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第114話

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「おかあさま~」

走って私に思いっきり飛び付く息子。

「ふふふっ。たくさん遊んだのね。汗をかいてるわ。お庭を走り回ったの?」
と私は足元に抱きついて私を見上げている息子のおでこに張り付いた前髪を優しく手でかき上げる。

キラキラしたその瞳は私と同じアイオライトの瞳。髪の色は旦那様と同じ黒だ。

この子が生まれた時、旦那様がその瞳を見て少しホッとしているのがわかった。

私はその姿を見て、少し悲しかったが、これからも私が旦那様の素晴らしさを皆に広めれば良いだけだと、かえって奮起したものだ。

「レオン様、こちらで汗を拭きましょうね」
とローラが差し出したハンカチで私は息子の汗を丁寧に拭いた。

息子はニコニコしながら、

「マーガレットは?」
と私に訊ねた。

私が答えようとすると、私の後ろから、

「奥様、マーガレット様が目を覚まされましたよ」
と言って、娘のマーガレットを抱いた乳母がやって来た。

まだ1歳のマーガレットがニコニコと私に向かって手を伸ばして来た。

この子の瞳は旦那様と同じ。まるで宝石のようにキラキラ光っている。

私は乳母からマーガレットを受けとると、

「レオン、マーガレットもお昼寝から目が覚めたようだから、おやつにしましょう?」
とレオンに向かって言えば、

「わーい!」
と言いながら、レオンは一目散に屋敷の中へと走って行く。

レオンは5歳。少し落ち着きがないが、元気な良い子だ。

走って行ったレオンを追いかけて、先程までマーガレットの面倒をみていた乳母も走って行った。

「メグ、バタバタ走らないで!」
ローラが自分の娘であるメグに声をかけた。

そうマーガレットの乳母はメグなのだ。

レオンの時には別の乳母を雇っていたが、メグはその時『絶対に次は私が乳母になります!』と宣言していた。
有言実行とはこの事だ。凄い。

私に抱かれながらマーガレットはワアワア声を上げる。目線の先には小さな蝶々が飛んでいた。

ローラがその様子を見て、

「お母様に抱っこされてご機嫌ですね」
と微笑んだ。

私とローラもレオンとメグを追いかけるように屋敷の中へと入って行った。
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