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第57話
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「部屋に居ないから心配しただろ」
ノアに部屋まで護衛されながら、今私は怒られている。
「陛下が心配だったの」
「朝まで?」
「……陛下が寝ぼけて私の手を握っていたのよ。せっかく寝てるのに起こすのも悪いと思って」
「手を?!」
ノアの声が思ったより、朝の廊下に響く。
「ちょ!ちょっと、騒がないでよ」
「あ……すまん」
謝るノアをひと睨みして私はふと気になった。
「『部屋に居なかった』って……なんで知ってるの?」
「…………………訪ねたんだ」
「は?また?バルコニーから?」
「バルコニーの前にちょうど良い枝ぶりの木があるからな」
理由になっていない。
「で?どうして私の部屋に?夜は休みだったんでしょう?」
「まぁ……。ちょっと……」
さっきまで凄く不機嫌だったくせに、急に歯切れが悪くなる。
「何?何か用があったの?」
「お前が陛下の看病に行っていたと聞いた上でこれを言うのはなぁ……」
「?どういう事?はっきり言ってよ!」
「……お前が働いていた食堂の女将さんが倒れた。まぁ……年齢も年齢だからだが、過労だろうと。一週間程休めば良くなるらしいが……」
「お店、大変じゃない!!」
「まぁ……昼はもう一人の女性の給仕がなんとか頑張ってるが……夜がな……」
「……夜……ここを抜け出したり出来ないかしら?」
私の言葉にノアは思いっきり顔を顰めて、
「言うと思った」
と呟いた。
そうこうしている間に私の部屋に着く。
そう言えば……夫婦の部屋ってこんなに離れているものなの?
「ねぇ……」
私がその事を質問しようと口を開きかけた時、私の部屋の扉が勢いよく開き、そこには鬼の様な形相をしたマギーが立っていた。
有無を言わせず、私はマギーに部屋へと引き込まれ、ノアはその鼻先で扉をバタン!と閉められた。
「こんな朝早くから、どちらへ?」
マギーの声には明らかな戸惑いと怒りが混じっている。……何なの?この反応。
「陛下のお見舞いに……」
「勝手な事はしないで下さい!!」
ピシャリとマギーに言われ、私は一瞬黙った。だが……
「どうしてマギーにそれを指図されなければならないの?」
と気づけば私は反論していた。
その私に、マギーが詰め寄る。
「いいですか?貴女は何か勘違いをしています。貴女は単なる身代わりです。別に貴女が王妃の立場になった訳じゃない。陛下にそうやすやすと近づける様な身分を持たないのです。身の程を弁えて下さい!」
「身代わりな事は理解してるわよ。貴女の大事なメリッサ様の代りに王国軍が敗戦した時には処刑されたら良いんでしょう?でも、もし反乱軍が負けたら?その時はどうするの?メリッサ様はまたノコノコと王妃の座に返り咲くの?公爵を捨てて?それとも私がこの国の王妃として生きて……」
そこまで私が言った時、頬に痛みが走った。
ノアに部屋まで護衛されながら、今私は怒られている。
「陛下が心配だったの」
「朝まで?」
「……陛下が寝ぼけて私の手を握っていたのよ。せっかく寝てるのに起こすのも悪いと思って」
「手を?!」
ノアの声が思ったより、朝の廊下に響く。
「ちょ!ちょっと、騒がないでよ」
「あ……すまん」
謝るノアをひと睨みして私はふと気になった。
「『部屋に居なかった』って……なんで知ってるの?」
「…………………訪ねたんだ」
「は?また?バルコニーから?」
「バルコニーの前にちょうど良い枝ぶりの木があるからな」
理由になっていない。
「で?どうして私の部屋に?夜は休みだったんでしょう?」
「まぁ……。ちょっと……」
さっきまで凄く不機嫌だったくせに、急に歯切れが悪くなる。
「何?何か用があったの?」
「お前が陛下の看病に行っていたと聞いた上でこれを言うのはなぁ……」
「?どういう事?はっきり言ってよ!」
「……お前が働いていた食堂の女将さんが倒れた。まぁ……年齢も年齢だからだが、過労だろうと。一週間程休めば良くなるらしいが……」
「お店、大変じゃない!!」
「まぁ……昼はもう一人の女性の給仕がなんとか頑張ってるが……夜がな……」
「……夜……ここを抜け出したり出来ないかしら?」
私の言葉にノアは思いっきり顔を顰めて、
「言うと思った」
と呟いた。
そうこうしている間に私の部屋に着く。
そう言えば……夫婦の部屋ってこんなに離れているものなの?
「ねぇ……」
私がその事を質問しようと口を開きかけた時、私の部屋の扉が勢いよく開き、そこには鬼の様な形相をしたマギーが立っていた。
有無を言わせず、私はマギーに部屋へと引き込まれ、ノアはその鼻先で扉をバタン!と閉められた。
「こんな朝早くから、どちらへ?」
マギーの声には明らかな戸惑いと怒りが混じっている。……何なの?この反応。
「陛下のお見舞いに……」
「勝手な事はしないで下さい!!」
ピシャリとマギーに言われ、私は一瞬黙った。だが……
「どうしてマギーにそれを指図されなければならないの?」
と気づけば私は反論していた。
その私に、マギーが詰め寄る。
「いいですか?貴女は何か勘違いをしています。貴女は単なる身代わりです。別に貴女が王妃の立場になった訳じゃない。陛下にそうやすやすと近づける様な身分を持たないのです。身の程を弁えて下さい!」
「身代わりな事は理解してるわよ。貴女の大事なメリッサ様の代りに王国軍が敗戦した時には処刑されたら良いんでしょう?でも、もし反乱軍が負けたら?その時はどうするの?メリッサ様はまたノコノコと王妃の座に返り咲くの?公爵を捨てて?それとも私がこの国の王妃として生きて……」
そこまで私が言った時、頬に痛みが走った。
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