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本郷先輩ルート
しおりを挟む翌日の放課後、生徒会室で先輩を待つ。
ちなみに今日は生徒会活動はないので、邪魔される可能性は限りなく低い。
「ごめんね。待った?」
と先輩が現れた。
「いえ。こちらこそわざわざ来ていただいてすみません。
私が行けば良かったんですけど…」
「可愛い後輩が教室に現れたら、皆にやっかまれちゃうからね。
それに上級生の教室に行くのってなんか変に緊張しない?」
「あ!それ、なんかわかります。
ドキドキしちゃいますよね。
じゃあ、早速、これ!お土産です!」
私はお菓子の袋を差し出した。
「ありがとう。これ、坂崎さんは食べた?」
「はい。祖母へのお土産もこれにしたので、一緒に食べました。美味しかったです」
「へぇ。おばあちゃんと仲良しなんだね」
「はい。両親がいないので…祖母の家で暮らしてて…」
「……そ、うなんだ…。そうか。知らなくて…ごめんね。」
!?もしかして、これって…『AKARI』が私に気がつくイベント?!
ゲームの中では最後まで『AKARI』の正体は明かされないけど、エンディングでは『AKARI』が約束の丘で実は私の正体に気がついてた…っていうシーンが描かれているのよね?ネタバレで読んだ。
…ということは、私は今、間違いなく先輩のルートに乗っかってるって事だ。
こうなると、他の攻略対象者とは好感度が上がりにくくなるのだ。
………つまり、例え先輩に彼女が居たりしても、もう他の対象者への変更は不可能に近い…そういう事だ。
どうしよう。今、先輩に彼女の事訊く?
訊いても乗り換えられないよ?!
なら、もう訊かない方が良くない?
そう自問自答していると、生徒会室の扉が勢いよく開いた。
「渉!ここに居たの?探したんだから~」
そう言って、アノ戸川先輩が入って来た。
「梓?なんで僕を探してたの?ってか良く此処に居るってわかったね」
そう不思議そうに答える先輩の声は少し固い気がした。
「先生が呼んでるのよ!もう!わざわざ呼びに来てあげたのにぃ」
「先生が?そうか。じゃあ、すぐに行くよ。
坂崎さん、ごめん。僕、行くね。お土産、ありがとう」
と言う先輩に戸川先輩は近づき、
「早く、早く!ほら行くよ」と言って、背中を押すようにして歩き出す。
その時、戸川先輩は私の方に振り向いて、勝ち誇ったように微笑んだ。
私はそんな2人をただ黙って見送るしかなかった。
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