19 / 43
文化祭・その①
しおりを挟む
もうすぐ文化祭がやってくる。
私のクラスは執事カフェ。何それ?
なんか、クラスの男子が執事の格好で、もてなすらしいのだが、それって、執事の仕事?メイドの仕事じゃない?
でも、うちにはメインヒーローの長谷川くんがいるからな。
大盛況になる事は間違いないだろう。
きっと、長谷川くんルートを攻略するなら、このイベントは大事なんだろうな。
まぁ、今の私には関係ないけど。
とにかく、文化祭の準備は、生徒会も忙しい。
学校から帰ると、疲れ果ててしまっているので、全然パラ上げが出来ない。
宿題やるので、手一杯。
今の私の状況、非常に不味いのではないだろうか?
そう焦るものの、打開策はない。
「なぁ、花音。1年C組が暗幕使いたいってさ、手配出来る?」
「はぁ?!なんで今言うかな?
もっと早くに申請書出てたんじゃないの?」
「いや、提出し忘れてたんだって、副会長が泣きつかれたらしいよ。
んで、俺の所に頼みに来たと」
もう1人の副会長、1年生の福本くんは、優しいが、お人好しだ。
断れない人だとわかってて、泣きついたな!おのれ1年C組!
「森田くんが頼まれたなら、森田くんが手配したらいいじゃん。」
「俺、今、2年B組の舞台装置の事で、手一杯なんだよ。
ごめん!花音、頼む!」
大げさに手を合わせる森田くんを睨む。
「暗幕、他のクラスが使ってるよ。ちゃんと申請書の提出守ったクラスが優先だもん」
「そこをなんとか!」
なんとかって、なんだよ!
「……分かった。ちょっと他に使える暗幕ないか、探してみる」
私は溜め息とともに、答える。
「ありがとう!愛してる!花音!」
……全然、嬉しくない。
こうやって、毎日が忙しく過ぎていった。
いよいよ、明日は文化祭当日。…だと言うのに
「え?執事の衣装、1つダメにしたの?」
何故か自分のクラスでも、問題が持ち上がる。
「そうなの!最後の仕上げにアイロンかけてたら、焦げちゃって!」
「どこ?どこの部分?」
「ズボンの裾の部分なんだけど…」
「…じゃあ、裾切って詰めちゃう?丈が短くなっちゃうけど…」
「これ着るの、今野くんの予定だったんだけど…」
今野くんはうちのクラスでは、やや小柄な方ではあるが、裾上げすると流石に短くなりすぎるだろう
「じゃあ、女子に1人、執事になってもらおうよ!1人ぐらい男装したって可愛いよ」
私はグッドアイデアだと思って、提案してみる。
「当日、女子は裏方でカフェの軽食と、お菓子、ドリンクの担当で、手一杯だよ?」
「いや、全員でやる必要ないよね?1人ぐらい出来る人いるよね?」
「………」
なんで、誰もやりたがらないの?
「ねぇ、花音やってよ!花音、生徒会だから、クラスでは担当ないでしょ?」
いやいや、生徒会で忙しいから、担当外してもらってんじゃん!
そんなの森田くんだって、同じじゃん!
「無理だよ。当日も生徒会で忙しいもん。ごめん。他に誰かいない?」
「…………」
いや、だからさ、なんで、誰もやらないの?(2回目)
「花音、お前やってやれよ。
当日は生徒会の仕事はいいからさ」
おい!くそ森田!横から、なんて面倒くさい提案をしてくれてんだ。
「そんなの申し訳ないよ。」
暗に、嫌だと告げる
「大丈夫!今まで、花音が頑張ってくれたおかげで、当日はそんなにやる事ないよ。なんかあったら、俺が代わりにやるから。な!」
な!じゃねーよ。森田!
「…………わかりました」
「ありがとう!花音!」
アイロンで焦がした女子が涙目で私にお礼を言う。
涙目になるぐらいなら、あなたがやったら?と言いたい。
「悪りーな。坂崎」
…今野くんが謝る事ではない。
「じゃあ、今野くんは、受付ね。受付なら、制服でOKだから」
「よし!なんとか纏まったな!」
…森田。覚えとけよ
そして、私はそれから、執事としての振る舞いを長谷川くんに習う事になった。
「坂崎さん。生徒会で忙しい上に、こんなこと頼んでごめんね。」
「…自分のクラスの事だし、このカフェについては、全然やってない事、少し申し訳なく思ってたから」
少しな!少し。ほんの少し。
「いや、あれだけ忙しいんだ。
クラスは人数がたくさんいるんだから、俺たちがやるのが当たり前だよ。
森田も坂崎さんに頼りっぱなしだよね」
あ、そうか。2人は同じバスケ部だ。
「…まぁ、同じクラスだし、頼みやすい雰囲気ではあるから。諦めてる」
「なんか、ごめんね?」
「長谷川くんが謝る事じゃないよ。で、カフェなんだけど、お客さんが来たら『おかえりなさいませ、お嬢様』で良いわけ?」
「うん。そう言う事になってる」
「男子が来た場合は?」
「まぁ、男子の来店はあんまり期待してないけど、その時は『おかえりなさいませ、お坊っちゃま』で」
「…執事のコンセプトって、これで合ってるの?」
「俺に聞かないで。正解はわからないから」
そりゃそうだ。長谷川くんは執事じゃないもんな。
困ったように笑う顔が可愛いな。
さすがメインヒーロー。無駄に顔が良い。
「OK!まぁ、なるようになるでしょ」
元来の私が出てしまった。
「坂崎さんって、転校して来た当初は、少し大人しい感じなのかと思ってた。
なんか、生徒会に入ってから変わったね。ていうか、こっちが素?」
原因は森田ね、完全に。
「まぁ、どちらかと言えばこっちが素?
でも、当初も猫被ってたわけじゃないよ。馴れてきただけ」
「そっか。俺は今の方が話しやすいな」
これって、長谷川くんルートのイベントなのかな?
でも、長谷川くんルートでは生徒会には入らないから、こんな会話はしないよね?
私は意図せず、長谷川くんと交流を持つことになった。
まぁ、文化祭の間だけだろうけど。
「もし、困った事があったら、俺がフォローに入るから、坂崎さんは、無理しないでね」
フォローするって言う奴は信用出来ない。それも、森田が原因だけど。
私のクラスは執事カフェ。何それ?
なんか、クラスの男子が執事の格好で、もてなすらしいのだが、それって、執事の仕事?メイドの仕事じゃない?
でも、うちにはメインヒーローの長谷川くんがいるからな。
大盛況になる事は間違いないだろう。
きっと、長谷川くんルートを攻略するなら、このイベントは大事なんだろうな。
まぁ、今の私には関係ないけど。
とにかく、文化祭の準備は、生徒会も忙しい。
学校から帰ると、疲れ果ててしまっているので、全然パラ上げが出来ない。
宿題やるので、手一杯。
今の私の状況、非常に不味いのではないだろうか?
そう焦るものの、打開策はない。
「なぁ、花音。1年C組が暗幕使いたいってさ、手配出来る?」
「はぁ?!なんで今言うかな?
もっと早くに申請書出てたんじゃないの?」
「いや、提出し忘れてたんだって、副会長が泣きつかれたらしいよ。
んで、俺の所に頼みに来たと」
もう1人の副会長、1年生の福本くんは、優しいが、お人好しだ。
断れない人だとわかってて、泣きついたな!おのれ1年C組!
「森田くんが頼まれたなら、森田くんが手配したらいいじゃん。」
「俺、今、2年B組の舞台装置の事で、手一杯なんだよ。
ごめん!花音、頼む!」
大げさに手を合わせる森田くんを睨む。
「暗幕、他のクラスが使ってるよ。ちゃんと申請書の提出守ったクラスが優先だもん」
「そこをなんとか!」
なんとかって、なんだよ!
「……分かった。ちょっと他に使える暗幕ないか、探してみる」
私は溜め息とともに、答える。
「ありがとう!愛してる!花音!」
……全然、嬉しくない。
こうやって、毎日が忙しく過ぎていった。
いよいよ、明日は文化祭当日。…だと言うのに
「え?執事の衣装、1つダメにしたの?」
何故か自分のクラスでも、問題が持ち上がる。
「そうなの!最後の仕上げにアイロンかけてたら、焦げちゃって!」
「どこ?どこの部分?」
「ズボンの裾の部分なんだけど…」
「…じゃあ、裾切って詰めちゃう?丈が短くなっちゃうけど…」
「これ着るの、今野くんの予定だったんだけど…」
今野くんはうちのクラスでは、やや小柄な方ではあるが、裾上げすると流石に短くなりすぎるだろう
「じゃあ、女子に1人、執事になってもらおうよ!1人ぐらい男装したって可愛いよ」
私はグッドアイデアだと思って、提案してみる。
「当日、女子は裏方でカフェの軽食と、お菓子、ドリンクの担当で、手一杯だよ?」
「いや、全員でやる必要ないよね?1人ぐらい出来る人いるよね?」
「………」
なんで、誰もやりたがらないの?
「ねぇ、花音やってよ!花音、生徒会だから、クラスでは担当ないでしょ?」
いやいや、生徒会で忙しいから、担当外してもらってんじゃん!
そんなの森田くんだって、同じじゃん!
「無理だよ。当日も生徒会で忙しいもん。ごめん。他に誰かいない?」
「…………」
いや、だからさ、なんで、誰もやらないの?(2回目)
「花音、お前やってやれよ。
当日は生徒会の仕事はいいからさ」
おい!くそ森田!横から、なんて面倒くさい提案をしてくれてんだ。
「そんなの申し訳ないよ。」
暗に、嫌だと告げる
「大丈夫!今まで、花音が頑張ってくれたおかげで、当日はそんなにやる事ないよ。なんかあったら、俺が代わりにやるから。な!」
な!じゃねーよ。森田!
「…………わかりました」
「ありがとう!花音!」
アイロンで焦がした女子が涙目で私にお礼を言う。
涙目になるぐらいなら、あなたがやったら?と言いたい。
「悪りーな。坂崎」
…今野くんが謝る事ではない。
「じゃあ、今野くんは、受付ね。受付なら、制服でOKだから」
「よし!なんとか纏まったな!」
…森田。覚えとけよ
そして、私はそれから、執事としての振る舞いを長谷川くんに習う事になった。
「坂崎さん。生徒会で忙しい上に、こんなこと頼んでごめんね。」
「…自分のクラスの事だし、このカフェについては、全然やってない事、少し申し訳なく思ってたから」
少しな!少し。ほんの少し。
「いや、あれだけ忙しいんだ。
クラスは人数がたくさんいるんだから、俺たちがやるのが当たり前だよ。
森田も坂崎さんに頼りっぱなしだよね」
あ、そうか。2人は同じバスケ部だ。
「…まぁ、同じクラスだし、頼みやすい雰囲気ではあるから。諦めてる」
「なんか、ごめんね?」
「長谷川くんが謝る事じゃないよ。で、カフェなんだけど、お客さんが来たら『おかえりなさいませ、お嬢様』で良いわけ?」
「うん。そう言う事になってる」
「男子が来た場合は?」
「まぁ、男子の来店はあんまり期待してないけど、その時は『おかえりなさいませ、お坊っちゃま』で」
「…執事のコンセプトって、これで合ってるの?」
「俺に聞かないで。正解はわからないから」
そりゃそうだ。長谷川くんは執事じゃないもんな。
困ったように笑う顔が可愛いな。
さすがメインヒーロー。無駄に顔が良い。
「OK!まぁ、なるようになるでしょ」
元来の私が出てしまった。
「坂崎さんって、転校して来た当初は、少し大人しい感じなのかと思ってた。
なんか、生徒会に入ってから変わったね。ていうか、こっちが素?」
原因は森田ね、完全に。
「まぁ、どちらかと言えばこっちが素?
でも、当初も猫被ってたわけじゃないよ。馴れてきただけ」
「そっか。俺は今の方が話しやすいな」
これって、長谷川くんルートのイベントなのかな?
でも、長谷川くんルートでは生徒会には入らないから、こんな会話はしないよね?
私は意図せず、長谷川くんと交流を持つことになった。
まぁ、文化祭の間だけだろうけど。
「もし、困った事があったら、俺がフォローに入るから、坂崎さんは、無理しないでね」
フォローするって言う奴は信用出来ない。それも、森田が原因だけど。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
241
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる