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誤算

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生徒会に入り、私は忙しく過ごしている。
そうもう一度言おう。い・そ・が・し・く過ごしている。

意外?な事に、生徒会は忙しかった。

森田くんは同じクラスのよしみか、色々と私に頼み事をしてくる。

彼自身、バスケ部と兼任しているからだろうが、帰宅部の私が、こき使われているのだ。

最初の頃は本郷先輩もちょこちょこ顔を出してくれていたし、私も話す機会が増えて喜んでいた。
しかし、最近ではそういう事も少なくなった。
そりゃそうだろう。先輩だって受験勉強で忙しいんだ。

いつまでも引退した生徒会に構っていられない。

そんな事、少し考えればわかったはずなのに、目先の利益に捕らわれたバカな私は、パラ上げ、読書にブラスして生徒会が加わる事になったのだ。

もう睡眠時間なんて、ないに等しい。
帰宅が遅くなる分時間がない。
1日36時間ぐらい欲しい。

バス停で先輩に会う事も殆んどなくなった。好感度だってジリ貧だ。

こんな筈じゃなかった。そう嘆いても後の祭り。

ゲームじゃないから、途中で投げ出す事も出来ず今に至る。



「なぁ、花音。この資料なんだけどさ」

「ああ、それなら、さっき纏めておいたよ。このファイルに入れてる」

そういって私はノートPCを開く。

「あ、本当だ。ありがとう。花音ってめちゃくちゃ仕事出来るよな。」

29歳OLの事務処理能力を舐めてはいけない。
これでも、そこそこの企業で働いていたのだから。
しかも、最近では森田くんは私の事を『花音』と呼ぶ。

森田くんに好感度があるなら、爆上がりじゃないかな?

そこ、求めてないんだけど。
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