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青春
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「2人ともお疲れさま。
坂崎さんも、手伝ってくれてありがとう。おかげで助かったよ。」
本郷先輩から声が掛かる。
「いえ、お役に立てて良かったです。では、そろそろ私は失礼します。」
「あ、待って、少し時間も遅いし送って行くよ。」
と森田くんが私を引き留める。
(いやいや、君と交流を深めても仕方ないんだよ。)
なんて事は言えないから
「大丈夫。私、バス通だし。」
「あれ、そういえば、君って前に僕の定期拾ってくれた子だよね。
それなら、僕と同じ方向だろ?
じゃあ、僕と一緒に帰ろう。」
まさかの本郷先輩からの提案。
しかも私の事を覚えててくれた。
さすがヒロイン。
「じゃあ、お言葉に甘えて。森田くんもありがとう。また明日ね。」
私はいそいそと先輩の後を付いていく。
森田くんも
「手伝ってくれて、ありがとう。またな。」
とヒラヒラ手を振って駐輪場の方へ消えていった。彼は自転車通学か。
バス停に先輩と2人で向かう。
思いがけないチャンスだ。
本郷先輩の攻略は、話のあらすじしか読んで無いため、これがゲームの強制力かどうかわからない。
でも、ここはアピールチャンス!
「本郷先輩はどこら辺にお住まいなんですか?私は三戸町のバス停で降りるんですが…」
「僕は、七瀬までだよ。坂崎さん、バス停から家までは遠いの?少し暗くなってきたから、送ろうか?」
「いえ、バス停からはそんな遠くないので大丈夫です。」
せっかくのチャンスだが、私のバス停で一旦先輩が降りたら、次のバスまで少し時間がある。
申し訳ない。
「そう?女の子の1人歩きはちょっと心配なんだけどな。」
やさしーい。先輩優しいです。好き!
「ありがとうございます。でも本当にバス停から近いので。」
「そう?じゃあくれぐれも気をつけてね。」
私達はバスに乗る。
私の降りる所は乗って15分ぐらいだ。
もっと遠ければ良かったのに。
先輩と並んで座る。ちょっとドキドキする。
あー推しが側に居るなんて、信じられない。
「坂崎さんは、森田と同じクラスなんだね。」
「はい。私はまだ転校してきたばかりなので、話した事はなかったんですけど。」
「え?転校生だったんだ。うちの学校はどう?」
「楽しいです。友達も出来ましたし。」
「そっか。でも、今日は本当に助かったよ。ありがとう。」
「いえ。大したことしてませんから。明日の弁論大会、成功すると良いですね。」
「ああ。生徒会主宰だからね。無事に済んでくれるとありがたいよ。あと数ヵ月で生徒会を引退だからね。後輩に良い形で引き継ぎたいから。」
「3年生は、受験勉強で忙しくなりますもんね。」
「………そうだね。」
本当は先輩は弁護士ではなくお医者さんになりたいのだ。
医者になって無医村で働くのが先輩の夢だ。
でも、お父様の希望を叶える為、法学部を受験する。
受験の話はタブーだったかな?
まぁ、今更発言をなかった事にはできない。他の話題を振ろう。
「森田くんって副会長だったんですね。」急な方向転換。
「ん?ああ、そうだよ。副会長は2年と3年の1人ずつなんだ。
あとは書記が2人と会計が1人。
あとは文化部部長と、運動部部長の計8人。今は書記が1人転校しちゃったから、7人だけどね。」
「そうなんですね。」
「ああ。部活を掛け持ちしてやってる人も居るから、なかなか全員揃わないんだけどね。」
まぁ、生徒会は部活動ではないから、そうなるのも仕方ないって事か。
「そろそろ、三戸だよ。」
「!あ、本当ですね。先輩、今日は一緒に帰っていただいて、ありがとうございました。」
私は降車ボタンを押して立ち上がる。
「こちらこそ。気をつけて帰ってね。」
「はい。では失礼します。」
私はバスを降りた。
目の前を過ぎて行くバスに手を振る。先輩も振り返してくれた。
あー青春って素晴らしい!
私はウキウキしながら、家へ帰る。
しかし、また帰れば地獄のパラ上げが待っているのであった。
坂崎さんも、手伝ってくれてありがとう。おかげで助かったよ。」
本郷先輩から声が掛かる。
「いえ、お役に立てて良かったです。では、そろそろ私は失礼します。」
「あ、待って、少し時間も遅いし送って行くよ。」
と森田くんが私を引き留める。
(いやいや、君と交流を深めても仕方ないんだよ。)
なんて事は言えないから
「大丈夫。私、バス通だし。」
「あれ、そういえば、君って前に僕の定期拾ってくれた子だよね。
それなら、僕と同じ方向だろ?
じゃあ、僕と一緒に帰ろう。」
まさかの本郷先輩からの提案。
しかも私の事を覚えててくれた。
さすがヒロイン。
「じゃあ、お言葉に甘えて。森田くんもありがとう。また明日ね。」
私はいそいそと先輩の後を付いていく。
森田くんも
「手伝ってくれて、ありがとう。またな。」
とヒラヒラ手を振って駐輪場の方へ消えていった。彼は自転車通学か。
バス停に先輩と2人で向かう。
思いがけないチャンスだ。
本郷先輩の攻略は、話のあらすじしか読んで無いため、これがゲームの強制力かどうかわからない。
でも、ここはアピールチャンス!
「本郷先輩はどこら辺にお住まいなんですか?私は三戸町のバス停で降りるんですが…」
「僕は、七瀬までだよ。坂崎さん、バス停から家までは遠いの?少し暗くなってきたから、送ろうか?」
「いえ、バス停からはそんな遠くないので大丈夫です。」
せっかくのチャンスだが、私のバス停で一旦先輩が降りたら、次のバスまで少し時間がある。
申し訳ない。
「そう?女の子の1人歩きはちょっと心配なんだけどな。」
やさしーい。先輩優しいです。好き!
「ありがとうございます。でも本当にバス停から近いので。」
「そう?じゃあくれぐれも気をつけてね。」
私達はバスに乗る。
私の降りる所は乗って15分ぐらいだ。
もっと遠ければ良かったのに。
先輩と並んで座る。ちょっとドキドキする。
あー推しが側に居るなんて、信じられない。
「坂崎さんは、森田と同じクラスなんだね。」
「はい。私はまだ転校してきたばかりなので、話した事はなかったんですけど。」
「え?転校生だったんだ。うちの学校はどう?」
「楽しいです。友達も出来ましたし。」
「そっか。でも、今日は本当に助かったよ。ありがとう。」
「いえ。大したことしてませんから。明日の弁論大会、成功すると良いですね。」
「ああ。生徒会主宰だからね。無事に済んでくれるとありがたいよ。あと数ヵ月で生徒会を引退だからね。後輩に良い形で引き継ぎたいから。」
「3年生は、受験勉強で忙しくなりますもんね。」
「………そうだね。」
本当は先輩は弁護士ではなくお医者さんになりたいのだ。
医者になって無医村で働くのが先輩の夢だ。
でも、お父様の希望を叶える為、法学部を受験する。
受験の話はタブーだったかな?
まぁ、今更発言をなかった事にはできない。他の話題を振ろう。
「森田くんって副会長だったんですね。」急な方向転換。
「ん?ああ、そうだよ。副会長は2年と3年の1人ずつなんだ。
あとは書記が2人と会計が1人。
あとは文化部部長と、運動部部長の計8人。今は書記が1人転校しちゃったから、7人だけどね。」
「そうなんですね。」
「ああ。部活を掛け持ちしてやってる人も居るから、なかなか全員揃わないんだけどね。」
まぁ、生徒会は部活動ではないから、そうなるのも仕方ないって事か。
「そろそろ、三戸だよ。」
「!あ、本当ですね。先輩、今日は一緒に帰っていただいて、ありがとうございました。」
私は降車ボタンを押して立ち上がる。
「こちらこそ。気をつけて帰ってね。」
「はい。では失礼します。」
私はバスを降りた。
目の前を過ぎて行くバスに手を振る。先輩も振り返してくれた。
あー青春って素晴らしい!
私はウキウキしながら、家へ帰る。
しかし、また帰れば地獄のパラ上げが待っているのであった。
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