。

誰かに伝える事で、自分の気持ちを再認識出来たのだろう。

…この流れ…間違ってないよね?選択肢②で合ってるよね?
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