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文化祭・その⑤
しおりを挟む「いえ!違います!」
かなり強めに否定した。だって先輩にだけは誤解されたくない。
「そんなムキにならなくていいよ。ごめん、ごめん。誤解だったんだね」
「…すみません。大きな声を出して。ちょっと前に同じように誤解されてて…」
「あぁ、そっか。じゃあ嫌だったよね」
……なんかちょっと気まずい。
「嫌っていうか…生徒会活動するのに気まずくなるのも嫌かなぁ~なんて。
すみません。先輩に向かって…」
「いいよ。僕が悪かったんだし。
あ、そう言えば、もうすぐ修学旅行じゃない?」
先輩が話題を変えてくれた。ありがたい。
「はい。来月末ですね。楽しみです」
「いいよね。修学旅行。
僕も楽しかったな。あそこに有名なお菓子があってさ。僕、結構それが好きなんだよね」
「!そうなんですか?じゃあ…私、お土産に買って来ます!受け取って貰えますか?」
「え?なんか催促しちゃったみたいになっちゃったな。ごめん」
「いえ。先輩には生徒会の事でもお世話になったんで、良かったらお礼として貰ってもらえると嬉いんですが」
「そう?じゃあ遠慮なく期待しちゃおうかな?でも、買う時間なかったりしたら無理しなくて良いから」
「はい!」
私は先輩が好きなお菓子の名前を聞いて、生徒会室を出ていく先輩を見送った。
お土産渡すだけだけど、次の約束が出来る事が嬉しかった。
こうして、色々あった私の文化祭は幕を閉じた。
帰宅後、早速『AKARI』に文化祭だった事をメールしてみる。
友達が少しずつ増えてきた事。でも親の事で気を使わせたくなくて、ちょっぴり無理してる事なんかを書く。
本当は全然無理してないけど。
ー『AKARI』にだけは素の自分でいられるー
なんて全然そんな事ない。
まぁ、逆に素の自分なんて誰にも出せない。だって素の自分は29歳OLだ。女子高生ではない。
そんな私の話を『AKARI』は親身になって聞いてくれる。
罪悪感は半端ないが、これも攻略の為だ。
今日の先輩との会話を思い返す。
私は卒業後どうしたいんだろう。
というか、卒業してエンディングを迎えたら、この世界はどうなるのかな?
もしかしたら、今度こそ本当に死んじゃうのかも……
「はぁ…とりあえず受験勉強始めようかな…大学に行く?それとも専門学校?何になりたいかわからないのに、決められないしなぁ…」
私は大きめの独り言を言ってベッドに寝転がる。
あ~面倒くさい!!!
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