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第104話
しおりを挟む私はそんな可愛らしい旦那様を想像して笑った。そして、
「旦那様に怖くて聞けなかった事があるんですが…今、訊いても?」
と私は少し真面目な顔で言った。
今なら…訊けるかな…。
「どうした?」
「旦那様、赤ちゃんが出来た事、どう思っていますか?正直な気持ちを聞かせて下さい」
すると、旦那様は少し表情を曇らせた。
少し怖い。
「正直に…か。わかった。だが、それは後にしよう。今はアメリアの体が心配だ。
モーリスも首を長くして待ってる筈だ。帰ろう…僕達の家に」
と旦那様は私に微笑んでみせた。
私と旦那様は一旦王都のバルト家に戻った。
「奥様~」
と泣きながら私に抱きついて来たメグ。
「メグ…心配かけてごめんなさいね」
と私はメグの背中を撫でながら答える。メグは言葉にならず、顔を激しく横に振った。
すると、連れ去られていた時に付いていた護衛が物凄く暗い顔で俯きながら私の元へ近付くと、突然、床に平伏して私に、
「申し訳ございませんでした!!!」と謝った。
私は慌てて、
「やめて!そんな事をする必要はないわ。あれは仕方なかった事よ。誰にも予想出来なかったわ」
と護衛に立つように促した。
皆、心配してくれていたんだ…そう思うとなんだか嬉しくなってしまった。
するとモーリス先生が現れて、
「さて、アメリア様。体にどこか違和感などありませんか?とりあえず1回診察をしましょうか」
と私に向かって言った後、旦那様の方を向き、
「王弟殿下がお呼びですよ。直ぐに王宮へ向かって下さい。
今回の事の詳細を聞きたいそうです」
と言う。
旦那様は私の方を心配そうに見る。私は、
「私は大丈夫です。どうぞ、いってらっしゃいませ」
と笑顔で手を振った。
「少し脱水を起こしてますかね。今日は水分を多めに取るようにしてください。後は…寝不足ですか?」
と私の顔を見ながら、モーリス先生は言った。
「やはり怖くて…。それに窓もない部屋で昼なのか夜なのかもわからなかったので、あまり眠れなかったんです」
「それは当たり前ですよ。怖い思いをしましたね。見たところ、怪我などはないようで、安心しました」
とモーリス先生は優しく微笑んでくれた。
「ネイサンは、私を傷つけるような事はしませんでした。…最後は殺そうとしていましたけど」
と私が言えば、モーリス先生の表情は思いっ切り曇った。
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